小売ビジネスを科学する!サイゼリヤの「おいしいから売れるのではない、売れているのがおいしい料理だ」を読んで
クリックして人気blogランキングへ
サイゼリヤ創業者で現会長の正垣泰彦さんの書かれた
「おいしいから売れるのではない 売れているのがおいしい料理だ」(日経BP社)
を読みました。
会長、社長を筆頭に理系出身の社員が中心に、チェーンストアビジネスを科学的に考える外食チェーンとして定評のあるサイゼリヤの正垣会長初の著書ということで大変興味深く読ませていただきました。
知る人ぞ知る話ですが、正垣会長は、チェーンストア理論でおなじみの故渥美俊一先生のペガサスクラブの、最も優秀な門下生のひとりであり、同理論を上手に取り入れて成功した経営者としても有名です。
その昔、十年も前の話ですが、私も渥美先生の薫陶を受けていたころがあり、当時よく、渥美先生から
「外食チェーンでは先を走るマクドナルド、吉野家、サイゼリヤはすでにカーブを曲がっていて、もはや背中は見えない。よっぽどのことでは追いつけない。一方、アパレルチェーンの連中は、それに比べたらユニクロの背中はまだ見えているぞ」、と発破をかけられたものです。
残念ながら10年経った今、アパレル業界はユニクロの背中が見えなくなるくらい、すっかり独走を許してしまったようです(汗)
昔話はさておき・・・
同著は、正垣会長が外食産業関係者や飲食店経営者に語りかけるような異業種の話ではありますが、その話をアパレル小売ビジネスに置き換えたら・・・と考えながら読んでみると、実に当てはまることが多いと感じたものです。
ファッションでも、小売ビジネスに携わる方々には、一般生活者の購買行動や、自分たちの経営感覚、業務のあり方、作業の決め方を考えるという視点で、共通点も少なくなく、気づきの多い書籍だと思います。
では、私が、参考になると思い、ドッグイヤーをつけた箇所からいくつかご紹介しましょう。
○顧客にとって、「おいしい」、「まずい」(顧客満足)の基準は、(絶対的なものではなく)料理の品質と顧客の求める「用途」が合っているかどうかで決まる
商品さえ良ければ売れるという作り手の自己満足の時代から、顧客が求める用途にあった品質と価格のバランスの時代へ。客数増(特にリピーター)こそがその唯一のバロメーター。
○店で起きるあらゆる現象を観察し、可能な限り、数値や客観的なデータに置き換えて因果関係を考える。
売上だけでなく、経験値でも何でも、因数分解して、数値化(見える化)して、常に仮説検証を行う姿勢こそ「小売ビジネスを科学すること」の第一歩です。
○標準化のコツは、従業員の中で一番優秀な人間がやっている名人芸を誰にでもこなせるようにできないかと考えること
いわゆるベストプラクティス、課題解決、成長、人財育成のヒントは社内にあるもの。
○「テーブルをきれいに拭く」という言葉は「布巾をテーブルの上で左右に4回往復させること」と決めよ
これは耳が痛い!作業指示とは、本来、誰がやっても同じ結果が得られるようにしなければならないものです。
その他にも、なるほどそういう風に考え、伝えればできそう、と気づきが結構ありました。
渥美先生が、普遍的なもの、共通項を抽象的に語ったチェーンストア理論が、サイゼリヤ正垣会長流に非常に身近にわかりやすく感じる書籍でもあります。
この本を
外食とファッションビジネスは全く違うから参考にならないと思うか?
それとも
異業種からも学ぶもの、ベンチマークできるものは沢山あるという貪欲な姿勢で読むか?
で皆さんの未来は変わって来ると思います。ご興味持たれたら是非ご一読を。
関連エントリー‐サイゼリヤの生産性向上への取り組み
関連エントリー‐訃報 渥美俊一先生逝く
いつもお読み頂きありがとうございます。
こちらのアイコンをクリックして応援よろしくお願いします!
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
ビジネス・業界ブログランキング 【第2位】→stay(11.9.30現在)
| Permalink | 0 | Comments (0) | TrackBack (0)