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April 12, 2012

ユニクロは欧米先進国の成熟マーケットで事業拡大することができるだろうか?

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 4月11日のファストリのプレスリリースを受けて、各メディアが、ユニクロが今秋、米国4店舗目、アメリカ西海岸、GAPの本拠地であるサンフランシスコに820坪の大型店を出店する計画に関するニュースを報じています。

 Fashionsnap.com ユニクロがアメリカ西海岸へ 2012年秋サンフランシスコに初出店

 Googleマップストリートビューは実に便利なもので、ユニクロ出店予定地の周りの環境を覗いてみましたが、DSW SHOES WAREHOUSEの跡を改装して入居するのでしょうか?斜向かいの角に出店するH&Mのインパクトと比べると、ちょっと見劣りする感じがしますが・・・日本代表のユニクロのアメリカ西海岸初出店は楽しみですね。

 しかしながら、日ごろ、グローバルSPA(アパレル製造小売企業)ウォッチャー?として、ZARA、H&Mを筆頭に、いろいろな企業、業態の情報に触れたり、店舗視察を行ってその魅力と成功要因を研究していますが、

 果たして、ユニクロは、欧米先進国の成熟マーケットで一定のマーケットシェアを取れるのかどうか?疑問に感じることがあります。

 大上段に構え、ファッション流通革新史における、市場の成熟とその時代時代に活躍する業態、という観点から考えると・・・

 ユニクロは、日本において、米GAP、米LIMITED、英NEXT、ベルギーとドイツに本社を置くC&Aあたりと同じ、

 各国マーケットで、それまで、量販店、ディスカウンターが衣料ベンダーからの仕入コスト交渉が限界に行きつき、

 実用カジュアルウエアの商品企画から店頭販売までを自己完結的にコントロールすることによって、価格を下げながら、品質を向上する役割を果たした、いわゆるSPAの第1世代にあたると思います。

 上記の企業は、それぞれの先進国、成熟マーケットにおいて、ユニクロの先輩にあたる企業ですが、自国あるいはホームグラウンドではトップ企業となり、成功を収めたものの、他の成熟マーケットに進出して同じような成功をした例がないように思います。

 私が思うに、それは、そういった役割の企業、業態は、1マーケットに1-2社あれば十分で・・・

 マーケットがそういった寡占企業に満たされたら、(たとえばマーケットシェアの10%くらい)、生活者はそれ以上の似寄プレイヤーの登場を求める必要がないのではないだろうか?との仮説が頭に浮かびます。

 例えば、アメリカの国民は、GAPのような企業がもう一社要りますか?日本でユニクロのような企業がもう一社必要ですか?という話です。(ちなみに、日本におけるGAPはアメリカとは違った形で出店、ポジショニングをしたため、この議論とはちょっと違う位置づけだと思っています)

 ここで興味深いのが、上記第1世代SPAの中でも、欧州大陸のSPAの雄、C&Aの出店戦略ですね。同社は、ベルギーとドイツを本拠に、ヨーロッパ大陸20ヵ国に1500店舗以上の店舗を構える老舗のカジュアルアパレルSPAです。(その他、中国、ブラジル、メキシコに出店)

 C&A ウエブサイト

 C&Aは非公開企業ですが、Wikipediaによれば、年商は2010年度で、6480億円規模、年商で世界6位のグローバルSPAになります。

 C&Aの進出国は、同じようにドイツが最大マーケットであるH&Mと比較すると、各国店舗数含めて非常に酷似していることも興味深いのですが・・・

 H&Mの北欧

 GAPのアメリカとカナダ

 NEXTのイギリス
 
 ユニクロの日本

 といったホームに圧倒的な認知度の、似通った企業のいる成熟マーケットには一切店舗を出店していない(イギリスは2000年代前半に撤退)、更に言えば、ベネトン(これはFCモデルでSPAではありませんが)のいるイタリアも、店舗数は1ケタ台しかないところに気づきます。

 つまり、C&Aは、見栄を張らず、勝てない戦はしないストイックな企業なのではないか?と考えられます。

 一方で、中国やブラジルといった新興国、成長マーケットには積極的出店しています。

 中国上海で、ユニクロを観た時、ユニクロがローカルSPAを押さえて、中国のGAP的存在=第1世代SPAの代表になりうる可能性を強く感じました。

 アジアには、GIORDANOのような第1世代SPAの先輩はいますが、一店舗あたりの売場面積が30坪程度で、どんなに沢山のお店を出しても、アジアのGAPになるには、力不足、インパクトが足りないのではないでしょうか?

 韓国企業も、中国企業も大型店展開という意味では、まだ導入過程、従って、アジアでは、まだ勝負はついていませんから。

 ユニクロが、欧米成熟マーケットで「機能肌着サプライヤー」「日本の素材のセールスマン」としてのポジショニングに徹するなら、その位置づけにおいて、まだ勝機はあるかもしれませんが・・・

 日本と同じポジショニングをグローバルに展開するのであれば、経営資源を欧米ではなく、アジアに徹底集中させた方が賢明だと思っているのは、私だけではないと思います。 

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