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December 07, 2014

円安消費税増税時は手の届く上質マーケットで競う

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 5日のニューヨーク市場で円相場は1ドル121円台になったようです。これから輸入で成り立っているファッション流通業界は更なる円安を覚悟しなければならないでしょう。

 12月5日の日経新聞1面に掲載されていた「日本企業 熱狂なき最高益」の中で

 デフレ時代の勝ち組がインフレ時代の勝ち組に変身する事例として 家具最大手ニトリの事例が取り上げられていました。

 記事によれば、ニトリは「良い品を安く」から「さらに良い品をお手ごろに」に戦略転換。

 低価格最重視からデザインと品質重視の商品開発に切り替えて、その結果売れ筋商品の価格が昨年の1.5倍から2倍に上がって増収増益を続けているとのことです。

 円安、消費税増税の二重苦、さらに人件費や運賃などの販売管理費のアップを考えれば三重苦の国内流通市場において・・・

 ニトリは国内流通企業が今後取り組むべき施策のひとつを上手に実践してうまくいっていると言えます。

 このニトリの戦略から是非、誤解なく読み取っていただきたいのは、

 同社は今までと同じ客層に対し、今までとあまり変わらない商品を、輸入原価アップや消費増税を理由に単純に値上げをしたのではないということです。

 そんなことをしたら客数減、売上減、減収は目に見えていますからね。

 小売りビジネスのとても初歩的な話ですが・・・

 価格と数量(客数や販売数量)は反比例するものですから、いままでのニトリの価格と品質のバランスに「それでいい」と満足していた客層がちょっとくらい景気が上向いたからといって、ちょっと品質がよいものに高いお金を出して買ってくれるとは思えません。

 むしろ、ニトリは、既存の品揃えに加え・・・新しい上質な品揃えをお手頃値段で用意し、「へぇ~ニトリにはこんないいものもあるんだ」と、

 これまでニトリにそれを期待していなかった「上層客層」に認めてもらい、プラスアルファでその新しい需要を取り込んだという話です。

 言い換えれば、ニトリは「品質革新」によって良質商品の価格の引き下げを実現し、

 これまでのニトリ価格よりは高いですが、上層マーケットで消費していた購買余力のある新しい客層を取り組むことによって「客層の間口を広げて」売上を伸ばしたのです。

 チェーンストアにとってデフレ下は低価格戦略で間口(客層)を広げ、購買頻度を高めることによって客数を増やすのが王道でしょう。

 一方、現在のコスト高の局面においては、既存客を可能な限り低価格で引き付けておきながら、上層マーケットの顧客を品質/価格バランスのサプライズで取り込みながら利益を確保することが「流通革新」を標榜するチェーンストアの王道です。

 日本がたとえデフレを脱却しても、バブル期のように高ければ売れるという時代は終わりました。

 これからはデフレにしても、インフレにしても、「この値段の割には品質がいいよねぇ~」と「品質」にサプライズがない限り、そして・・・それを人に話したくなるくらいでないと、消費者は食指を動かさないと肝に銘じるべきです。

 さらに言えば、円安局面においては、それを市場最低価格のところで競うのではなく、上層マーケットの半額くらいのところで競う時代なのです。

 このあたり、拙著「ユニクロ対ZARA」の両ブランドの価格政策の違い、「市場最低価格vs百貨店の半額」 のところで論じておりますので、ご興味ある方はお読みになってください。

 余談: 過去において、流通企業の多くは 価格を上げたり、商品を絞り込んだりする時に企業都合で顧客にとってマイナスとなる面(値上げ、品揃え減少)を先行してしまい減収減益に陥ることが少なくなかったと思います。

 価格政策を見直しする時は 既存コア顧客を死守する努力をしながら、これまでお買い物をしていなかった新しい客層を開拓すること。

 また、経営効率のために、商品を絞り込むことはあっても、一方で間口は広げる(=新しい客層を取り込ま)なければ活路は見出せません。

 ユニクロにしても、セブンイレブンにしても、ABCマートにしても、今回のニトリにしても、そのあたりは十分ご承知です。

 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

 ベーシックカジュアルの価格と品質の常識を変え日本一のアパレルチェーンとなり、世界一を目指して突き進むユニクロとトレンドファッションの価格の常識を変え、世界一となったスペイン インディテックスグループの基幹ブランドZARA (ザラ)。

 既存のファッション流通の常識に挑んだ2つのブランドの真逆のアプローチ、ビジネスモデル、2人の起業家が考える顧客満足、経営信念、人材育成、今後の成長の可能性まで・・・

 10数年両ブランドをウォッチし続けた専門家の立場から両者の成長の舞台裏をわかりやすく解説しました。

 

