イッセイミヤケのMDスクール
4月3日の繊研新聞に、イッセイミヤケの太田伸之社長が自ら講師を務め、同社の直営店の販売員向けに行っている「MDスクール」に関する記事が掲載されていました。
第1講の「マーチャンダイジングの基本的考え方」から最終講の「販売計画」まで、ファッションリテイルビジネスの基本に関する講義を1回あたり2時間 X 15回行う「MDスクール」は、今回12期を終え、店頭スタッフの半数以上が受講済みになったとのことです。
太田さん(と呼ばせていただきます)は私のファッションビジネスの先生でもあります。
私が今、年に数回講師をさせていただいている 「IFIビジネススクール」 発足当時(1995年)、太田さんが総合プロデュース兼講義をされたアパレルマーチャンダイジング講座を私自身(当時商社勤務)、生徒として、半年間受講させていただいたご縁がありました。
当時も、ズバッと本質を突く、緊張感のある講義をされる方でしたが、愛読させていただいている太田さんご自身のブログや今回の記事を読む限り、相変わらず熱いです、当時のパワーは衰えないようですね。
このイッセイミヤケのMD講座の講義テーマと記事の内容を読む限り、デザイナーブランド=アパレルメーカーながら、太田さんらしく、かなりリテイル(小売)ビジネスよりの基本をたたきこんでいらっしゃるようで、共感しました。
特に、商品分類(誰もがわかるアイテム分類)、展開分類(ブランドの主張としての売り場のくくり方)、定数定量管理がきっちり盛り込まれているところがその典型だと思います。
仕事柄、メーカー(ブランド)直営店、アパレルメーカー出身SPA、小売出身SPA、セレクト型専門店・・・さまざまなタイプのファッションリテイル企業の方々とお取引があったり、ご相談を受けることがありますが、特にブランドメーカーご出身の直売ビジネスをされている企業の課題のひとつに、商品分類、定数定量管理の発想がなかなか浸透していないことが挙げられます。
以下、太田さんの記事中のコメントを2つ引用させていただきます。
「右脳型発想に偏りがちのブランドビジネスだからこそ、論理的な思考の大切さを伝えなければならない」
「(ばくち的な要素もあるファッションビジネスを)ギャンブラーのようにそれを楽しみながら、科学的にプロパー消化率を上げていく、そんな店長の育成が目標だ」
ファッションリテイルビジネスに携わっていて、私も常日頃から繰り返し訴え続けていること。
○(企業の会計の都合である)月度ではなく(生活者の生活リズムにあわせて)週サイクルで考えること
○商品分類ごとに顧客需要のトレンドをつかむこと
○金額で設定されている売上・在庫予算を、数量ベースでコントロールすること
それらが、「科学的」に顧客に近づき、かつ、「科学的」にブランドのアイデンティティを表現する基本中の基本であると。
会社の理念、方向性を含め、ファッションビジネスへの情熱もこめて、社長自ら販売スタッフさんたちに語りかける姿勢、とても尊敬します。
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Comments
偶然、あなたのブログを見つけました。
いまの会社で社長になってもう9年余、改革はそう簡単じゃありませんでした。が、いまでは社員の多くがMerchandisingの基本を理解してくれるようになり、
「定数定量」も「商品分類」も「販売計画」も社内の共通言語になりました。
最初はみな「このオッサン、おかしなこと言ってる。ここはイッセイミヤケだぞ」って表情でしたから。
デザイナー交代を二度経験しながらなんとかやってこれたのは、教えてきた社員が基本に忠実に仕事してくれたからです。
景気が良かろうが悪かろうが、ファッションビジネスには奇策はない、基本通りコツコツまじめに、これを全体朝礼や研修のたびに繰り返し伝えてきました。
教え子の皆さんも、ぜひ基本を忘れず仕事してもらいたいです。
太田
Posted by: Nobuyuki Ota | July 08, 2009 02:02 PM
太田さん
わざわざコメントを頂き、ありがとうございました。
同期の中では、海外出張で欠席もあり、怒られてばかりの劣等生でしたが、振り返ってみると、教えていただいたことは、極めて体系的で、おかげさまで、その後の仕事の基礎になっていると思います。
太田さんのご苦労と、そして成果、ブログやメディアを通じてとても励みになります。
そして、私も、もっともっと、業界での人財育成がんばらねば、という思いです。
今後ともよろしくお願いいたします。
Posted by: taka | July 08, 2009 06:56 PM