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July 17, 2009

日本のアパレル品質基準を取り巻く環境の変化

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 昨日のエントリーにも関連する話ですが・・・7月17日の繊研新聞、1面下の記者コラム「め・て・みみ」に、これからの日本のアパレル業界の品質基準についての問題提起があり、かつてアパレル生産の品質管理に苦労をしていたころの自分を思い出しながら、共感もしながら、読ませていただきました。

 内容は、コストを追求して、中国はもちろんそれ以外に広がりつつあるバングラデシュなどの幅広い海外生産地。用途に対してベスト(best)ではなくとも必要十分(enough)なクオリティを提供するファストファッションが、日本の生活者にすんなり受け入れられ、現状、さほど品質が問題になっていない事例をあげて、今、グローバルビジネスの波に巻き込まれ、生活者の意識、環境が変わる日本のファッション市場の中で、これまで「世界一品質に厳しい」と豪語してきた日本のアパレル業界の品質基準のあり方を問うものでした。

 「供給側が考えるほど、消費者は品質に敏感なんだろうか?」
 
 「高級品ならともかく、中低価格品まで過剰な品質基準で縛ることが、消費者のためになるのだろうか。」
 
 (以上記事から引用。)

 アパレルメーカー(作る企業)と小売(売る企業)の分業の歴史の中で、「天然素材」という、不安定な素材をメインに使った「手工業製品」でありながら、小売店頭で、顧客クレームを絶対に起こさないための日本のアパレルメーカー、商社、製造工場のベストなクオリティを実現するための品質管理の努力は並大抵のものではなかったと思います。

 百貨店から量販店まで、その商品の賞味期限、販路、価格を問わず、といってもいいでしょう。

 それは、日本のあいまいな取引習慣や、いざというとき、揚げ足を取る、取られる材料になっていたこと(売れなければ、それを理由に返品、もともとの発注責任が問われない)が、より複雑に、厳しくしていたことも否定できないのではないかと思うことも多いです。

 その構造は、常にベストな、鉄板な?クオリティを実現するために、払われる時間、手続き、コスト・・・そのすべてが、鮮度や手軽さが問われるはずのファッション業界で、「スピード」と「価格」に跳ね返ってくる・・・
 
 H&Mの日本上陸にあたって、多くの業界専門家が同社の品質は日本の生活者に通用しないのでは?と指摘。

 銀座店オープン当初こそ、素材の甘さ、たたみ皺、糸始末の悪さに対しての業界の方々の酷評も多く耳にしましたが、スピーディに学習を重ねる彼らの店頭は、みるみる改善、いまや、これまで百貨店や専門店でしかお買い物をして来なかった(選択肢がなかった?)生活者に耐えうる、必要十分な商品、クオリティを提供していると言ってもよいのではないでしょうか?店頭を見るたびにその改善度に感心させられるものです。

 1シーズンしか着ないのだから、安いのだから、安かろう、悪かろうでよい、というつもりは毛頭もありません。むしろ、いまでは、業界のスタンダードと言えるユニクロの品質改善努力を見たら、そんなことを言い訳にしている企業は、市場から退場を迫られます。

しかしながら、旧態依然とした流通や商慣習が、業界に課してきた呪縛、店頭価格アップで生活者にツケを払わせて来たコスト構造は、この品質基準問題も含め、抜本的に見直しをされなければいけない時であることは間違いないと思います。

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