 おかげ様で発売3週間で3刷が決定しました。

 前著 「人気店はバーゲンセールに頼らない」はKindle版が発売されました。

 


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December 01, 2014

好評発売中「ユニクロ対ZARA(ザラ)」(日本経済新聞出版社)へのご感想 

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 拙著「ユニクロ対ZARA」(日本経済新聞出版社)が発売されて10日間が経ちました。

 

 おかげさまで、店頭での反応も好評のようで、早々に増刷が決まり、

 Amazonビジネス書ベストセラーでは10日間100位以内にランクインしております。

 ご購入いただきました皆様、誠にありがとうございます。

 発売すぐにお読みいただき、ブログなどで書評をいただいた方々のエントリーをいくつかご紹介させていただきます。

 まだ、お読みいただいていない方々もご参考にしていただければ幸いです。

 まず、ビジネス書を多読するビジネスマンご用達のメルマガで有名な土井英司さんの「ビジネスブックマラソン」で拙著をご紹介いただき、翌日バックナンバーとしてブログにその内容が掲載されています。

 ビジネスブックマラソン 

 「経営戦略」のタグ付けがされ、ご感想、「本日の赤ペンチェック」ともに筆者が意図するところを的確にご紹介いただいた上に

 「製造、販売、広告宣伝の参考に、また戦略の生きた事例として、ぜひ読んでおきたい一冊です。」
 と評していただきました。

 ありがとうございます。

 次にアパレル業界で大手企業複数社で活躍されたのちVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)のプロとして活動されている内田文雄さんのブログ

 グローバルで勝てるVMD

 業界の中でも実際にユニクロで7年VMDの責任者としてお勤めだった方からの

 「(ユニクロの)直近の事までよくぞここまで調べ上げたな」

 とのお褒めの言葉は感無量です。

 「定性面、定量面を駆使しアパレル以外の方にも非常に分かり易い内容になっているので、一度是非読まれる事を御薦めします」

 と評していただきました。

 ありがとうございます。

 それから、なんと!商社勤務時代の同じ部署の後輩で外資系企業のマネージャー職を経て現在キャリアデザインコンサルタントとして独立している大橋重子さんのブログ。

 先ほど Google 検索していて、感想とともに紹介してくれていることがわかりました。

 キャリアは自分で築くもの

 自称「ZARA」好きの目線とご自身の仕事に関連付けての感想を書いていただいています。

 「最後に将来の勢力図の予測があったが、本当にこうなったらすごいなと思う。」

 私も本当にそう思いますね。

 どうもありがとう!

 このほかにも、

 「ユニクロに優しすぎる書き方ではないか」、「両社の従業員の満足度の違いにも突っ込んで書いてほしい」という趣旨のご感想やご意見の方のブログコメントも拝読しました。

 これらのご意見の意味するところはもちろんわかります。しかしながら、

 本書の役目は、筆者の専門分野の立場から

 ユニクロとZARAの真逆のビジネスモデルを明らかにしながらファッションビジネスの急所を浮き彫りにし、

 それに対処すべきリスクマネジメント、特に顧客購買行動分析と在庫コントロールの重要性を中心に

 グローバル展開を考える経営戦略本としてまとめさせていただくことにありました。

 ご指摘の点は、是非、社会派ジャーナリストの方々にその役目をお譲りしたいと思っています。

 ただひとつ言えることは、本書を通じて、

 これまで世界一を目指してワンマンで意思決定をして来られた柳井さんと、

 たとえ、ご自身がいなくなっても・・・店頭を起点にしたサプライチェーン(=ディマンドチェーン)が高速で回り続けるしくみづくりと社員の行動を育んで来たオルテガさんの

 経営アプローチの違いを知っていただければ・・・

 読者のみなさんも 両社の過去、現在とその先にある未来を十分理解し、想像していただけるのではないかと思っています。

 ブログで書評をいただきました方々をはじめ、お忙しい中、貴重なお時間を拙著をお読みいただくことに割いて下さいましたこと、心より感謝申し上げます。

 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

 ベーシックカジュアルの価格と品質の常識を変え日本一のアパレルチェーンとなり、世界一を目指して突き進むユニクロとトレンドファッションの価格の常識を変え、世界一となったスペイン インディテックスグループの基幹ブランドZARA (ザラ)。

 既存のファッション流通の常識に挑んだ2つのブランドの真逆のアプローチ、ビジネスモデル、2人の起業家が考える顧客満足、経営信念、人材育成、今後の成長の可能性まで・・・

 10数年両ブランドをウォッチし続けた専門家の立場から両者の成長の舞台裏をわかりやすく解説しました。

 

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