「ユニクロ流」はユニクロにしか通用しないのか?
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7月23日の日経新聞、繊研新聞、日本繊維新聞各紙に、前日、ファーストリテイリングが、完全子会社キャビンを同リンクセオリージャパンに吸収し、来年始めをめどにキャビンが展開していたザジ、アンラシーネ、e.a.pなどの事業から撤退することを発表したプレスリリースに関する記事が掲載されていました。
おそらく、株主に対する期限通りのお約束が果たせなかった、というのが大人の事情だと思いますが(そういう意味では、今後の靴事業も同じことになる可能性は否めません)、いろいろな意味で残念が気がします。
キャビンが展開する上記ブランドは、ファストリが子会社化した時、同社がユニクロ以外に、日本を含むアジアマーケットで、レディースカジュアルビジネスを拡大する上で、もっとも、親和性があり、マスに広げ易く、料理しやすいブランド群だと思っていたんですけどね。
このあたりをうまくこなせないようだと、「ユニクロ流」はユニクロにしか通用しないのかな、と思わざるを得ません。
もともとのキャビンのブランドなんかもそうですが、マス狙いながら、それなりに、アパレルブランドらしい手工業製品的な面、味わいもあったわけで、ユニクロ流の「アパレルの工業製品化」的なアプローチは、既存アパレル再生には機能しないのかな~と感じてしまいます。
ここのところ、プレスリリースの多いファストリですが、今週は、日本が世界に誇る素材メーカーである、東レとの長期的取り組み第二弾に関するプレスリリースもありました。ユニクロは、東レとのタイアップや機能素材の強化、DOスポーツへの取り組みなんかを広くアピールすればするほど・・・
インナーウエアー(下着、部屋着)のユニクロ、機能素材のユニクロ
のポジショニングが強まり、ますます、アウターとして着たい「ファッション」から遠ざかって行くのではないかと思ってしまいます。
機能、インナー、DOスポーツを全面に出し、一方、ファッションとして企画した商品を値下げ処分している最近のユニクロの店頭を見ていているとそんな感じがしますね。
そういう意味では、今、大手のファッション企業は、ユニクロを「非ファッションアパレル企業」として、「リ・ポジショニング」して、ファッションSPA大手のポジショニングを獲得するラストチャンスなのかもしれません。
私は、2000年前後のフリースブームの後、「ユニバレ」が話題になった時にも、多くの大手アパレル企業にそのチャンスはあったと思いますが、残念ながら、その時は、各社、ユニクロの本当の脅威に危機感を持てず、2005年以降の柳井社長復帰、ユニクロ回復後の独走を許してしまったと思います。
今回も、潮目が変わった、高くていいものを売ろう、と決め込むなら、その座が、外資のH&MやZARAに持っていかれることを、指をくわえて見ているしかないのでしょう。
関連エントリー‐ファストリがキャビンを傘下に
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Comments
「ユニクロ流」はユニクロにしか通用しないと思います。
店、人、商品すべてユニクロを押し付けても無理な話。
文化も、業態も違う会社を買って、その文化を否定して
顧客の事よりも
柳井さんの為
ユニクロの為
の品揃えになってしまえば
お客様は逃げてしまうのも当たり前です。
売上が悪いのはキャビンの社員能力が低いのが原因
ユニクロから出向してきた幹部社員が
最後まで言っていたそうです。
大量のリストラでほとんどユニクロの社員しかいないのに・・笑
Posted by: CHAMP | July 28, 2010 08:25 AM
コメントありがとうございます。
60周年記念商品として、ジーユークオリティの同一商品が、ユニクロ、ジーユー、キャビンの店頭に同時に並んだ時は、さすがにビックリしました。
自身の成功体験、ビジネスモデルが強いほど、同じやり方を当てはめたがったり、それよりも商品回転が低かったり、販売効率の劣るビジネスには耐えられないことはよくある話かもしれませんが、一体何のためのM&Aだったのかと思います。
Posted by: taka | July 29, 2010 09:48 PM