コスト高の局面に考えるべきこと
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12月23日の日経新聞に小麦、綿花、原油など世界的な原料高を受けて、食品業界と衣料業界の価格対応に関する記事が掲載されていました。
記事によると、メーカー主導?の食品業界は、原料コスト増を価格転嫁=値上げの方針を打ち出しているところが多いようで、
衣料業界では、
比較的高額品を扱うアパレルメーカーのオンワード樫山や三陽商会は、付加価値を上げながら全般的に1000円から1500円の値上げを打ちだし、
低価格の小売業であるユニクロは据え置きの方針のようです。
この話題は、今週参加した流通系機関投資家アナリストさんたちとの懇親会でもトピックの一つでした。
アパレル業界では原料とは別に中国の人件費アップ問題も深刻ですからね…
会合には高級品も扱う上場アパレル専門店の方も同席され、私も同意見でしたが、小売業は値上げには極めてナーバスなのが実情です。
私は、生産も卸も小売も実務経験をしましたが、
メーカーサイドはコスト増を価格に転嫁しようと考えますが、
小売業は何とかして価格を維持しようと考えるものです。
店頭の視点で考えると、値上げは作り手の事情で、事情はわかっていても、お客さんは高ければ購入を控えますから・・・
客数は小売業の人気のバロメーター
一時的な単価アップで売上高を維持して、乗り切れても(実態は客数減x単価増)、二年目の更なる客数減を単価アップでカバー出来ないことを我々小売業は身に染みてわかっていますから…。
この局面の考え方を言うと、
プライスポイント=最多価格帯は維持して客数を減らさず、一方で収益改善に取り組むしかないでしょう。
言うは易し・・・しかし、小売業の収益、粗利益を取り上げて考えると、いろいろ見えてくると思いますが・・・
まず、粗利を「値入」と「値下げ」に分解してみましょう。←これができていない会社が多いですが、まずは、現状の数値化から・・・
値入の改善は、既存流通、取引先を維持するなら、「取引先にもメリットのある買取条件の見直し」 を、そして抜本的に取り組むなら、中間業者に頼り切らず、「生産現場に歩みよる」 ことによって改善できるはず。
一方、値下げは、「在庫コントロールの精度を上げる」ことによって、プロパー消化を高め、期末在庫を削減することで抑制出来ます。
そんな観点から見たら、日本のファッション企業は、まだまだやり尽くしていないことが沢山あるのではないでしょうか?(しまむらやベイシアグループはこのあたりにかなり取り組んでいるようですが)
上記に挙げた点に毎シーズン、会社ぐるみで、ひとつづつでもいいから取り組むことによって、わざわざバングラデシュや中国の奥地に行かなくても、数パーセントのコスト増は吸収出来てしまうのではないか?というのが、会合の結論でもありました。
ちなみにアメリカの優秀なチェーンストアは、KPI(経営重要指標)ひとつひとつに、その数値を改善する担当役員がひとりづついるという話を聞いています。
みなさんの会社の役員さんは、どんな経営数値の改善のためにお仕事をしていらっしゃるかご存じですか?
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