日清紡が東京シャツを買収 シャツ流通の新たな展開に期待
クリックして人気blogランキングへ
2月27日の日経新聞、2月27日のFashionsnap.com、3月2日の繊研新聞、3月9日のWWDジャパンなどに 繊維素材メーカー大手の日清紡テキスタイルが 「ブリックハウス」「シャツ工房」などの店名でシャツ専門SPAを全国展開する東京シャツグループを買収することに関するニュースが掲載されていました。
それぞれの記事はスクラップして関心を寄せてはおりましたが、WWDジャパンのシャツアパレル大手再編の相関図を見ていて・・・昔、商社時代に生産のお手伝いでおつきあいさせていただいた複数のアパレル企業さんの社名を目にして、こちらの業界には大変お世話になったなぁと感慨深く感じた次第です(笑)
東京シャツはもともとシャツ製造卸からスタートした企業でしたが、時代の流れを読み、2004年には卸から完全撤退して完全SPA化。
2014年2月期の年商は約125億円、「ブリックハウス」「シャツ工房」を日本全国 約200店舗展開しています(一部FCもあるようですが、ほとんど直営の模様)。
郊外SC(ショッピングセンター)出店ブームをフル活用し、比較的シーズンやトレンドに左右されづらいドレスシャツを中心としたシャツというアイテムに特化した強みを発揮してナショナルチェーンとして成功した業態のひとつと言えるでしょう。
1店舗あたりの年商は単純計算、平均6200万円強ですが・・・
HPの店舗情報を見ると郊外SCからサラリーマンが多数行き来する地下街から都心路面まで、私が目にしたことがある店舗でもSCの40坪クラスの店舗から都心の10坪程度のギュッと圧縮された店舗まで売場面積、販売効率もいろいろあるようです。
シャツというコモディティパーツに特化しているため、比較的立地や売り場面積を選ばず出店できるのも強みのようです。
ざっと見渡しても、だいぶ国内出店が進んだようにも思えますが、都心部の高効率の立地への出店にはまだまだ出店余地あると見ました。
これまでローコストオペレーションで成り立ってきた企業体質でしょうから・・・都心の家賃は確かに高いものの、その分 高販売効率の中で利益をたたき出すことも 逆パターン(都心から地方に行って販売効率を下げる)企業よりはアドバンテージがあると思います。
また、都心には鎌倉シャツ(年商38億円)のような知名度の高い強豪もいますが、
鎌倉シャツは比較的年配の方にファンが多いようなので、新業態なども視野に入れて都心で若い世代を狙うのも面白いかも知れませんね。その場合、青山商事のスーツカンパニーのような業態あたりとぶつかるのでしょうか。
ずいぶん前ですが、シャツの生産に携わっていた記憶を呼び起こし、また、シャツに限らずアパレル全般に関して生産、卸、小売りの順に一通り経験した立場から今回のM&Aの感想を申し上げると・・・
シャツの製造小売販売のキモは、デザインそのものは大きく変わらず、ある程度計画性を持てることから、
素材開発&供給と
店頭でのたくさんのサイズ(首回りx袖丈)の在庫をどう管理するか
でしょう。
ですからアパレルビジネスと言っても比較的複雑ではなく、店頭でお客さんに判りやすくすれば、かなり「小売科学」をしやすい業態のひとつであると思います。
そこに日本の素材メーカーの中では品質で定評のある日清紡がバックについたというのは、資金力という点でも非常に心強いでしょう。
現状のブリックハウスやシャツ工房のプライスポイントを考えると、すぐに日清紡の高品質の素材がバンバン使えるかどうか?という問題はありますが、東京シャツの次の展開にはプラスになるはずです。
今回のM&Aが次のステップ、成功につながるかどうかのカギは・・・
流通の川上にいる素材メーカーさんが親会社になることで、素材メーカーの論理を 顧客最適で動いている(週次PDCAの)小売ビジネスに押し付けないことでしょうね。
東京シャツの創業家が卸ビジネスから、SPA化を果した覚悟は・・・全国店舗から 毎日得られる売上情報や顧客動向を把握できるかけがえのない宝(情報)に変わりました。
それを退化させずに、むしろ、いかに次の素材開発やサプライチェーン改善の参考にできるか? その一点にあると言っても過言ではないでしょう。
ところで、ZARAも製造業からSPA化を果し、世界一になったアパレル企業。ZARA創業者のオルテガさんがキャリアをスタートしたのはシャツ専門店の販売員だったってご存知でしたか?
「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)
おかげさまで5刷、今年は中国、台湾、韓国で訳本が出版されます。
ベーシックカジュアルの価格と品質の常識を変え日本一のアパレルチェーンとなり、世界一を目指して突き進むユニクロとトレンドファッションの価格の常識を変え、世界一となったスペイン インディテックスグループの基幹ブランドZARA (ザラ)。
既存のファッション流通の常識に挑んだ2つのブランドの真逆のアプローチ、ビジネスモデル、2人の起業家が考える顧客満足、経営信念、人材育成、今後の成長の可能性まで・・・
10数年両ブランドをウォッチし続けた専門家の立場から両者の成長の舞台裏をわかりやすく解説しました。
「人気店はバーゲンセールに頼らない」 中央公論新社
電子書籍 Kindle版もあります。
いつもお読み頂きありがとうございます。
こちらのアイコンをクリックして応援よろしくお願いします!
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
ビジネス・業界ブログランキング 【第3
位】↓down (15.3.10現在)
| Permalink | 0