青山商事の顧客視点の在庫コントロール改革
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1月7日の繊研新聞、10年小売業首脳に聞くのコーナーに紳士服チェーン最大手、「洋服の青山」、「ザ・スーツ・カンパニー」、「ユニバーサル・ランゲージ」などを展開する青山商事の青山社長のインタビュー記事が掲載されていました。
雇用問題、ボーナス減、クールビズ対応の広がり(いまや全企業の57%に定着とのこと)、価格競争などで、同社も紳士服チェーンのご多聞にもれず、既存店売り上げ前年比が8.9%減、全社でも減収減益(ともに09年上期決算)と厳しい業績ですが、今後も紳士服マーケットそのものは縮小することを前提として、価格政策一辺倒ではない、顧客視点の前向きな改革を進めているようで、とても頼もしいと思いました。
同社は、空白地帯でもある都心部への出店を強化するにあたり、首都圏に毎日配送が可能な物流センターを稼働させましたが、それは、まさしく、
いかに(家賃も高い)小スペースで、できるだけ多くの品ぞろえ(幅)を、最小限の在庫(奥行き)で、最高の店頭鮮度を維持して顧客に提案し、なおかつ売り逃しをどこまで食い止められるかのチャレンジ。
これがうまく稼働すれば、都心への出店機会も大いに広がるでしょうし、既存のお店の在庫コントロールにも応用できるのではないでしょうか?
そんな在庫コントロール改革の一環として、店頭だけでなく、ウェブとの連携も上手に活用しようとしているところも見逃せません。
たとえば、これまで、全店で広く薄く展開していて、全店で在庫ロスの多かった大きいサイズ、小さいサイズ、トールサイズ。この、いわゆるイレギュラーサイズの在庫ロス問題は多くのファッションストアの課題でもあります。
そういったサイズを切り捨ててしまうのは簡単ですが、同社は、店頭の展開を圧縮しながら、ウェブを利用して「全店共有在庫」を増やし、顧客の需要のあるところに適時に届けることができる体制を敷き、このカテゴリーの売上を伸ばしているとのこと。ユニクロあたりもXSやXXLは同様の対応をしていますね。
また同じウェブを活用した取り組みの中で、顧客がウェブで依頼をして、店舗で試着、10着用意させてその中から2着購入というような要望にも対応しているようです。
ウェブは、旬の商品を適時出すことも大切ですが、私は、このように、生活者の購買行動の先回りができる企業が覇者になると確信しています。
紳士服チェーン最大手、全国に店舗数が多いことが強みであることは間違いないですが、これらの発想は多くのファッション企業でも生かせるのではないでしょうか?
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Comments
私は食品スーパーで働くものなのですが、アパレレル店舗の現場で驚かされるのは、あらゆるロスに対する取り組みの杜撰さ、大雑把さ、取り組み姿勢の甘さです。今をときめく某日本一のチェーンも全く例外では無いと感じます。
チェーンストア云々の会などでお話しする機会があるアパレル企業現場責任者レベルでも、そのへんの認識の低さにびっくりすることも多く、まだまだ甘い、アパレルってのは楽な業界だな~などといつも思いますね。売り上げ上がれば全てよしw
現場の管理者に、ロス管理はちろん利益管理についての高度な知識と実践できるテクニックという地味な武器で武装した兵士をいかに揃えるかが、その企業の生死を分けるのではないかと思います。
Posted by: イアン | January 08, 2010 06:32 PM
イアンさん
コメントありがとうございます。
おっしゃるように現場が商売センスとコストマインドをしっかりもった人材が多い会社が小売業として強いことは間違いありませんね。
流通業界を見渡すと業種、取り扱い商品によって、調達方法、価格決定権、発注権限、賞味期限、商品回転、在庫責任の所在は異なり、また、現場に数値責任をどこまで担わせるかによって、意識は全く変わって来ます。
食品は店舗の方が、競合店の店頭価格を睨みながら、商品の賞味期限である日にち単位で売上、仕入、粗利から営業利益までを管理する個店主義でしょうし、一方アパレルはシーズン、週単位で本部員が粗利くらいまでは管理を行いますが、営業利益まで見通せるのは一部の幹部クラスに限られるのが現実です。
店舗が日にち単位で考えられるのは売上と人件費コントロールくらいで価格決定権はありえない、中央集権主義です。
私も商品部、営業部から、経営企画まで経験させてもらったおかげで、小売業においては営業利益段階、キャッシュフローまで考えられなければ商売人とは言えないという考えに至ってはいますが、このようにファッション業界においては現場がコントロールできる数値は限られており、そこに意識が集中するように経営側がしむけているケースが圧倒的に多いものです。
Posted by: taka | January 09, 2010 11:02 PM