アジア衣料品生産における商社の役割
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7月10日付け日経MJに、大手商社のチャイナプラスワン、中国に続くアジアでの衣料品生産地囲い込みに関する記事が掲載されていました。
記事によれば、
丸紅は、ベトナム繊維最大手ビナテックス(ハノイ)と包括提携、ワイシャツ年400万枚分の生産キャパシティを確保。日本に限らず、中国含め、世界市場向けの生産にあてる模様。
住金物産は、ミャンマーで年70万枚の生産ラインを新規確保、インドネシアではこれまでの90万枚だった生産キャパシティを150万枚まで引き上げるとのこと。
これら2社のように、経済成長著しい中国の人件費高騰、内需拡大によって、新しい生産地、生産キャパシティの確保、陣取りが、現在、各商社アパレル部門の最重要課題のひとつになっています。
中国問題によって、時代が大きく変わる今、商社にとってはビジネスチャンス。
いづれは、中国のように、日本のアパレルメーカーやアパレルチェーンが現地工場と直接取引を始めるにしても・・・
当面の間は、資金力、語学力、開拓者精神、コーディネート力のある日本の商社の腕の見せ所になるでしょう。
しかしながら、中国の生産工場開拓時のように悠長なことは言っていられない事情もあります。
輸入クオタ制が廃止された欧米が競合でしょうし、世界の工場だった中国自身もキャパ取りのライバルですから、記事の中の商社幹部の方がおっしゃるように、ここ1-2年で有望な工場の生産ラインはすべて押さえられてしまうことになるでしょう・・・
というか、もうすでにいっぱいという話も頻繁に東南アジアに行かれている方からよくお聴きしますね。
また、一般的に、中国工場開拓との違いは、多くの中国人が日本語を話してくれるという語学的な問題だけでなく、
・タイやインドネシアを除く、ほとんどの原産国が原材料を他国から持ち込まなければならないこと
・特に内陸の国では、工場から港までの輸送経路、輸送手段(陸運インフラ)は未整備のところが多く
・港まで着いても、日本への輸送期間が長いこと(中国沿岸部のプラス2-3週間くらいでしょうか)
などなど、既存の物流に乗っかればよいという話ではありません。物流、インフラ整備の問題も同時に解決しなければならないわけですね。
生産地開拓だけでなく、あわせて求められる国際物流の安全性、効率、コスト対策、組織力のある商社ならではの「お題」ではないでしょうか?
原産国の事情も理解しながら・・・5年後にはアジアにどんな生産地勢力図が引きなおされているのでしょうか?
とても興味深く見守っております。
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Comments
色んな動きがあるんですね・・・。
Posted by: コウイチ | July 15, 2011 01:26 PM