国内アパレル衣料消費市場規模の縮小と業界のイノベーション(革新)
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10月22日の繊研新聞、「FB(ファッションビジネス)プロフェッショナルへの道、『明日のために』」、という不定期連載特集?に、「数字とデータで見るファッションビジネス」という見出しで、同紙が独自に捉えた衣料消費市場データが掲載されていました。
今回のデータは、経済産業省や財務省の統計、日本百貨店協会、日本チェーンストア協会、日本通信販売協会などが発表する業界データに、同紙が毎年業界各社に対して行っている専門店売上高データをもとに算出した数値のようですが、国内市場をマクロ的に捉え、今後を考える上で、押さえておきたい、参考になる情報だと思いますので、その記事の中から、ここ10年間の市場の変化にフォーカスを当て、私の感想を交えてご紹介したいと思います。「約」とあるのは、記事中の数字ではなく、私がグラフから読みとったものです。
1.日本の衣料消費市場規模
2000年 2009年 増減
小売売上高 約12兆円 → 9兆円弱 約3兆円(25%)減
2.販路別シェア
2000年 2009年
百貨店 約35% → 26.4%
量販店 約27% → 15.5%
専門店 約33% → 48.4%
無店舗販売 約 5% → 9.7%
3.国内への衣料供給量(流通量)
2000年 2009年 増減
国内供給量 35億84百万枚 39億13百万枚 3億29百万枚増
輸入浸透率 85% 95.8% ピークは09年
内中国比率 85.4% 89.6% ピークは07年の92.3%
4.平均単価(単純に1÷3で算出;ただし実際には全て売り切れてないので、もう少し高い)
2000年 2009年 増減
平均単価 約3384円 約2299円 約1085円(32%)減
大づかみに言うと・・・
・10年間で、市場規模は金額ベースで75%に激減したが、
・供給量は輸入品の増加で9%増え、
・単価は32%下がった
となります。
「服が売れなくなった」、「服を買わなくなった」、と言われるアパレル市場規模、確かに金額ベースでは年々縮小を続けていますが、生活者は、ユニクロ、ファストファッションなど低価格業態が増え、数量ベースでは10年前よりも、たくさん買っているんですよね。
こんな数字を見て、景気が悪くて、収入減、デフレで安いものしか売れない、と簡単に斬る論調も世の中には、少なくないわけですが、一時期話題になった、浜矩子さんの「ユニクロ栄えて国滅ぶ」、「ユニクロ型デフレと国家破産」にしても、それらの企業が生活者のために行った革新・・・「もしドラ」流に言えば、「イノベーション」を語らず、価格を下げて、大量に販売していることだけを批判するのは、ちょっと違うんじゃないかと思っています。
だって、価格は下がっても、品質はそれなりの「価格破壊」とは違って、品質は確実に向上しているのですから・・・お客さんのために実現した革新をルール違反呼ばわりしてはいけません。
10年間にシェアを上げた専門店は、価格を下げながら「品質」、「デザイン」を向上させるイノベーションを起こしましたし、無店舗販売のネット通販企業も、比較情報、買い物の手間代行、時間短縮といった「サービス」を向上させることによって、イノベーションを起こしている間に、シェアを下げている旧態依然とした販路の企業群は、生活者のために、いったい、どんなイノベーションを起こしたというのでしょうか?変わってないから、変わった方に魅力を感じるから、お客さんが離れてゆくのではないですか?
ユニクロやファストファッションの勢いは一過性のブームで、長くは続かないとの見方もあるようですが、私はそうは思いません。その他の企業が、彼ら以上のイノベーションつまり、価格以上の価値の創出を行わない限り、ユニクロやファストファッションのシェアの拡大はまだまだ続くと思っています。
さて、そんな時代に、皆さんの企業にとって、お客さんが飛びつく、価値のイノベーション(革新)って、何でしょうか?
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Comments
以前、FR柳井社長が
「大半の人は服に興味もないし時間も無い。だから品質とか流行以外の要素も大切」
と語っておられ当時非常に納得したのですが、
今となっては、服に興味が無い現状をそのまま肯定していることが、私には何だか寂しくも感じられます。
この言葉の「だから…」以降を、色々な角度から解釈してみたいです。
それにしても、供給量39億枚を年間日本人1人当たり…で考えると、結構な量になりますが、インナーまで入れると、意外とそのくらい消費しているかも?
Posted by: aya | October 26, 2010 09:35 AM
ayaさん
ユニクロの生産量が数年前に4億枚を越え、5億枚に達すると聞いています。数量ベースでは、すでに総供給量の12%くらいにはなっているんですね。
ユニクロのものづくりはある意味「割り切り」、そして、買う人も「割り切っている」と思います。
Posted by: taka | October 27, 2010 09:45 AM
諸々、とても納得です。
数字には、現実が、
そしてお客様の意志が現れていると思います。
まだまだやれること、やるべきことって
たくさんあるんだと思います。
知恵を出し、投資して、
戦い続けなければならないのが
私達流通業の性というか・・・
闘争心がなかったら、終わるときですね。
Posted by: korter | October 27, 2010 12:40 PM
korterさん
ホントですね。
Posted by: taka | October 28, 2010 06:17 PM