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October 11, 2013

アメリカマーケットリサーチ報告(その6) アメリカのファッションチェーンの価格対比で感じたGAPの立ち位置の変化

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 マーケットリサーチに行くと必ず確認するのがローカルチェーンとグローバルチェーンの価格政策です。

 プライスポイント=最多価格がわかると平均単価の予測も付くのでいつもプライスポイントがどこにあるのかをチェックするようにしています。

 経験的に布はくトップス、シャツブラウスあたりにそのストアブランドのプライスポイントが来ることが多いので、短期間に沢山のお店を見る時は、婦人シャツブラウスのプライスポイントを集中的に見ることにしています。

 以下、アメリカで複数店舗を視察したファッションチェーンの婦人シャツブラウスのプライスポイントです。
※ 調査したのは、8月19日の週、すべて秋物になります。(アメリカは州によって消費税が違うのですべて税抜き)

$88 J.Crew, Anthropologie, Massimo Dutti
$69.50 madewell
$68   Abercrombie & Fitch
$64.50 Banana Republic
$59.90 Express, ZARA
$49.95 GAP        (当時全品30%OFF中)
$44.95 American Eagle (当時全品40%OFF中)
$39.95 Aeropostale   (当時全品50%OFF中)
     Hollister, UrbanOutfitters, Mango
$29.90 Uniqlo, joeFresh
$24.95 OLD NAVY, H&M
$19.80 Forever21

Gap_ny 店舗に入って商品を手に取った時にも、あれ?と目を疑い、こうして並べて一番気になったのが、アメリカのファッションチェーンの横綱であるGAPの価格です。

 渡米は久しぶりですが、定期的にウェブサイトで価格調査をしておりました。記録によればGAPのプライスポイントは久しく$39.95だったようです。

 この39.95ドルこそアメリカのファッションチェーンの価格のスタンダード、ヴォリュームプライスだったと言ってもよいでしょう。
 
 しかし、現在、GAPは自ら作った価格スタンダードとも言える39.95ドルよりも10ドル高い49.95ドルを付けているようです。

 ちょうど現地でも、帰国してからも何人かのアメリカ人と会話しましたが、最近GAPの価格が少し高くなったことが話題になりました。

 これはあくまでも私個人が店頭で感じた印象と感想ですが・・・

 綿原料や生産国の工賃の値上がりで商品原価上昇を余儀なくされ、綿(コットン)にこだわって価格を上げるか、合繊を混ぜるかの選択肢に迫られた。

 GAPは綿(コットン)にこだわり、ワンランク価格を上げ、素材の品質にこだわったリブランディングに取り組み始めた。

 アメリカ国内の成長はOLD NAVYに任せ、GAPは価格なりの適正規模にダウンサイジングをして利益を確保、GAPブランドの将来の活路は海外に求める。

 といったところでしょうか?

 苦しい選択だったと思いますが、店頭で感じる限り、現時点ではまだ、この政策が顧客の支持を得ているようには思えませんでした。

 ちょうど新学期が始まる前のBACK TO SCHOOLセールで全品30%OFFセール実施中だったので値上げも帳消し、本当の反応はこれからでしょう。

 ちなみに9月の同社の月次速報によれば同社の既存店売上高は前年比3%減と苦戦だったようですが、今後の業績や利益も見ないとわかりませんね。

 アメリカファッションチェーンの横綱であるGAPが従来よりも10ドル高めになったのに対し、

 現在、$39.95 をプライスポイントとしているのが、Aeropostale、Hollister, UrbanOutfittersなどの学生向けカジュアルブランド、

 一方、視察の間、どこに行っても最も来店客でにぎわっていたのが、$24.95をプライスポイントとするOLD NAVY(オールドネイビー)とH&M、そしてそれよりも安いフォーエバー21でした。

 米GAPが直面したアジア(中国)生産のコスト増は、同様のコスト高や円安の為替の状況から値上げを余儀なくされる日本のアパレル業界にとっても他人ごとではありません。

 現実に、25%並みの仕入原価増を受けて、春から値上げに踏み切ったファッションチェーンが結構苦戦、価格を維持したチェーンが善戦しているように思えてなりません。

 そういった意味で、米GAPのチャレンジ、カイゼン、アメリカの顧客の反応が、今後、我々にとっても何らか教訓になることになことでしょう。 今後の状況に注目しておきましょう。

 うまくリ・ブランディングした事例はこちら

関連エントリー‐J.Crewに学ぶ これからのリ・ブランディングの成功法則

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