アメリカマーケットリサーチ報告(その4) ヴィクトリアズシークレット(Victoria's Secret)のビジネスモデルと大きなマーケットの可能性
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今回アメリカにリサーチに出る直前にアップした人気エントリー
世界アパレル専門店業態別売上ランキングに見るビジネストレンド
でも触れましたが・・・今アメリカで最大のファッションストア業態はアパレル中心のGAPやOLD NAVYではなく、インティメイトアパレル=ランジェリーを核としたファッションブランド、Victoria's Secret=ヴィクトリアズシークレットなのです。
ヴィクトリアズシークレットは 世界のアパレルチェーン企業の中で売上高第4位のリミテッドブランズ社の約63%を占める基幹業態で、
GAP社、LIMITED BRANDS社 両社のアニュアルレポートによれば、2012年1月期にGAP社のOLD NAVY、GAP 両業態の年商を上回り全米最大のファッションストア業態になりました。
(画像はNYヘラルドスクエアの旗艦店)
2013年1月期 決算は以下の通り $=¥97.4で換算
ブランド 年商 店舗数
Victoria's Secret 6,403億円 北米店舗数 1045 その他 2
OLD NAVY 5,953億円 同上 1010 同上 1
Gap 5,809億円 同上 990 同上 389
ヴィクトリアズシークレットの創業は1977年ですが、1982年にリミテッド社が事業買収し、通販中心だったビジネスをSC(モール)に多店舗展開することによって拡大したランジェリーを核としたファッションブランド。
その後、リミテッド社は、2007年に、創業以来会社の看板事業だったアパレル事業(The Limited store、EXPRESS)をファンドに売却することにより、トレンド衣料(外衣)中心のビジネスから 女性の内面の美、インティメイト&ビューティ事業中心のビジネスモデルに転換することになります。
今でも印象深く覚えているのは、1980年代から90年代にかけて、SPA(アパレル製造小売業)の原点となるビジネスモデルを作ったリミテッド社の創業者であるレス・ウエクスナー会長が、そのアパレル事業売却にあたってのメディアインタビューでのコメント。
「もはやトレンドアパレルビジネスは自分にとってエキサイティングなビジネスではない」
これは、2000年のH&Mアメリカ上陸以来、今でもアメリカで猛威を振るっているH&Mやフォーエバー21らのファストファッション勢に対する、価格競争の激しいマーケットに辟易とした同氏の本音の発言だったのでしょう。
その判断が正しかったことは、今のヴィクトリアズシークレットの業績好調ぶりが表していると言えます。
同社アニュアルレポートによれば、アパレル事業 売却後、ヴィクトリアズシークレットやビューティ事業(Bath&BodyWorks)へのフォーカスには、2010年まではスクラップアンドビルトを繰り返し、既存店連続減益など、だいぶ苦労されたようですが、
その間、店舗の大型化を図り、ランジェリーだけではなく、フレグランス、コスメ、ホームウエア―、水着、フィットネスウエアも取り揃え、更に、15-22歳の将来の潜在顧客を開拓するライン、PINKブランドもティーンズの間で大人気となる。そこに世界のスーパーモデルを起用したプロモーションが奏功。
一店舗あたりの平均年商は4億7640万円、平均売り場面積 165坪、月坪効率 241千円、
大型化しながら、坪効率を高め、過去2年の既存店増収は、2012年1月期、2013年1月期それぞれ、14%増、7%増と好調を続けています。
今回、LA界隈とNYでヴィクトリアズシークレット複数店舗を視察しての感想ですが、
大人の女性ランジェリーブランドながら、ランジェリーだけではない、幅広い品ぞろえ、幅広い客層が来店していることがとても印象的でした。
店内の半分以上が、ランジェリーではない、ビューティ部門(フレグランス、コスメ、ポーチなど袋もの含む)やホームウエア、フィットネスウエアの売場であるため、来店客の1割以上がカップルでお買いものをされています。
・脱アパレル事業
・ランジェリーを核にしながらも「女性の内面の美」をテーマに商品部門を広げ
店舗の大型化
・将来の潜在顧客(ティーンズ)向けラインを展開
・若いカップル、夫婦など、男女カップルでお買いものができる雰囲気づくり
・世界のスーパーモデルによるランウェイをイメージさせるプロモーション
もともとカタログ通販から始まったブランドということもあり、 通販比率 24.2% も高いですね。
(参考 通販比率 オールドネイビー= 12.2% GAP= 9%)
世界最大のマーケット、アメリカ合衆国・・・ そんなブランドがGAPやOLD NAVYのようなファミリーカジュアルよりも大きいファッション業態であるという事実。
日本では、ピーチジョン(PJ)が ヴィクトリアズシークレットをベンチマークしたことで知られています。
現在、ワコール傘下のPJは年商が140億円くらいの規模だと思いますが、アメリカのヴィクトリアズシークレットを見ていると、この女性の内面の美にフォーカスしたファッション業態の潜在性は決してそんなもんじゃないでしょう。
今後、ワコールなのか、トリンプなのか?それともヴィクトリアズシークレット自身が日本に上陸してそうするのか?
はたまた、業界の常識を覆す、これから彗星のごとく現れるブランドなのか?このマーケットにとても大きな潜在性を感じているのは、私だけではないでしょう。
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