変わる商社OEMの役割と店頭起点のパートナーシップ
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6月20日の繊研新聞に掲載されていた 「記者の目~商社の製品OEMに求められるもの
目先のコストより売れる商品供給を」 という見出しのコラムを興味深く読ませていただきました。
ずいぶん昔になりますが、15年ほど前までは、商社のアパレル生産(OEM)部門におりましたので、当然のことながら、環境の変化とともに商社の役割も大きく変わって来たのだな、といろいろ考えながら読んでいました。
かつてはアパレルメーカーさん、小売りさんに素材を中心に提案をしながら、要請された商品をいつ、どこで、いくらで作り、いつ納められるかを担うコーディネート機能が求められていたと思いますが、
小売出身バイイングSPAの時代になり、取引先の仕入担当者が「企画」と呼ばれていても、具体的な商品企画のイメージが明確でない中で、バイイング(商品選定)中心に行うようになれば、出入り商社の提案することもアパレルメーカー機能に変わって来ます。
記事にもあるように、
商社の出番と思われた
「チャイナプラスワン(中国以外のアジア地域での生産)のコストメリットは関税免除分くらいしか中国との差はなく」
「コストダウン策は標準装備であって決定打とはならない」
「コストダウン策を講じたとしても結果的に売れない商品ばかりを作り続けていては共倒れ」
「消化率を上げるのがアパレル、小売業にとって何よりのコスト抑制策」
ということで、
小売りの先にいる消費者を見据えた消化率の高い商品の提案をするアパレルメーカー機能が求められているわけです。
記者の方は
「小売りのプロとはいえない商社にとって高いハードルかもしれないが、もう後戻りはできない。」
とコラムを結んでいます。
記事を読み終えて、SPA時代こそ、むしろ小売り側がしっかりして、もっとリーダーシップをもってお取引先を引っ張っていって欲しいと 思うと同時に、
パートナーとしての商社に求められていることも、より店頭起点でなければならない時代であるとあらためて認識しました。
「店頭起点で考えること」とは言葉で言うのは簡単かも知れませんが・・・
商社マンからキャリアをスタートし、小売ビジネスに身を転じた私の体感としては大きな意識のギャップがあると思っています。
年に2回、半期単位でビジネスを考える商社と 年に8回またはそれ以上のビジネスチャンス(シーズン)に対して、週単位で店頭を考える小売りのサイクルの違いを認識した上で理解を深めること
これは体感しないと、なかなかわからないかも知れません。
小売り側も商社はなぜわかってくれないのか?と思いながら付き合っているかも知れません。
お互いわからないと言い合っていても始まらないので・・・であれば、両者 消費者の方を向いて消費者の利益のために仕事をすればいいと考えるのが得策かと思います。
そして、そんなスピード感でビジネスをしている小売りに対して、消費者(顧客)の需要サイクルにあわせて売れる時を逃さないように商品を店頭に積み込むタイミングに、よりシビアになることが大切かなと思います。
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ファッションビジネスは5適が大事と言われますね。
顧客に対して 適品 適価 適所 適時 適量を実現しようという話です。
商品だけを考えると、どうしても最初の2つ、特に最初の「適品」にフォーカスし、「適価」よりも原価を中心に考えられがちです。
しかし、現実には後の2つ 「適時」 「適量」で消化率や利益が決まるものです。
それを理解した上で「適品」 「適価」を提案することが 大事なのではないでしょうか?
あと 「適価」(仕入担当者の望む原価)を実現するために、無理な量をバイヤーに押し付けないこともおすすめします(笑)
そんなことをすると、むしろ消化率が下がるだけでなく、全体の商品回転が鈍ったり、高回転商品を仕入れる仕入枠がなくなったりしてしまいますからね。それこそ「共倒れ」です。
最後に、
「消化率」を上げるためには小売り側が行わなければならない「死に筋」削減努力もあります。
・要らない色は仕入れない、作り過ぎない
・今、売れているからといって深追い(過剰追加)をしない
・消化率が高かった売れ筋商品の残品を放置しない(タイムリーに売り切る)
以上 経験則に基づく 売れ筋商品が死に筋に変わる時の3要素で、私もクライアント企業さんの現場とともにいつも肝に銘じております。
商社OEMに携わる方々には、是非、そんな情報や思いを納品先と共有できる店頭起点のパートナーになって頂き、今後のファッション産業の発展に貢献していただければと思っています。
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