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July 05, 2012

ZARA(ザラ)はなぜアメリカで店舗拡大できないのか?

 弊社のアメリカニュージャージーの提携先であるMaxre(マックスリー)さんのブログでも話題になっていましたが・・・

 アパレルチェーン4社比較

 アメリカにZARA(ザラ)の店舗が少ない話、とても興味深いものがあります。

 以下はZARAとH&Mのアメリカ、日本、中国での店舗数です。

                USA   JAPAN  CHINA
 ZARA       進出年  1989    1999   2004
 (2012.1月時点) 店舗数   46     74     101

 H&M        進出年  2000    2008   2007
 (2012.2月時点) 店舗数   234    15      89

 ZARAは1989年にアメリカに進出し、20年以上が経過しているにもかかわらず、まだ46店舗。

 一方、H&Mは2000年進出以来、着実に店舗数を増やし、234店を構えます。

 ちなみにZARAの日本での店舗数は74店舗(1999年進出)、中国では、すでに100店舗を超えています(2004年進出)。

 マーケット規模だけを考えれば、世界最大のマーケットであるアメリカでの出店余地はもっともっとありそうなもの。

 Maxreさんのブログでも、

 「店舗数が少ない分、ザラはブランドの希少価値があるように思えます。米国は広いので、余計に思います。」

 とコメントされています。

 私が海外業務対応のために、英語のブラッシュアップ目的で毎週通わせていただいているBerliz(ベルリッツ)のビジネス英会話個人レッスン・・・

 毎回、私の専門分野をテーマに進めていますが、最近数回はアメリカ出身講師の方々数名ともこの件に関してディスカッションをしてみました。

 上記の店舗数の違いを提示した上で、私が振ったのは、サイズ問題と価格問題。

 サイズに関して、ZARAは丈はあるものの、多くのアメリカ人を取り込むほど横幅はないのでは?

 また、価格はユーロ圏の1.5倍ですので、プライスコンシャスなアメリカの中では決して安くはありません。

 ハイクラスな百貨店は別ですが、多くの大衆百貨店はディスカウンターに煽られて洋服にも高い価格はつけていませんから・・・日本ほどの使い勝手はないかもしれません。

 これに対して、講師の方々からいくつかの興味深い話をいただきました。

 ひとつは、アメリカでは30歳を超えるとファッションにお金をかける人が極端に減ること。ZARAは、アメリカマーケットの中では、とてもヨーロピアンでトレンディだ。

 もうひとつは、アメリカの都市部(都心、都会)の人口集中率が低いことです(ある講師によれば、日本が36%に対して、アメリカは8%しかない、とのこと)。

 ご存じかと思いますが、ZARAは、コレクショントレンドをベースに、30代を中心客層に「働く女性」のための服をメインに提案しているお店です。(ちなみにZARAの中のTRFはその娘のためのカジュアル服。もちろんメンズ、キッズもありますが)

 ZARAが言う働く女性とは・・・オフィスで働く女性。常に職場の上司、部下、同僚の目に晒され、スタイルを気にする女性ということになります。

 一方、H&Mのターゲットは、トレンドファッションに興味のあるすべての女性、男性ですから・・・ZARAほど客層を限定していませんし、コンサバカジュアルも充実していて、なおかつ価格が安いので必然的にZARAより間口は広くなります。

 講師の方々(女性含む)が口を揃えておっしゃったのは、

 アメリカでは、職場でファッションにお金をかける女性がいる都会は限られている、従って、ファッションコンシャスなZARAの拡大余地が小さいのではないか?とのことでした。

 他にも要因はあると思いますが、今後グローバルSPAの特徴やアメリカのマーケットを理解する上でいくつかの新しい気づき、視点を頂いたと思います。興味をもって、更に深堀して行きたいと思います。

 海の向こうのことは日本には関係ない?と思いきや、日本国内やアジアでのグローバルSPAとの棲み分けを考える時、彼らの特徴を多角的に理解しておくことは大切なことだと思います。

関連エントリー-世界ファッションストア業態別売上ランキング、注目はZARAとユニクロの2位争い

関連エントリー-日本のファッション企業の国内価格と海外進出時の内外価格差は?

いつもお読み頂きありがとうございます。

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Comments

UN調査だと日本の都市化比率は66%で、80%超えの英米韓と比べるとまだまだ低い位です。 http://t.co/hv8bdzbK よって米の「都市人口集中が低い」というのは完全に間違いな分析でしょうね。

H&Mの出店数をみれば「30歳を超えるとファッションにお金をかける人が極端に減る」という見方も間違ってるでしょうね。

よって本丸は「価格設定」と「サイズ」じゃないかな?

Posted by: Gen | July 09, 2012 05:28 PM

価格でしょ。
アメリカ行くと、本当にオシャレなOLなんてほんのわずかで、
ほとんどはジーンズとTシャツで通勤。たまのスーツもぺらぺら。
ドレスもギラギラの安もの。
H&Mや21やストロベリーで十分なのよね。

逆に日本ではOLさんはこぎれいだし、ファッションに投資できる。
H&Mや21はお金の無い学生向けで、OLさんはあの品質には我慢できないでしょうね。

Posted by: あん | July 09, 2012 06:38 PM

Genさん コメントありがとうございます。

また都市化比率の数字のご紹介もありがとうございました。

興味深く、リンクのUrbanizationとは何かを読ませていただきました。これはどうやら「農村」ではない場所=都市の話のようですね。

私が「都市」と記したのがそもそも誤解を招いてしまった原因です(汗)。都心、都会と訳すべきでした。ごめんなさい。

私もアメリカ(サンディエゴ)に住んでいたので、東京や大阪のような都会に住んでいるアメリカ人は8%くらいと言われて妙に納得してしまいました。

この数値に関しては、他の国についても知りたいので、今度その講師の番が回って来たら、出典を聞いてまたご紹介しますね。

それから、アメリカ人講師陣によれば、H&Mのアメリカでの顧客は、都心部を除いては、あんさんがおっしゃるように20代およびそれ以下の若い人が圧倒的に多いようです。

F21が買い周り先ですから、H&Mの中でも、DIVIDED ラベルが多いか、あるいは郊外ではコンサバなLOGGラベルが幅を利かせているのではないでしょうか?私がニュージャージーの郊外モールで見たH&Mはそんな感じでした。

Posted by: taka | July 09, 2012 09:05 PM

あんさん

リアルなコメントありがとうございました。

まさしくそんな感じですね。私が出張や仕事で周ったエリアは、ニューヨークやLAのダウンタウンを除いてはカットソーにジーンズ姿が目立ちました。

Posted by: taka | July 09, 2012 09:08 PM

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