ハニーズが成長力回復に向けて始動
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7月8日の日本繊維新聞と9日の繊研新聞に6月から新しい決算期(11年5月期)に入った、婦人カジュアルウェアSPA(製造小売)企業、ハニーズの今期計画に関する記事が掲載されていました。
ハニーズと言えば、2007年くらいまでは、シーズン立ち上がりにメーカー仕入れ商品を店頭に並べ、売れた商品や、マーケットで見つけた売れ筋をいち早く見極め、自社で中国の取引先に依頼して、短納期生産(QR)する手法を用い、ヤングカジュアルウエアーのマスマーケットにおける商品的中率を高め、飛ぶ鳥を落とす勢いでした。
そのころは、同社を取り上げる新聞記事も多かったので、ちょくちょく、ブログでも取り上げたものでした。
本格的QRを実践する日本のアパレルSPA(製造小売業)(05.4.1)
ハニーズは日本のH&Mになれるか(05.7.14)
ハニーズが極めるデマンドチェーンマネージメント(06.3.7)
ハニーズも、リスクを張って企画先行型商品を開発へ(07.9.21)
その後、同社のキャパを上回る大量出店を、効率の悪い立地に続けたことが大きな要因だと思いますが・・・既存店売上が長い間低迷し、プレス活動も控え目にされていたのか、同社の記事もあまり見かけなくなりました。
同社の決算関連データをチェックしてみたところ、先月6月は、2007年11月以来、約30ヵ月続いた既存店売上高の前年割れ記録にようやく終止符が打てたようで、久々に既存店の売上が単月で増収だったんですね。
長いトンネルを抜けて、今期同社が打ち出す方策は
国内においては
店舗のスクラップ&ビルトを続けながら、(40店の出店に60店の退店、期末店舗数は867店の見込み・・・店舗数はユニクロより多い)
・これまで商品本部主導だった全国統一MD(マーチャンダイジング)を見直し、立地別店舗特性別MDとすること
そして
・大手SPA出身者を幹部として招聘して営業本部を新設し、商品本部と2本部体制で、現場の意見を吸い上げながら、販売力を強化し、
まずは、既存店の脇固めを行う模様です。
一方、中国の出店の方は順調のようで
今期は、60店を出店し、期末店舗は199店になる見込み(これもユニクロより多い)。
日本繊維新聞に掲載されている期末店舗数156のうち、FCが14店舗しかない、つまり直営が140店舗あるというのは、立派です。
また、中国で生産した商品を、現地の自前の上海と青島の物流センター経由中国本土に回せるしくみもできているらしく、粗利率は、日本国内よりも中国の方が高いようです(国内が58%に対して中国は65%超)。
目指す中国1000店舗に向けて、着々と自力の体制づくりが進んでいるようです。
正直言うと、NSC(近隣型ショッピングセンター)や、他社の退店の続く2等地、3等地のファッションビルにダボハゼ的に出店をし始めたころ、あぁ、ハニーズも、規模の拡大を急いで坪効率を下げ、販管費率が上昇して、衰退して行った業界の多くの大手婦人服チェーンの轍を踏むのかなぁ?と懸念しておりましたが・・・今期は、整理がつき、ようやく成長回復のメドがたったのでしょうか。
そもそも、同社が衰退していった旧来型の婦人服チェーン店たちと違う点は、
・マーケットの需要を、国内メーカーに頼らず短納期(QR=クイックレスポンス)で商品化できるSPA手法を取っているところ
・低い販売効率でも、ある程度はやっていける粗利率の高さ(昔のチェーンより10%程度高い)
・経営者のリーダーシップのおかげか?本部が、それほど頭でっかちにも経費高にもならなかったこと
・国内の成長が曲がり角にあっても、早いうちに中国出店に取り組むことで、成長モチベーションが保てていたこと
などが挙げられます。
ハニーズは、これまで、QRで売れ筋商品を調達、店頭に並べることができても、売り切る力が弱かったわけで、規模に耐えうる在庫コントロールや店舗人材育成というボトルネックを克服することができれば、まだまだ和製ファストファッションとして、成長できる可能性と企業体力を残している企業ということができそうです。今期の政策の成果に注目して行きたいと思います。
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