IKEAの日本市場拡大に見るグローバルチェーンの商品開発とローカル対応
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12月13日の日経MJの一面に日本上陸から7年が経ち6店舗ながら年商が700億円を越えた世界最大のホームファッションストア、IKEAの日本市場浸透戦略に関する記事が掲載されており、興味深く読ませて頂きました。
IKEAのようなヨーロッパ系のグローバルチェーンの多くは、ZARA(ザラ)にしてもH&Mにしても、そもそも自国のマーケットがさほど大きくないため・・・ビジネスを考える時、常にグローバルビジネスを考えるのが通常です。
それゆえ、どこの国に持って行っても通用するデザインや規格を考えて、世界統一企画で商品企画をするのが一般的です。
ある進出国を攻める時、既存のMDの中から、個々の商品やサイズ展開を選別して対応することはあっても、その国のためだけの商品は作りません。
一方で、ある国で気づいた何か新しいアイデアが、世界にとってもカイゼンすべき要素を持っている場合は、喜んで世界統一基準(企画&規格)に組み込むことを奨励します。
そのためグローバルチェーンの現地法人には「世界統一商品」をいかにローカルマーケットに合った売り方で提案するか?が求められるわけです。
記事の中では
・店舗の近くにあるマンションのモデルルーム(三井系、UR系)にIKEAの家具やホームファニシングを提供。モダンなコーディネイトでも、IKEAよろしく、手の届く価格だということで、マンション購入者に好感を得ていること。
・IKEAの店舗がないエリアでは、地元の建設会社と組んでIKEAのシステムキッチンを配したショールームを持つ。欧米のようなDIY(日曜大工)が一般的でない日本では、工務店と組んで施工を任せる取り組みが始まっていること。
・商品を自分で持って帰らない購買客の多い日本に合わせて、来年開業予定の東京立川店では、会計前に配送手続きができるような構造に変更。
配送費用込みでも業界1位のニトリと比べて割高感のないようにしていること。
また、現在は
・欧米に比べると寝室を後回しにされがちな日本に、寝具および、くつろげる寝室空間を提案し、潜在需要を発掘するキャンペーンに注力しているとのこと。
などの事例が紹介されていました。
最後の話は、通勤時間が長くて寝室にいる時間が短い、そもそも家にいる時間が短い?日本人に自宅での「くつろぎ」と「安眠」をもたらせれば日本の大きなライフスタイル革新になりそうですね。
そんなイケアジャパン、記事によれば、2020年には14店舗で年商1350億円を目指しているとのことです。
さて、記事を読んでいてあらためて感じたこと。
この話、日本企業だけじゃなくて、アメリカのような自国マーケットが大きい国のリテーラーが海外に進出する時に共通する課題だと思うのですが・・・
商品開発=デザインやサイズを自国マーケットに合わせて最適化して成長してきた企業が
いざ海外に進出する時に
・現地に合わせた特別企画の必要性が議論されたり
・日本に上陸する外資系企業がジャパン社が思うような売上を上げられない時の理由をローカル企画がないところに求めたり・・・
1国でビジネスを完結させるならそれでよいのかも知れませんが・・・
果たして、そんなことを繰り返していてよいのだろうか?
そういった発想で上記のヨーロッパ企業とのグローバル競合に勝てるのだろうか?
そんなことを考えさせられたものでした。
これからアジアにビジネスを拡大しようとする企業は、ユニクロやMUJIも含めて・・・
ヨーロッパ企業がグローバルで通用する統一商品企画を考えたように・・・
少なくともアジア各国で通用する統一商品企画&規格の検討を行った方がいいかもしれませんね。
もっとも、すでに国内で確立されているブランドの場合は・・・大幅な変更のリスクを取ることはそう容易な話ではないと思います。
そんな場合、いっそのこと、一からアジア統一ブランドを開発する方が早道かな・・・とも思えてきます。
これから「グローバル」を考える時・・・そもそもビジネスの発想がグローバルから始まるヨーロッパ企業の事例はとても参考になるのではないかと感じている今日この頃です。
『人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識』
ZARA(ザラ)やH&Mのヨーロッパチェーンの店頭から感じられる目からウロコの事例を多数紹介しています。
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