スタイリング志向か?単品志向か?その発想の違いに消化率の明暗あり
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11月22日の日経MJにオンワード樫山がICBのブランド18周年を記念して、来年3月に18色展開のショート丈ステンカラーコート3万3千円を販売することに関する記事が掲載されていました。
記念商品とは言え、高単価の商品に18色も付けるとは、ずいぶんチャレンジングなことをするなぁ、と思いながら記事を読んでいたところ、
どうやらベトナムで生成り(生地染め前の白かベージュ)生地1色で縫製して、国内で製品染めすることによって販売に応じて染め分けすることで、カラー別の売れ残りリスク回避をされるようですので、余計なお世話ながらほっとしました。
日本のファッション商品の企画で時折、ひとつの商品にものすごく沢山の色を付けることがありますが・・・在庫コントロールを生業にしていると、気になってしまうのはある意味、職業病でしょうか(笑)
その昔、ユニクロがフリースジャケットを50色展開した時は圧巻でしたね。ブルー系はともかく、グリーン系の微妙な色の差に消費者はどう反応するのかな?と興味を持って見ていたのをなんとなく覚えています。
その後、競合チェーンもその背中を見て、こぞって多色展開アイテムを発売していたような・・・
商品のカラ―展開にまつわる話になりますが、
今年4月に拙著 「人気店はバーゲンセールに頼らない」 を発刊してから、
本の中でたくさん事例を取り上げたZARA(ザラ) は何故プロパー消化率が高いのか?どうしたらプロパー消化率を上げられるのか?という問い合せを頂いたり、議論をする機会が増えました。
本をじっくり読んで頂ければわかることなのですが・・・
他社がなかなか真似出来ない自社工場を利用した小ロット短サイクルのQR(クイックデリバリー)インフラが全てではなく、「そもそも」の別の理由があります。
その理由のひとつは、ZARA やH&Mなどヨーロッパのファッションチェーンはスタイリンングコーディネートに必要のない無駄な色をむやみやたらに作らないことにあります。
私が業務上、クライアント企業さんの在庫精査をさせて頂くと、いつも気がつくのは・・・スタイリングをあまり考えずに、単品あたりの色数をつけすぎたことによって、たくさんの死に筋在庫を産み出していることが少なくないということです。
一般的に日本企業はヒット商品を生み出そうとするために、単品(プロダクト)の企画から始め、その素材を考えて、その単品の都合から色数(3色以上)を決めてしまいがちなところがありますね。
これに対して、ヨーロッパの企業は、トータルのスタイル、コーディネートを起点に企画を始めるので、そのスタイリングに必要な色や柄配色を明快に絞り込み、不要な色や柄配色は生産しないため、結果、「死に筋色」在庫が生まれにくい環境にあります。
ヨーロッパのファッションチェーンが日本に上陸して拡大している昨今、彼らの魅力が新鮮に、身近に感じられるようになった消費者は今、ファッション商品に対する消費行動を変えています。
日本企業としても、日本にいながらにして、彼らの売場から多くのことを学ぶことができます。
この商品企画のスタイリング(コーディネート)志向も、従来の俗人的な「感性」「センス」の問題ではなく、誰もがわかる「ビジネス科学」の問題として大いに学ぶべきことができることのひとつだと思っています。
消費者がヨーロッパの王道ファッションに洗脳され・・・行動を変えつつある今、企業も発想の転換や、やり方を変えるいい機会だと痛切に感じる今日この頃です。
【おススメ本】
ヨーロッパのファッションチェーンから学ぶことをわかりやすく解説しました。
『人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識』
全国書店で好評発売中です(新書コーナーにあります)。
数時間あれば読めてしまいますし、すべての話が1話(約4ページ)完結型なので、
興味のある話だけ読んでもOKです。
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