ミャンマーで試される?日本のアパレル海外生産の姿勢
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4月6日の繊研新聞一面にアパレル生産のチャイナプラスワンのひとつとして期待されているミャンマーに関する記事が掲載されていました。
これまでアメリカがミャンマー軍事独裁政権への経済制裁目的でミャンマーからの輸入を禁じていたために
・アメリカのビッグオーダーという競争相手がなく
・歴史的に親日国であり
・人件費がASEANで最も安く
・人口5000万人の労働力の背景があり
・これまで軍政下ゆえにストライキで生産止まることのなかった
ミャンマーはこれまで日本が与し易く、生産キャパシティが確保しやすい低賃金の生産国だったわけです。
付け加えると、時折、量販店あたりで見かけるミャンマー製のシャツやパンツの縫製クオリティは、悪くないと私は評価しています。昔から、業界では、箸を使う国は、比較的、手先が器用で、縫製技術が高いと言われますからね。
これに対して、4月1日の同国の総選挙の結果、民主化が進むことは間違いなく、アメリカの経済制裁解除は時間の問題。
そうすると、アメリカのビッグオーダーによって日本の小さなオーダーが弾き飛ばされてしまうのではないか?と心配しているのが今回の記事の主旨です。
記事によれば、現地にはわずかに日系の工場はあるようですが・・・
現地資本に加えて、早くから目をつけた韓国系工場が多いようで、たとえこれまで日本企業のオーダーをあてにし、友好関係だった工場も、アメリカの制裁解除の暁には、細かく手間がかかる日本のオーダーに対しアメリカのビッグオーダーを優先することは、想像に難くないというわけです。
この記事を読む限り、日本企業の生産国への入り方、根っこのところは昔とちっとも変わっていないのかなあ~と考えさせられてしまいます。
かつてベトナム生産する時も韓国や台湾の企業経由。中国生産を始めたころも、中国企業が日本語で直接取引してくれるまでは、香港や台湾の企業経由。現在も、カンボジア生産は、ほとんど中国企業の現地工場ではないでしょうか?
日本企業は昔から、いい意味で言えば、分業が進み、お互い、役割分担をして、任せる、リスクを分散する信頼関係?の上にビジネスを構築してきたところがあると思います。
うまく行っている時はよいですが、悪く言えば、無責任で業者任せ。誰が主導権を持っているのかわかりません(「買う側」が威張っているのは間違いないですが、主導権を取っているわけではないように思います)。
スピードとコストが優先される競争局面に入ると、先見の明があり、リスクを取って直接入り込み、投資をして根っこをおさえる韓国企業や中国企業に主導権が移るのは、ファッション業界に限ったことではないでしょう。
日本の企業の中でも、異業種で、輸出を中心にしていた企業さんなんかは、自ら入り込み、直接販売する開拓的な営業を取られている企業もたくさんあるようで、リスペクトしていますが・・・
日本マーケットをターゲットに、国産や輸入を中心としていたアパレル業界は、グローバル時代に、「業者思想」から脱却し、リスクヘッジからリスクテイクへの体質改善が迫られそうです。
そんな意味で、上述のように、日本にとって失いたくない、最後に残された?素敵なパートナー国家である、ミャンマーで・・・
日本のアパレル企業は、みすみすチャンスを失うのか?それとも海外生産の姿勢を変えて安定供給体制を確保するのか?ミャンマーは、その試金石になるのではないかと注目しております。
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