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July 24, 2012

客数減と客単価増

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 7月21日の日経新聞に、大手百貨店が都心分の主力店舗に行う大型改装投資に関する記事が掲載されていました。

 記事にあった主な例を引用すると

 ・東武百貨店池袋本店 91億円
 ・伊勢丹新宿本店 100億円
 ・高島屋横浜店 140億円
 ・そごう横浜店 40億円
 ・阪急うめだ本店 10億円
 ・松坂屋名古屋店 46億円

 などなど、

 百貨店売上高上位5社の2012年度の設備投資は合計1249億円と前年度比5割増。

 改装のねらいとして、

 ・ 高額消費好調を受けた高級ブランド売場の更なる導入
 ・ コト消費に関する新しい需要の創出

 一方で、目先の投資回収のために詰め込み型の売場にするというよりは、むしろ

 ・ 売場面積を減らし、ゆったりとしたスペースを設け、年々減少一方の客数に時間消費をしてもらいながら、ゆっくりお買いものをしてもらい、しっかり単価を落としてもらおう

 などの各社のコンセプトが紹介されていました。

 記事にもあるように、

 都心部の百貨店は、海外からの観光客の需要をしっかり取り込むとともに、バーゲンハンター、チェリーピッカーよりも顧客さんとの関係をいかに深めるか?

 一方で、

 都心近郊、地方の百貨店では集客力のある専門店を館に取り込んでワンストップ型のSC化

 が百貨店生き残りの大きな流れのようですね。

 また、7月23日の繊研新聞の1面にも百貨店の最近の客数減、客単価増傾向に関するアンケート記事が掲載されていました。

 これは百貨店に限らない話で、直面している問題は勝ち組と呼ばれる専門店の既存店にも言えることですが・・・

 国土が狭い日本のマーケットにおいて、成長中の勝ち組専門店とて店舗を増やせば増やすほど、既存店一店舗あたりの商圏が小さくなるのは必然です(競合激化、自社内カニバリズム)。

 そんな一店舗あたりの商圏が小さくなる中、小売業がしなければならないことは、

 ひとりのお客さんにより多く「数量」を買ってもらうこと、すなわち

 ひとりあたり年間購買数量、金額を高めること

 に他なりません。

 具体的に言うと、

 1)来店頻度と買上頻度を高めること

 2)一回あたりの買い上げ点数(セット率)を増やすこと

 に尽きます。

 この2つが成長期から成熟期に入る局面の専門店の最重要経営課題と言っても過言ではありません。

 ここのところ、新聞紙上で、特に百貨店関係の話に多いのですが、

 客数は減ったが、客単価が上がってきた

 というコメントや記事をよく見かけます。

 この議論をする時に注意しなければいけないことは・・・

 ・客単価がどのように上がったのか?

 客数減というマクロトレンドの中で、

 ・客単価をどう上げて勝ち残るのか?

 という客単価の中身の議論です。

 売上高= 買上客数 x 客単価(一品単価xセット率)

 この客単価の中身が語られることがほとんどない(汗)データが取れないのなら、しかたありませんが・・・取っていないなら、これからは取った方がいいです。

 なぜなら、それがお客さんの購買行動そのものですから。

 百貨店に限らず、ファッション業界は、客単価の話をすると、「高いもの」、「いいもの」を売ろうとする傾向があります。つまり一品単価を無理に上げようとすることが多いです。

 理由は、客数が減っているから単価を上げなければ売上が取れないというものと、バイヤーが「いいもの」を扱いたいからです。

 しかし、一品単価の上昇はセット率と買上客数と反比例しますから・・・一品単価を上げると、ますます、客数は減り、一回あたりにお客さんが買うことのできる数量は減るということになります。

 決して安いものをたくさん売りなさい、と言っているのではありません。

 自社の収益を支えている顧客が商品分類ごとに期待している価格(プライスポイント)を明確にして、その価格は上げずに、その商品の価値を高めることを推奨しているだけです。

 そして、来店頻度を上げ、一回あたりの買い上げ点数を増やすために取り組むべき課題は、「高くていいもの」にフォーカスするのではなく、

 ○ いままでよりも高頻度でタイムリーに新しい商品を提供すること、

 そして、

 〇顧客のライフスタイルにより深く入り込み、生活を豊かにするための品ぞろえの拡充すること

 ではないでしょうか?

 そう考えると・・・

 ヒントは、同業他社ではなく、顧客のライフスタイルの変化と異業種成長企業の中にあるはず。

 視野を広げれば、まだまだいろいろアイデアは出てきそうです。

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