アパレル海外生産のチャイナプラスワン
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ここのところ繊研新聞や日本繊維新聞といった業界紙が頻繁に取り上げる話題の中で、気になっているもののひとつに自由貿易協定(FTA)があります。
これまで中国一極集中だった日本のアパレル海外生産。
人件費が上がる中国に比べて、工賃が安い国で、一定の条件、例えば素材と縫製の両方を現地または地域内の2カ国間で調達できれば通常10%弱かかる日本のアパレル製品の輸入関税が無税になるという制度で、大手アパレル企業が「チャイナプラスワン」政策として、取組始めています。
ちなみに、繊研新聞によると、縫製工場の労働者の賃金比較、上海で月額190-290ドル(上海基本給249.4ドル)に対し、カンボジアで80-100ドル、(ハノイ95.8ドル)、バングラデシュで43-68ドル(ダッカ57.4ドル)だそうです。(カッコ内は繊研新聞09.11.17付け記事より)
これまでに適用されている協定の内容を簡単に整理すると、
1)特恵関税(0%)の
ミャンマー
カンボジア
バングラディシュ
ラオス
※布帛は生地持ち込みでも適用、カットソーは現地での紡績が必要
現状、自国でカットソーの紡績ができるのはバングラのみとのこと
2)自国で素材、縫製を行えば関税0%の
ベトナム
シンガポール
マレーシア
タイ
インドネシア
フィリピン
ブルネイ
これに、この度加わったのが、
3)下記アセアン内の国で素材、縫製手配をすれば関税0%
ミャンマー
カンボジア
ラオス
ベトナム
シンガポール
マレーシア
タイ
インドネシア
フィリピン
ブルネイ
という日本アセアン包括的経済連携(AJCEP)です。
これらを冷静に見ても、もっとも注目されるのは、自国内で素材~縫製が完結出来、工賃の安いバングラデシュのカットソーでしょう。 それから、ジーユーの990円ジーンズが話題のカンボジア(これは素材は持ち込み)でしょうか。
以前から、海外や国内でもファッションストアに行くと、商品そのものと併せて、その原産国にものすごく興味のある私・・・それを見ているだけで世界旅行をしているような幸せな気分になる、ちょっとオタクっぽいですが(笑)・・・
特に06年に欧米のクオタ(国別輸入制限枠)制度が撤廃されてから、彼らの、適品適地生産政策が徹底されているのに気が付きます。つまり、クオタが調達できる国であればどこでもよいではなく、かといって、日本のような中国一極集中でもなく、商品特性、賞味期限、コスト、調達のスピードに応じて原産国を使い分けているのがはっきりわかるのですよね。
だから、今、外資系SPAの店頭は、アパレル製品のグローバルソーシング(調達)の教科書だと思っています。
なんでもかんでも、作り込みの売り減らしにするかQRにするか、ALL OR NOTHINGにしてしまう日本企業は見習うべき。
一度、最近、日本国内でも見れるようになった外資SPA、H&M、ZARA、GAP、フォーエバー21の店頭を見てみてください。とみにバングラデシュ製の低価格ベーシックカットソー、すなわちTシャツ、タンクトップ、ポロシャツが急激に増えているのがわかります。(本協定とは関係ありませんが、トルコ製もちょっと気にとめておいてください)
何枚も買って着てますが、悪くない。特にH&Mのバングラ製1790円スキッパーはシルエットもよく、お気に入りのひとつです。
これに目をつけ、商社が定番的な商品、ドレスシャツ、ユニフォーム、スラックスなどで、ベトナム、ミャンマー、カンボジアあたりにすでに進出していますが、先ごろ合弁工場を設立して、稼働させつつあるユニクロもさすが、先行組でしょう。
中国製はあたりまえになった我が国で、これから、目の肥えた日本の生活者が、良質で低価格のバングラデシュ製、カンボジア製の商品を手にすることも多くなりそうですね。
関連エントリー-ユニクロがバングラデシュに合弁工場設立
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