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October 03, 2013

アメリカマーケットリサーチ報告(その5) アメリカのコモディティ衣料需要を支えるオフプライスストア

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 今回のアメリカ視察の目的ではありませんでしたが、日本には存在しないファッション小売業態である「オフプラスストア」にも立ち寄ったのでご紹介しておきましょう。

 オフプライスストアとは、著名なナショナルブランドやデザイナーズブランドのアパレル、服飾雑貨、アクセサリー、コスメ、ホームファッションなどの商品が、常時、百貨店や専門店で販売されている価格(定価)の20%~60%以上のディスカウント価格で購入できるチェーンストアです。

 ディスカウントストアと区別される理由は、

 アパレルメーカーや正規小売チェーン(百貨店、専門店)がシーズン中に在庫処分&換金目的でブランドアパレル&グッズなどを放出するものを業者が買い付けるクローズアウトマーケットというのがあって、

 それらの在庫をオフプラスストアのバイヤーが現金で買い上げ、ただちに店頭に並べるという ビジネスのからくりの違い にあります。

 アメリカのファッションビジネスでは、完全買い取りが常識ですから、百貨店、専門店とて、買い取って売リきれないと判断するや、シーズン中でもブランド品をクローズアウトマーケットに放出するもの。

 中には、利益とキャッシュフロー目的で放出することを前提に多めにブランド品を買い付ける専門店もあるとか。

 ブランド側もそれを見込んで多めに生産しているってのもあるのでしょうね。

 オフプライスストアの店頭には、上澄を取られた滞留在庫もありますが、バイヤーがシーズン中商品を常時買い付けているので、ディスカウンターやブランドアウトレットモールよりも新商品が入荷する頻度も高くなるわけです。

 アメリカ最大手のTJX社の年商はなんと2兆5360億円($=98円換算)!このうち75%はアメリカ国内、残りはカナダとヨーロッパでの売上です。 第2位のROSS社も年商9526億円(同)。こちらは100%アメリカ国内の売上のようです。

 実に大手2社だけでアメリカ国内で2兆5000億円を超えるビジネス規模なのです。

 上場企業である両社のIR情報によれば、2013年1月期決算は それぞれ前年比12%増、 既存店増収率も 6-7% TJX社に関しては 過去17年間既存店増収を続けているようです。

 TJX社ウェブサイト 

 ROSS社ウェブサイト

Imag2365アメリカで店舗をよく見かけるオフプラスストアは 
 TJX社の T.J. Maxx と Marshalls、ROSS社のROSS 

 アメリカ国内の店舗数は

 ROSS (ロス)            1112店
 T.J. Maxx (ティージェーマックス) 1036店
 Marshalls (マーシャルズ)      904店

 もあります。(2013年1月現在)

 店頭にあるブランドや価格、来店客層からグレード順に言うと

 店舗数とは逆に  Marshalls  T.J. Maxx  ROSS の順でしょうね。

Imag2367
 Marshalls は店も比較的きれいで、ホームファッションも充実、逆にROSSは$10未満の商品が多いので、そういった商品を求めに来る客層でいつも混雑しています。T.J. Maxxはその2つの中間よりは Marshalls 寄りってところでしょうか?
 
 私も90年代の後半にカリフォルニア州に住んでいたころ、Marshalls にはずいぶんお世話になりました。

 POLOラルフローレン、カルバンクライン、トミーヒルフィガー、クイックシルバーなど、SPAではなくて、百貨店や専門店に卸されているブランド物を目当てに スーパーマーケットに買い物に行くたびに、時間があれば隣にあったMarshallsを覗いたものでした。

Imag2362_2 その後、アメリカ出張の際には よく滞在中のアンダーウエアの買い足しを目的にオフプラスストア寄ったものでした。 今回も立ち寄ったT.J. Maxxで CKのVネックT 3Pパックを17.99ドル、HAPPY SOCKSを 4.5ドルx3足 で購入したものでした。

 そんな行動をしていてふと思ったのですが・・・

 アメリカで思うように出店ができていないユニクロ

 同社のアメリカでの参入障壁、店舗拡大のネックになるライバルはGAPなどのアパレル専門店やウォルマートやターゲットのようなディスカウンターではなく、これらのオフプラスストアではないか?と。

 だってオフプラスストアには常時 ポロやCKやナイキやアディダスなどのブランドのコモディティ衣料がかなりディスカウントされて売られていますから。

 オフプライスストアで販売されているアンダーウエアやホームウエアは ナショナルブランドクオリティですから安心ですし、ユニクロくらいの価格で十分購入できます。

 間に合わせなら全然申し分ありません。たまにポロラルフローレンやカルバンクラインの掘り出し物が見つかる楽しみもあるとなれば、訪問頻度も高まりますしね(笑)。

 アメリカにはオフプライスストアをそんな選択肢のひとつとして使い分けている人たちが多いのではないでしょうか?

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