クリスチャン・ラクロワ経営破綻で考えるクリエーションとビジネスのバランス
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12月21日の繊研新聞に、今年5月末に経営破たんし、今月初めに再建案が受理されたクリスチャンラクロワ社に関する記事が掲載されていました。
先だって11日に日経MJで、従業員9割削減、オートクチュール(高級仕立て服)およびプレタポルテ(高級既製服)事業から撤退し、アクセサリー、メンズ、ウェディング、香水の「ブランドライセンス管理会社」として存続するという記事を読んだとき、パリの大御所ブランド、国宝とまで呼ばれたラクロワにとって、クリエーションができないという、非常に残念であり、残酷な顛末だなぁ、と同情するとともに、ラグジュアリーブランドビジネス受難の時を感じたものでしたが・・・
今回の繊研新聞を読んで、見方が変わりました。
記事によると、クリスチャン・ラクロワ社は、1987年の設立以来、22年間1度も利益を出したことがない。累計赤字の概算は1億5000億ユーロ(197億円)にのぼり、08年の売上3000万ユーロ(39億円)に対し、1000万ユーロ(19億円)の赤字。
ラクロワがオートクチュールに強みを持っていることはもちろん知っていましたが、そのオートクチュールや奇抜なプレタポルテコレクションに現を抜かし(05年に米ファリックグループにブランド売却後は、ラクロワ本人はビジネスにかかわっていない模様)、ラグジュラリーブランドビジネスの定石といわれる、オートクチュールを頂点に、プレタポルテ、アクセサリー、パルファンという、クリエーションと大衆もアクセスできるピラミッド型マーケティング、ビジネスのバランスが全くできてなかったことが詳しく解説されていました。
これでは、リーマンショックも世界同時不況もなにもそれ以前の話で、芸術とパトロンの関係ならまだしも、ビジネスとしては同情もなにもない、と感じてしまいます。
ファッションビジネスには、本当にクリエーションとビジネスのバランスが重要で、どちらかだけではダメなことは言うまでもありません。
ご本人がバランス感覚のあるアルマーニや川久保玲さん、両者を役割分担して2人3脚で成功するイブ・サンローランやイッセーミヤケの事例、LVMHグループのようなホールディングカンパニーの傘下に入り、うまくパートナーシップを組む事例など、やり方はいろいろですが、支持するファンのためにもうまくバランスを取って、今を乗り切り、しっかり健全なビジネスをしていただきたいと思います。
川久保玲さんと言えば、少し前の繊研新聞の連載インタビュー面白かったです。H&Mと組んだけど、負けてないでしょ、コムデギャルソンじゃなきゃできないビジネスを彼らにやらせた、これも私たちがビジネスをクリエーションしたケースのひとつ、というような趣旨の発言をされていて、さすが!と、あらためて女史のビジネスセンスに敬服した次第でした。そのくらい時代を読んでなきゃ、このご時世乗り越えられませんよね。
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