バーゲンセールの分散と変わる消費者意識・・・季節区分の見直しの落とし穴
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7月24日の繊研新聞の一面に 百貨店や商業施設の夏セールのスタート時期の足並みがそろわず、消費者も必要なものだけを単品で購入する行動が多く バーゲン特有のまとめ買いの爆発力が見られないなど、各社 従来型のバーゲンの盛り上がりに欠く状況を報告する記事が掲載されていました。
一方、実需にあわせてタイムリーに投入された新商品の定価販売(プロパー)品が好調のようで、バーゲン期間ながらプロパー比率が40%を超える百貨店もあったとか。
いつでも、どこに行っても、何らかの割引セールをしている状態では、従来のバーゲンハンターのお客さんもいつ買ったら得なのか、もうわけわからなくなっているのかも知れませんね(笑)
むしろ、シーズン最盛期前の在庫が揃っている時のルミネの10%OFFのようなセールの方がよっぽど納得感や説得力があるのかも知れません。
業界の多くの方は今でもお客さんって みんなバーゲンセールが大好きだとか思い込んでいる方も少なくないかも知れませんが、この時期にお買いものをされるお客さんの中には
・バーゲン品をまとめ買いをするお客さん もいれば
・必要なもの、欲しいものが納得する価格で買えれば定価でもよいお客さん もいますし、
・逆にゆっくりお買いものができないので、バーゲンを避けるお客さん
などなど、いろんなタイプの方がいらっしゃいますからね。
ちなみに 私なんかは3番目の部類ですが・・・(笑)
個人的には、バーゲンセール分散が結果的にそれぞれのお客さんの需要に応えることになれば、いいことではないかと思っています。
一方で、もともと通常も売り逃しをしないように、バーゲン販売用も含めてしっかり在庫を積みこんでいるところは、この夏もそう簡単に体質を変えていないでしょうから・・・在庫の消化に苦労されていることお察しいたします。
記事のまとめの部分では、
気候の変化に従来のMDサイクルが対応できていない、従来の
梅春、春、初夏、盛夏、晩夏、初秋、秋、冬の 8つの 季節区分と
季節の中の 紹介、最盛、整理 3つの期間区分
を修正し、顧客ニーズに合わせた52週のシーズンMDに転換しなければならない
と結んでいます。
記事を読んでの感想ですが・・・・
顧客の需要にタイムリーに品ぞろえをしようとする時、単純に投入時期を変えればいい、という話ではないことは言うまでもありません。
まず、対応するメーカーさんの企画提案納品サイクルも変えてもらわなければなりませんし、
需要に合わせたら、シーズンを 「紹介」、「最盛」、「整理」 の3つの期間に分けると言っても、 「紹介」なんて悠長なことは言っていられません。 投入後2-3週で「最盛」を迎えることになりますから・・・いきなり勝負です。
また、シーズンを細分化して顧客の需要に合わせる上で もっとも大事なのは「整理」と言われる、売り切りの徹底でしょう。
ピンポイントでタイムリーに投入、積み込みする商品ほど、時期を逸すると値下げしてもなかなか売れないものですから・・・覚悟を決めて売り切る必要がありますね。
お尻(販売終了)がはっきりしている、夏ものや冬ものは難しくありませんが、
春ものや秋ものなどの売れ残りを一旦引いて、7月の夏のバーゲン、1月の冬のバーゲンで再投入しても思うように消化できない、利益率を大きく下げる要因になっているのと同じ話です。
売り切りのためのしくみやルールも改めて整える必要があります。
こうして考えて行くと、季節区分の部分修正ではなく、
顧客を中心において、全体像と取り組みを1から見直さないといけない話になりそうですね。
それこそ業界慣習にとらわれず、「SPA化」の気持ちで取り組まないと という 結論になることでしょう。
今、百貨店に限らず、業界全体でシーズン区分の見直しが進んでいます。
競合他社はさておき、
自店のお客さんの需要に合った、顧客起点の新しいシーズン区分と業務サイクルになりますように。
顧客の需要にあわせたシーズンの細分化(再定義)やその時の注意と行動基準などの考え方は
拙著「人気店はバーゲンセールに頼らない」や「販売革新2014年6月号」などに寄稿していますので、よろしかったらご参考にしてみて下さい。
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