「スターバックスを世界一にするために守り続けてきた大切な原則」を読んで
「スタバ」の愛称でおなじみのスターバックスコーヒーの三つの経営資産、「ヒト・モノ・カネ」のうち、モノ(商品)のハワードシュルツCEO、カネ(財務担当)のオーリン・スミス氏とともに、同社の「ヒト」を支え続けたハワード・ビーハー、スターバックスインターナショナル元社長が書かれた
スターバックスを世界一にするために守り続けてきた大切な原則
を読みました。
同社の接客サービスレベルがチェーンストアの中で抜群に高いことは多くの方が認めるところだと思います。
その秘密は、経営理念へのスタッフの理解を重視し、「マニュアル」を持たないところにある、というような話は聞いていましたが、この本を読んで納得しました。
感銘を受けた話をいくつか・・・
「私たちはコーヒーを売っているのではなく、コーヒーを提供しながら人を喜ばせるという仕事をしているのだ」
という理念に基づき、いかにすべてのパートナー(店舗スタッフ)が現場で臨機応変な決定が下せるような独立性重視の企業文化をつくるか、に力を注ぐ。
マニュアル化がチェーン化のスピードを加速するという考え方にアンチテーゼを唱え、顧客最前線にいるスタッフを「縛りつける」規則集のルールなんか要らない!全店で同じものを提供しなければならない「レシピ」や安全性や財産保全のための「ガイドライン」など最低限のものにとどめて、店頭のスタッフが上記の理念を念頭に置き、自ら考え、行動することを奨励する、という「ルールよりレシピ」の話。
これは、現在、お客さんの立場で考える店頭の裁量、心遣いを奪っている性悪説的?な店舗マニュアルを運用している企業の方々は、考えさせられる話かもしれません。
そして、
「あなたの挑戦がなんであれ、会社はあなたが『知る』ことに対して給料を支払う。もしあなたがなにも知らないとしても、会社はあなたが『学ぶ』ことに給料を払いつづける。だから、がんばって学んだほうが身のためだ。」
成功体験をもつ、知識豊かな社員より、今は未熟でも、知らないことを知ろうと努力する人の可能性に会社は投資するという話。
人が現場で学び、成長する過程において発する力が企業そのものを成長、進化させるということを、この会社は十分わかっており、その力を最大限に活用しているからこそ今のスタバがあるのだな、と確信しました。
最後に、「ノーをなくす」の話。
多くのお店の店頭で、顧客にお断りをするPOPや表記を見かけます。返品お断り、両替はご遠慮願います・・・などなど。これらのPOPやレシートの文言って、確かに企業側の事情はわかりますが、私もいつも見るたびに、不快に思っています。
著者は、店頭の「ノー」は、顧客に、「そのお店は、企業側の都合で、いろんなことに『ノー』と言うお店なんだろうな」と印象づけ、一方、お店自らも、それ以外にも顧客に対してできないこと=「ノー」を次々に探そうとするだろう、と言います。
であれば、どうしたらいつも「イエス」と言える環境、オペレーションを作り上げられるかを考える方が未来はあると。
全く同感ですね。
それ以外にも、店舗のブランディング、運営をする上で、考えさせられる話が多く、また、著者が、すべての話について、成功からではなく「失敗から学んだ」というところに、説得力があり、共感します。
原題が It's Not About the Coffee とあるように、スターバックス社を舞台にした話ですが、コーヒーそのものについては、ほとんど触れらいません。
むしろ、スタバが、人(ヒト)を中心に経営を行い、今の地位を築きあげる過程において、同社のチェーンストアにおけるサービスと人に対する考え方、人材育成、および人材マネージメントなどについての持論が事例とともに展開されており、コーヒーチェーン店に限らず、ブランディングをしようとするファッションストアを含めたあらゆるリテイルビジネスに携わる方に参考になる本ではないでしょうかね。
特に、リテイルビジネスに携わる経営者、営業担当役員、店舗運営のマネージャー、人材育成担当者の方々、そして部下を持ち、職場の対人関係で悩んでいる方々にお勧めします。何かしら、応用して自社で使えるヒントが見つかるのではないかと思います。
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