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December 17, 2010

ブランドがCMを打つタイミング

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 少し前になりますが、12月12日の日経MJに、「アースミュージック&エコロジー(以下アース)」を展開するクロスカンパニーの石川社長の「あのテレビCM」の舞台裏に関するインタビュー記事が掲載されていました。

 女優の宮崎あおいちゃんに、ブルーハーツのヒット曲を歌わせた同社初のテレビCMは、今年、ファッション業界で最も話題になった事例のひとつに挙げることができるでしょう。

 CM製作費11億円、CMと連動した店頭は、集客力を増し、3-11月の既存店売上高は約50%増。

 同社の09期末の売上高が約266億円で、粗利率は60%前後と考えられますから、CM投資は、投資回収どころか、短期的に見ても、ざっと、その5倍以上の増益効果があったと思われます。

 同社の成功を羨んで、テレビCMを打ったり、これから予定、検討しているファッション企業も少なくないと思いますが・・・

 気を付けなければならないのは、CMに限らず、広告宣伝っていうのは、集客効果がある分、準備が整っていない場合は、顧客をがっかりさせ、逆効果になることもあるということは、マーケティングの常識だと思います。
 
 そういう意味で、クロスカンパニーの場合は、コツコツと積み上げてきたものがあって、メジャーブランドとのコラボ商品など、用意周到な仕掛けもあり、機が熟したタイミングでのCM効果だったのではないかと思います。

 基幹ブランドのアースの商品MDについては、ODMよろしく、決してユニークで、特別なものではありませんが・・・いつも店頭で思うのは、シンプル&ナチュラルでおなじみのポイントのローリーズファームにありそうな商品に、何かしらプラスワン(レースのディテールとか付属使い)した商品が多い気がします。

 だから、ミニマルなローリーズにちょっと物足りなさを感じた女性が、複雑すぎず、程よく、購入しやすい商品なんだろうな、と。ローリーズという基準があって、比較対象しやすい、わかりやすい、買いやすいMDであることは間違いないでしょう(原価率が低いため、質感はローリーズの方が上質だと思いますが)

 日本の中でも指折りの好立地に出店し、店舗の世界観もローリーズファーム同様、そつのない、こじゃれた雰囲気。

 そして、業界の中での、絶対的な差別化は、店頭人材に集中投資している経営にあることは間違いないでしょう。

 全員社員で教育の行き届いたモチベーションの高い店舗スタッフ、業界ではトップクラスの女性が働きやすい職場環境、商売人魂徹底がテレビCMで呼び込んだ顧客、新規顧客に対し、決定率を高めたことは想像に難くありません。

 今回のCMについて、石川社長は、日本含め、アジアで知名度が低かったから、従業員のモチベーションのため、とコメントされていましたが、それ以前に、機が熟したと感じられていたことでしょう。
 
 同社の成功から学ぶのは、CMを打てば服が売れる、ではなく、用意周到に準備し、効果的にCM(広告宣伝)を打つ、ということではないでしょうか?

 みなさんの会社は、「その時」のために何を準備していますか?

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