色展開よりサイズ展開を増やした方が顧客層は広がる
今回のタイトルは4月10日の日経MJ1面の イレギュラーサイズに取り組む衣料専門店の事例紹介記事で採用された私のコメントです。
色を増やすよりサイズを増やした方が売上は上がる
誰でもわかりそうな話なのに、日本のアパレル業界は伝統的に?サイズより色数を増やしたがる傾向にあるようです。
日本の商品企画って単品から入ることが多いものだから
まず色数を決める、習慣的に3色以上つけてしまうケースが多いようですね。
するとSKUが増えて管理が面倒になるのを嫌って、サイズを絞る
あるいは腰を据えて取り組んでいないのにサイズを増やしても売れない、在庫が残ると決めつけるところがあるように思います。
ですので M/L の 2サイズ展開、 Mのみフリーサイズって服が世の中にはたくさんあります。
更に、少ないサイズで多くの人が着ることができるようにと大は小を兼ねる、少し大き目に作ってしまうという話をよく聞きます。そうするといったい誰にぴったりの服になるのでしょうか?
一方、ZARAやH&MのようなヨーロッパのSPAを見ていると、
商品企画はスタイリングから入るので、コーディネートに必要な色しかつけない
従って1品番1色の商品も多数あります(特にZARAを見るとよくわかります)
そして、むしろ、たくさんの人が着ることができるようにと サイズを増やす
日本でもZARAは4サイズ展開、H&Mは6サイズ展開が標準ですね。
また、サイズを増やした分、それぞれのサイズの人がサイズなりにきれいに見えるようにフィットが考えられるのが彼らの常識です。
肩身の狭かった大きいサイズの人だけでなく、
大人っぽくて、おしゃれなヤング服やキッズ服が多い外資SPAは 小さいサイズの人にも重宝がられているようですね。
これまでイレギュラーサイズと呼ばれた人たちに、あきらめず手軽にファッションが楽しめることを教えてくれた、
近年続々と日本に上陸した外資SPA(アパレル製造小売り)企業の功績は少なくなかったと思います。
いままで疎外感を持っていた客層をしっかり取り込んでいるのも外資SPAの強みですね。
そしてそういうお客さんほど まとめ買い、リピーターになる。
拙著 「人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識」(中公新書ラクレ)
の中でも たくさんの事例を持って述べていますが 日本に上陸する外資系企業、特に多くの国に進出して磨かれて来たヨーロッパ企業から学ぶことは少なくありません。
外資系企業や異業種は自分たちの仕事を見直して自分を磨く鏡
カラー展開、サイズ展開をとっても日本のこれまでの服作りを見直すきっかけになります。
いつもお読み頂きありがとうございます。
執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
【参考書籍】
顧客購買行動と品揃え計画および在庫最適化を考えるビジネス読本 価格政策の基本、王道についても1章分割いて語っています。
人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識 (中公新書ラクレ)
| Permalink | 0