アメリカマーケットリサーチ報告(おわりに) グローバルファッションチェーン(SPA)が旅行者(トラベラー)にも重宝されるワケ
クリックして人気blogランキングへ
8月末にアメリカから戻ってブログにレポートを一通りアップするのに一か月半もかかってしまいました(汗)
最後に、リサーチ中に気になっていたことを述べて結びにさせて頂きたいと思います。
昨年夏のヨーロッパでも感じ、今年のアメリカでのマーケットリサーチでも実感したのは
H&MやZARAのようなグローバルSPAは、ローカル(現地)の需要だけでなく、ワールドトラベラー(旅行者)の需要にもしっかり応えているのではないかということです。
特にビジネスでの出張者や観光客の多い立地で旅行者のような来店客も少なくない両ブランド。
ホームタウンにもH&MやZARAはあるはずなのに、彼女、彼らはなぜ旅行先でもお買いものをするのか?
それはH&MやZARAの商品はどこにいても同じデザイン、(良いか悪いかではなくて)同じクオリティ、同じサイズの安心グローバルスタンダードであり、
なおかつ女性にとっては、旅行中とて目を離せない、トレンドファッションの切れ目のない情報発信をしているわけで、気に入った商品を見つけたら、母国に帰るころには売り切れて店頭にないかも知れないという心理すら起こさせているのでしょう。
長期旅行に出れば、服を買い足したりする必要もあります。
そんな時、母国で買う商品と全く同じ感覚でお買い物ができれば、安心というわけです。
彼らは、そんな旅行者の需要にもしっかり応えている、そんなところも人気や売上を支えている要因、強みのひとつなのではないでしょうか?
一方、アメリカのGAPにしても日本のユニクロにしても、母国のマーケットが大きいビッグチェーンは、海外に出店する際に、逆の問題点を抱えているように思います。
つまり、アメリカのマーケットに最適な商品展開をしていたGAPは日本市場開拓にあたって良かれと日本のマーケットに合わせようとして日本スペックの商品を作ってしまう。GAPを知るアメリカ人は日本ではアメリカ国内と同じ感覚でお買いものができないでしょう。
同様にユニクロも、ヨーロッパでも、アメリカでも現地に合わせるために、同じMでも日本よりサイズを大きくしているわけで、我々日本人がヨーロッパやアメリカに出かけた時、たとえユニクロを見つけても、日本と同じ感覚でインナーを買う訳に行きません。
現地スタッフに日本よりサイズが大きいことを知らされれば、ワンサイズ下を買うべきか、果たしてそれでよいのか?悩んでしまうわけです。
そういう意味で、H&MやZARAは私たちが日本で認識している両社のサイズと同じサイズを世界のどの都市でも買えばよいのであって、ある意味 日本ブランドであるユニクロよりも安心してお買いものができるというわけです。
この問題、日本の多くの有力アパレルブランドが海外に出て行く時のネックのひとつになるのではないかと見ています。
日本のブランドは現地に良かれと現地に合わせることによって、日本とは別にダブルスタンダードを作ることを常識と考える。世界にひとつのヘッドクオーター(本部)でオペレーションされている企業に比べて、これ当然、人件費、管理コストが嵩みます。
一方、グローバルスタンダードを常識とする、ZARAやH&Mは、それぞれスペイン本社、スウェーデン本社一か所で世界のことを考え、国別にサイズを増やすことはあっても、全展開サイズの中からどこからどこまでのサイズを切り出し、どんな構成比で持って行けばいいかを考えればよいわけで、出店国を増やしても、エクストラコストはかからないオペレーションをしているわけです。
自国マーケットが大きかったことがグローバル時代に「あだ」になる?
そんなことが日本のアパレルブランドのグローバル展開の足かせになっているのではないでしょうか?
もちろん、グローバルブランドを開発する上で、核となるホームマーケットは絶対必要です。
ZARAのインディテックスグループの本国スペインの売上比率は全体の20-25%で世界最多ですし、スウェーデンのH&MやIKEAだって、両社の最大マーケットであるドイツの売上構成比はかつては30%、今でも20%はあります。
今からアジアを股にかけたグローバルファッションチェーンを開発しようとする企業の方々に申し上げたいのは・・・
日本または中国をホームマーケットにしながらも、ホームマーケットにだけ合わせるのではなく、ホームマーケットでも、海外でもどちらでも通用するスタンダードに磨きをかけ、出店するたびに、出店国に合わせることを考えずに済むようにブランドを開発すること。
H&MやZARAを長年見ていて・・・
パリやロンドンやアメリカでユニクロを日本と同じ感覚で買うことができなくて・・・
あらためて感じたものでした。
ユニクロもZARAやH&M並みに、本格的にグローバルへの道を踏み出すためには、将来的にはH&Mのようなサイズラベルをつけ、サイズを見直す必要があるのでしょうね?
その時、多少は日本の消費者のネガティブな反応も覚悟しなければならないのかもしれません。
それが収益性の高いグローバルアパレルブランドとして避けては通れない関所のひとつではないでしょうか?
蛇足になりますが・・・食品など現地の文化や法令に従うべき産業はローカライズが必要だと思います。一方、ファッションはローカルトレンドはありますが、ヨーロッパコレクションで発信されたファッショントレンドが世界市場に影響を及ぼす産業なので、「世界統一MD」が有効な分野のひとつであると思っています。
【おススメ本】
ヨーロッパのファッションチェーンが日本のファッション流通の常識を変える?
ZARAやH&Mを店頭で見て痛感する、顧客起点の新常識をまとめました。
『人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識』
全国書店で好評発売中です(新書コーナーにあります)。
数時間あれば読めてしまいますし、すべての話が1話(約4ページ)完結型なので、
興味のある話だけ読んでもOKです。
お気軽に手にとってください。
Amazonでご購入の場合はこちら・・・
いつもお読み頂きありがとうございます。
こちらのアイコンをクリックして応援よろしくお願いします!
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
ビジネス・業界ブログランキング 【第1位】→stay(13.10.16現在)
| Permalink | 0