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July 11, 2010

組織・人事の国際化も、基本は「現場」に近く

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7月10日の日経新聞に、ユニクロのファーストリテイリング他、日本企業がグローバル戦略の一貫で、事業部や関連本部の中枢を日本から海外に移転したり、現地法人の社長に現地人を抜擢する事例がいくつか紹介されていました。

 日経新聞では、最近、この手の内容のニュースを、積極的に掲載していますね。

 日本国内市場のみをターゲットにして久しい日本のファッション業界では、今までは、関係なかったことも、欧米ファストファッションの上陸、中国マーケットを視野に入れなければ、今後の成長が望めない市場環境、アジア人観光客の流入・・・グローバルウォーズに飲み込まれた日本では、もはや避けては通れない話題でしょう。

 アパレル業界でも、ユニクロは別格、と思ってはいけません。中国出店を加速しようとするサンエーインターナショナルも先ごろ国際事業部の本部を東京から中国上海と香港に移しましたしね。

 聞くところによると、中国での好立地への出店の決め手は、「即決」だそうですから、本社に帰って、上司と相談や稟議では埒が明かないので、「現場」に即決できる幹部がいる必要があるわけです。

 前説はほどほどに・・・

 今回の記事のメインは、ファストリが、同社2010年「民族大移動の年」に、ユニクロの商品企画を担うR&D部門(デザイナー、パタンナー)と生産管理を行う生産部の大半を中国上海に移転する方向で進めているという話です。

 記事によると、目的は、生産現場との連携を緊密化し、商品の完成度を高める狙い、とあります。

 中国一極集中生産のリスク分散のために、バングラやカンボジアの生産比率を高めている同社ではありますが、7割以上の生産を行う中国の工場=「現場」の近くに、本生産やサンプリングに携わる職種のスタッフが常勤していることは、非常に効率的で、的を得ている話だと思いますね。

 そして、それを実行に移そうとする同社は、さすがだと思います。

 上海へ異動できる日本人スタッフは、グローバル化に向けて、それなりの覚悟もいるでしょうし、中国人スタッフ比率を高めて切磋琢磨することによって、工場とのコミュニケーション的にも、人件費を含むコスト的にも、スピード経営的にもメリットがあると考えられますから。

 以前、同社がこの話を進めていることが、業界で話題になった時に、生産、設計(ハード)系のスタッフと一緒に、デザイナー(ソフト)も、上海に異動させるのかどうかで興味深い議論になりました。

 本来なら、世界のデザイナー、クリエーター、バイヤーが定点観測の地にしている、世界のファッション(店頭)とそのリミックス(ストリート)に最も触れられる「現場」=東京から離れるのはもったいない話だと思いますが、

 将来は、日本より中国マーケットを重視しようと思っていたら、中国市場を日夜ウォッチできる「現場」=中国に行って中国人のファッションを研究するのもありでしょうし、

 はたまた、マーケットを見てクリエイティブなデザインをするより、日欧米の上層ファッション企業が、どんな商品を中国で作っているのかの情報に触れ、研究しなさい、ベンチマークしなさい、高品質のノックオフ商品を考えなさい、というのなら、その「現場」は中国の工場や素材メーカーということになるでしょう。

 さて、同社のデザイナーが期待されている仕事の「現場」ってどこにあるのでしょうかね。 

 ちなみに、H&MもZARAもGAPも、生産担当者は、「現場」である生産地ごと張り付いていますが、デザイナーは本社を拠点にして、海外リサーチに飛び回っているようですが・・・

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