販路の多様化傾向と経営課題
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2月11日の日経新聞によれば、靴小売大手のABCマートが百貨店への出店を加速するとのこと。
記事によると、同社は、今期(2010年2月期)、百貨店に5店舗出店したのに対して、来期は郊外地方百貨店を中心に、10店舗の出店を計画しているようです。
最近、ファッションビルやSCを主戦場としていたブランドや業態が、家賃歩率を下げて専門店ビル化を図る百貨店に出店したり、逆に百貨店ブランドが先行きを案じてファッションビルやショッピングセンターに出店する、いわゆる同一ブランドのマルチ販路戦略、百貨店ブランド、駅ビルブランドが垣根を越え、相互乗り入れ?をするような話をよく耳にするようになりました。
これまでと違った新しい販路に出店をすれば、新しい顧客層が開拓でき、販売機会も増え、売上も増えると思いますが、一方で、仕事柄、気になってしまうのは、運営面。
百貨店に出店と言っても、売上~在庫まで、まったくファッションビルと同じように独自に管理をさせてくれるのなら問題ないと思いますが、消化仕入れのような形態になると、ひとつのブランドに対し、やり方の違う複数のオペレーションを同時に運営しなければならない、「やりにくさ」が発生するのではないか、と心配をしてしまいます。
まあ、運営そのものは人海戦術含めてやりくりできたとしても、同じ商品の在庫管理がファッションビルと百貨店で違うやり方をせざるを得ず、一元管理ができなくなったり、その商品をタイムリーに必要な場所に再配分できなくなることによる販売機会損失や在庫過多が増えてくるのも懸念材料です。
これは、リアル店舗を中心に営業活動を行うファッション企業が、ウェブ販売を始める場合も同じ話だと思いますが、ここのところ、こういった販路のマルチ化にともなう在庫管理が、業界の課題のひとつになりつつあると思います。
先週の繊研新聞、ファッションのウェブ販売の最大手である、ゾゾタウンを運営するスタートトゥデイの前沢社長のインタビュー記事の中に、同社の今年の取り組みのひとつに、取引先ブランドの物流センターやリアル店舗の店頭在庫情報にまでアクセスをして、リアル、ウェブの在庫を一元管理することで、双方の販売機会損失をいかに削減するか、在庫回転を上げるかのチャレンジを行う、という話があり、大変、興味深く読ませていただきました。
同じ商品の在庫が
・リアル店舗にはたくさんあるのにウェブストアでは完売。
逆に
・店頭で完売している商品がウェブストア在庫に余っている。
という話がよくあります。
ファストファッション台頭が拍車をかけて、今、ファッション業界では、店頭鮮度を競い、ひとつの商品の販売期間(賞味期限)を短縮し、プロパー(正価)消化を高める競争が激化している昨今、このような在庫のロケーションの分散による販売機会ロスのリスクは、バカにできない経営課題のひとつになってくると思います。
ウェブ販売の雄は、リアル店舗の多くの企業よりも、そのあたりに危機感を感じ、ビジョンをもって取り組んで行くことがわかり、とても頼もしく感じたものでした。
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