しまむらの物流の強み、その裏側にあるもの
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5月18日の日経MJ一面に大震災発生後の復旧にあたり、あらためて「強み」を発揮した、しまむらの自社物流インフラに関する記事が掲載されていました。
同社は、ファッション流通の中でも、もっとも被災した店舗が多かった企業のひとつ(全国1647店舗中402店舗が被災し、震災直後、109店舗が営業停止)でしたが、ライフラインである実用衣料を取り扱う使命から、被災地の需要にこたえるべく、メーカー、本部、店舗が一丸となって、復旧のスピードも業界トップクラスの速さだったと思います。
自社物流の強みを活かし、第三者に頼らず、自ら直接被災地に寄付を届けに行った姿勢は、とても感動的で、以下のブログエントリーでご紹介させていただいた次第です。
関連エントリー‐しまむらの被災地支援に見る企業の社会的責任
同社の物流システムは、国内外の多くの企業が視察に行くほど、完成型のひとつと言われています(私も小売りチェーン勤務時代に拝見させていただき、その裏側にある姿勢を参考にさせていただいたものです)。
メーカーがあらかじめ店別に梱包したカートンを、全国に9つある地区別自社物流センターで自動仕分けをし、翌日、開店時には、店頭で販売ができるように、自社ルート便で夜中のうちに全国1000店舗以上の店舗に届けたり、
同ルート便の戻り便では、ITで科学的に判断、指示の出された店間移動商品を回収、翌日移送先店舗に配送することによって
業界屈指の値下率の低さ=プロパー消化の高さを誇っているのは業界でも有名な話。
仕入れた商品を、技術を駆使して、「売り切る力」は、業界内でも同社の右に出るものはないと思います。
以前、経済紙の記者の方から、しまむらの物流が業界で最先端のひとつであるなら、なぜ他社はそれを真似しないのか?できないのか?と聞かれたことがあります。
私は、その答えは、チェーンとしての規模が大きいとか、投資額が莫大であるとか、ITに優れた人材がいるとかいないとかの話ではなく、
顧客が誰かが明確で、そのお客さんのために、店舗と本部が一丸となって、どんな商品、サービス、価値を提供しようと考えるのかという、
顧客と従業員に対する「思いやり」と
業務の全てを妥協なく、その方向に向ける「覚悟」と「執念」の問題だと思っています。
小売業の使命は、顧客が求める商品を、タイムリーに、一人一人の手元に確実に届けることだと思っていますが・・・
日本のファッション流通企業の中で、しまむらほど、その使命に対して真摯に取り組み、そして執念を持って、まっとうしようという姿勢の企業はそうは見当たりません。
業界の中には、しまむらの店頭の美的感覚を見て、あんなのファッションじゃない、と批判をする方が少なくありませんが・・・そう言う方々には、表面的な部分だけでなく、その裏側にある、ファッションのひとつのビジネスモデルの完成型と、それを実現するための、ロジスティックの真骨頂もしっかり学んでいただきたいですね。
そんな、ひとつの完成型を築いたしまむらも、記事の後半部分にもあるように、現在、岐路に立たされています。
ここ数年、同社は、日本の出店の空白地を埋めるべく、都心部で、商品が高回転する立地や、SCのテナントとしての出店が増え、これまで郊外路面店向けに発揮した物流システムがそのままは通用しないという課題と向き合っているわけです。
しかしながら、「思いやり」と「執念」をもった同社のことですから・・・得意のPDCAを回しながら、きっと乗り越えてゆくと確信しております。
同社が試行錯誤の末、また業界の新しい解を導き出すことを、楽しみに見守っております。
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Comments
いつも楽しく拝見しています。
私も同じように思っていたので、同感です★
Posted by: のぶのぶ | May 29, 2011 10:01 AM
のぶのぶさん
コメントありがとうございます。
またお寄りください。
Posted by: taka | May 30, 2011 10:31 AM