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September 10, 2013

アメリカマーケットリサーチ報告(その3) 「コト」を体験する機会を一緒に提案するヨガウエアとランニングギアの成長株lulu lemon(ルルレモン)

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 アメリカ視察にあたり、ライフスタイル提案型ストアの注目株ということで、多くの業界関係者から名前が挙がっていたヨガウエアのlululemon(ルルレモン;1998年創業 カナダ バンクーバー本社)。

 予備知識なしで、西海岸の店舗に訪れると、アメリカでは、それほど広くはない店舗(平均売場面積74坪)に沢山の来店客、お客さんと店員が何ともフレンドリーに会話をする光景が。

 カラフルな機能素材を使ったフィットネスウエアという印象で、商品を手にするとナイキやアディダスあたりよりもひと目でわかる高い価格。

 なぜこんなに高い商品をレジに列を作って購入するのか?アメリカ景気は本当に回復したのか?と不思議に思いました。

 店内をしばらく観察していると、入口に大きな月単位のカレンダーのような掲示板が備え付けてありました。

 どうやら、この店では、毎週日曜日の午前中、店内でヨガ教室を行っているようなのです。ジム併設ではなく、店内の什器を移動させ、店の真ん中にスペースを作って行うそうです。 それゆえ店内の床もヨガをやってもよさそうなジムのような板張りなのですね。

Lulu 同社はヨガ&ランニングウエアブランドながら、ウエア、グッズだけではなく、各店舗で実際にヨガ教室In-Store Yoga 、ランニング教室Run Clubなどのコミュニティイベントを毎週開催しているライフスタイルファッションストア。

 以下ウェブサイトのStore Locator (店舗検索)から適当に店を検索してみてください。

 lululemon ウェブサイト

週一回 ヨガ教室を開催している店舗もあれば、ヨガ教室とランニング教室を毎週各一回開催しているお店もあります。 

 マーケティング的に言えば、これからは、「モノ」ではなく、「コト」を提案しなくてはダメだ、と言われて久しいですが・・・

 このlululemonでは商品による「コト」の提案だけでなく、どこでやればいいのか?どうやってやればいいのか?実際の体験の場を同時に提供することによって顧客との距離を縮めて顧客を増やした成功した事例と言えるのでしょう。

 当然、教室にやって来る顧客は来店頻度が上がりますし、顧客が教室に参加する時は、上から下までlulu lemonの最新ファッションで決めることは間違いないでしょうから買上げ頻度、客単価も上がります。

 な~るほどです。

 以前、店舗のスタッフが自らアウトドア体験ツアー(アウトフィット)を企画してツアーガイドとして、顧客を連れて行く日本のアウトドアブランド、モンベルの話を聞いた時も関心しましたが、より日常的に(毎週) 体験&コミュニティ事業を行っているところにlululemon の強さを感じたものでした。

Athleta_2 競合ブランドにはGAPが買収したAthleta (アスレータ)があります。 lululemon に比べると地味な色使いですが、同様に各店でヨガ教室を開催しているのは共通項のようです。

 athleta ウェブサイト

 lululemonは上場企業ですのでIR情報にも目を通しましたが、とても良い業績、収益率、販売効率にびっくりです。

 lulu lemon社 2013年1月期 ($=97円換算)

 売上高     1328億円   前年比 137%  既存店増収率 16%
 直営店売上高    1136億円   通販比率 14.4%
 営業利益        365億円   前年比 131%
 営業利益率       27.5%   (-1.2%)  在庫回転率 4.7回転 (11週分)  
 店舗数         211店舗    平均売場面積  74坪  
 1店舗あたり売上高  5.4億円   月坪効率    610千円    

 ルルレモンの成功の軌跡、躍進については btraxさんのブログに詳しいです。

 ヨガウェアファッションブランド|ルルレモンが成功した訳とは

 日本にも一時進出しましたが、文化の違いから撤退したようですね。 

 また、今年3月には女性用ボトムの17%にあたる商品リコール(パンツの透け)問題があったり、7月にはカリスマ経営者の退任宣言があったりで、株価が不安定な局面もあるようですが・・・

 競合ブランド athleta と競いながら 体験の場を提供する ライフスタイルストアの勢いは止まらないようです。

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