松屋銀座の「銀座の男」市
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昨日、松屋銀座の看板催事と言える「銀座の男」市(開催期間10月6日-19日)に行って来ました。
百貨店のスーツ2着セールは、昔からどこの百貨店でも開催しているイベントですが、ここのところ、松屋の熱血、名物紳士服バイヤーによるその舞台裏、からくりの紹介、自らのドキュメンタリーとしてメディアで紹介されることも多いため、松屋のイベントは回を重ねるごとに、前回比二桁増、今年はそれを上回る勢いと聞きます。
実は、この最近メディア露出の多い、松屋の紳士服バイヤー、宮崎俊一さん、15年前、私が、商社勤務時代に通った、IFIビジネススクール夜間コースの同窓生なのです。
当時、前イッセイミヤケ社長の太田伸之さんにお説教をいただきながら(笑)、両国でお酒を飲んだ仲間です。
実は、忙しくてなかなか連絡の取れない彼に、近々予定されている同窓会への出欠確認をするのも目的だったのですが・・・(内緒)・・・・久しぶりに彼のうんちくが聞きたくて、足を運んだものでした。
外は大雨にも関わらず、大盛況の会場にピーク時間が終了したころを見計らって、接客の終えたところを捕まえ、宮崎バイヤー「渾身」のプロジェクトと銘打った、「丸縫いスーツ」の説明を聞きました。
昔から、熱心に話し始めると止まらないところがありましたが、自ら糸から開発した生地、著名セレクトショップの高級ラインの型紙をひくパタンナー、ラグジュアリーブランドに生地を供給するイタリアの機屋、丸縫いを手がける職人さん(テーラー)についての説明をいただき、時間を忘れて聞き入ってしまったものです。
これらの工程を商社、メーカー、通訳なしで、自己完結しているところはさすが宮崎さん。これで、スーツ4万円前後(催事価格)とは・・・私も、その昔、ジャケットもスラックスも国内生産していたころがありましたので、その記憶から、生地代、要尺(1着あたりの生地の取り分)、付属代、縫製工賃などを積み上げると、原価では損にはならないと思いますが、もちろん、直取引しないと実現できない価格であることは間違いありません。
残念ながら、催事場には、足の太い私に合うサイズが、売り切れになっていたので、プロパー売場に降りて行って、彼のフィッティングで、「丸縫いスーツ」プロパー品7万円台(それでもこの価格でこの価値は他社にはないでしょう)を1着買わせていただきました。
気が付いたら閉店時間、ずいぶん時間を取ってくれて、感謝です。そしてとても楽しいひと時でした。
彼の接客を見ていて、変わらないな~、と思ったのは、スウェットパーカーを着ていたお客さんに、「脱いでください」、「大丈夫ですから」、と下着姿にさせてまで、本来のフィッティングに近い形での試着を勧めたり、奥さんが隣にいるのに、パンツの前たての仕様のこだわりを説明するために、自分のベルトをはずして、ジッパーを下して、自分のパンツの裏側の仕様をお客さんに見せて説明するところでした。
昔、コイツは、すごいと思ったのは、まだ彼が、バイヤーアシスタントだったころ、アパレルメーカーの展示会に行くと、必ず試着するバイヤーで有名だったことです。「だって、全部試着しないと、お客さんに勧められないでしょう」・・・もっともですよね。上着だけでなく、スラックスも試着することで知られていたのです。フィッティングルームがない展示会では、その場で試着しようとして、自分のスラックスを脱ぎ始めて、周りが慌てたなんて話もあります。
話を戻しますが、言ってしまうと、この催事、説明すればするほど、ある意味、複雑な流通段階と業界取引慣習の中で生きてきた百貨店ビジネスへのアンチテーゼでもあるように思います。だったら、なぜ、百貨店は、普段から、みんなそうしないのか?できないのか?とお客さんから言われてしまいそうですから。
そのあたり、同窓会で飲む機会があったら、是非、喧々諤々やりたいな、と思っています。
松屋銀座の「銀座の男」市、19日までやっているようなので、よろしかったら、覗いてあげてください。
関連エントリー-どうしてアパレル展示会場には試着室がないのか?
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Comments
放映及び書籍の『ガイアの夜明け』で宮崎俊一さんを拝見しました。OEM生産を生業とする私は正直少し斜に構えて視聴していました。
悪まで同番組の内容を真に受け止めれば、独学でイタリア語を習得されて現地で生地を買い付けて、しかも日本に輸入(LC決済も松屋で?)して国内の裁断工場⇒丸縫い工場と『家内工業』の現場を泥臭く廻っている姿に少なからず感銘を受けた次第です。
商売柄か生地のキズや裁断、縫製ミスのロスがでたらどうするのかと思ったのですが、その辺の微妙なことも密かに知りたいところです。
ですが、日本の丸縫いの技術伝達が上手くできればと祈って止みません。
更に感動したのは、私の仕事では基本的に納品して終わりなのですが、宮崎さんは店頭で実際に接客して販売しているの姿には正直「負けた」と思わざるを得ませんでした。
今迄は百貨店のバイヤーは「生産現場の知識が疎い」と言う思い込みがあったのですが、宮崎さんのような百貨店バイヤーがいらっしゃる事を知り、これからの百貨店業界の進む道の「一つのモデル」になるのかなとの感想を持ちました。
Posted by: kuwata18m | January 01, 2011 07:01 PM
kuwataさん
大変ご無沙汰しております。
5年ぶりくらいでしょうか?
久しぶりのコメント、感謝いたします。
今、業界では、どの流通段階にいようとも、生産現場、あるいは顧客に一歩近づくことが生き残りのキーワードであると思います。
今年もそんな流れを後押し、サポートしてゆきたいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。
Posted by: taka | January 04, 2011 01:39 AM