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May 25, 2015

正しい在庫管理には情熱と執念も必要

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 5月19日の日経新聞 私の課長時代(上) に掲載されていた大手百貨店グループJフロントリテイリング山本社長の新入社員時代のエピソードから 

 新卒入社後、大丸百貨店神戸店家庭用品売り場に配属になった山本氏は、口ではマーチャンダイジング、マーケティングと言いながら部門別金額(ダラー)管理しかできていなかった百貨店の現実に直面。

 POSもなく単品管理もできていない現実に驚き、毎日仕入れたものを自ら単品ごとのリストを作り、毎週棚卸をしては 売れ筋や商品のサイクルをつかんでいた毎日。

 前例のない、誰もやらない面倒なことをし始めた新入社員(山本氏)は周りから「変なヤツ」と見られていたとのこと。

 しかしながら、この時のこの苦労が後の百貨店人生で非常に重要な経験になったと振り返っていらっしゃいます。

 この話を読んで思い出したのが、私のIFIビジネススクール時代の同期生、松屋百貨店の名物イベント「銀座の男市」で大活躍するカリスマ紳士服バイヤーの宮崎俊一氏がまだ20代後半だったころのエピソード。

 当時、データもなく、店頭でどんなスーツが売れているか?数字で掴めなかった彼は・・・

 諦めることなく、毎日お直し伝票を一枚一枚めくり、記録を付けて顧客の嗜好を分析し、次の仕入れの参考にしていたという話です。

 当時、この話を聴いてとても感心し、20年経った今でもその時の情熱的に語る彼の語り口を今でも覚えているものです(笑)

 果たして今、百貨店はどこまで販売や在庫のデータが把握ができているのでしょうか?

 続いて 私自身がアパレルチェーン勤務時代、服飾雑貨のバイヤーになりたての頃の話です。 

 前任者から引き継いだ靴の在庫は既に在庫予算オーバーで、せっかくバイヤーになったのに、

 仕入予算ゼロ=買えないバイヤー

 という逆境からのスタートでした。

 店頭に行けば売れそうな商品は並んでいるのに売れない、在庫が減らない(汗)

 理由は・・・商品そのものは売れる商品であるにもかかわらず、各店のバックヤードの在庫はサイズの歯抜けだらけで・・・全店でサイズ欠品が起こっている状態でした。

 せっかくお客さんが気に入って、試し履きをしたいとリクエストがあっても、その店にお客さんのサイズ在庫がなく・・・お断りをして、お客さんをがっかりさせている状態であることがわかりました。

 店頭販売時代はサイズの多いジーンズやパンツの接客を積極的に行っていたので・・・

 サイズ欠品が売り逃し、顧客不満足、ひいては在庫過多を引き起こすことは痛いほどわかっています。

 こちらの会社では、POSシステムは導入済みだったものの・・・

 靴という多サイズの品種であるにもかかわらず、なんと、品番単位の管理しか行われておらず・・・

 在庫のサイズの内訳が把握がデータでできていなかったので、何とかサイズ管理ができないか?と考えました。

 店に行ってタグをサイズ入りバーコードに付け替えたり・・・

 店から商品を分割して倉庫に返品してもらい、サイズ管理のできるバーコードタグに付け替えて店に戻したり・・・

 数か月かけて靴の全商品のサイズ管理ができるようにしたものでした。 

 そうすると・・・みるみる売上が上がり、在庫が減り、仕入枠ができたのです(喜)。

 そう、自分がバイヤーとして、同一店舗にサイズを揃えて売り逃しを無くすために集約の店間移動ができるようになっただけでなく・・・

 その過程においても、各店が正しいサイズ在庫が把握できるようになって、言われなくても、喜んで客注を取ってくれるようになって勝手に売上を上げ始めたのも大きな理由でした。

 この時の体験がその後の在庫コントロールの基礎のひとつになっていることは間違いないでしょう。

 そして 現在、クライアント企業さんの中にも、

 バイヤーが適正仕入をしたり、ディストリビューターが店舗在庫の最適化を図ったりするために、正しい在庫の把握に貪欲な社風の会社さんが何社さんかあります。

 そういった企業さんでは棚卸の頻度も高く、どうしたらできるだけ棚卸ロスを起こさないか、在庫データを正しく捉えられるかの商品管理の取り組みにも非常に意欲的です。

 話は変わりますが、

 時折、経営者さんから バイヤーやディストリビューターは数字に強い人でなければ勤まらないか?というご質問を頂きます。 

 私は データ(数字)に強いというよりも、(データを通じて)実体を的確に掴みたいという好奇心、ハングリー精神が第一で・・・

 そして、何か気づきを得たらすぐに行動に移せるフットワークのよい商売人であれば十分です、

 とお答えします。
 
 そんな方なら、数字は苦手とかPCはちょっと、と言っていても、ちょっとご指導すればEXCELだって喜んですぐに使いこなせるようになりますから・・・

 今、業界の中で、ECの拡大が進み、リアルタイムな在庫の把握の必要性が高まり、売り逃しが顕在化して、

 以前よりは、在庫のどんぶり勘定から正しい在庫の把握への関心が高まっていると思います。

 また、将来、RFID(ICタグ)による在庫把握の高速化もとても有り難いことだと歓迎しています。 

 しかしながら、その裏側には 正しいデータを掴むために、メンテナンスにも配慮しながら、お客さんのために素早く行動したい、という「情熱」と「執念」が支える緻密さがなければ・・・

 ITの進化によるデータ把握も 上っ面の議論だけのもの終始してしまうのではないかと思っています。

 だって、データってものは 「これは間違っている、信頼できない」と感じた瞬間に見なくなってしまうのが人の常ですから。


 【おススメ本】

 長年の顧客購買行動分析と在庫コントロールの経験とノウハウを有名企業事例を用いてわかりやすくまとめました。

 人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識 (中公新書ラクレ)

   

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May 18, 2015

競合の視点を変えれば高単価商品も手ごろな価格に映る

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 5月17日の日経新聞 「そこが知りたい」 ファミレス、高めメニューなぜ人気 
の見出しでデニーズを運営するセブン&アイ・フードシステムズ社長 大久保恒夫氏のインタビュー記事が掲載されており大変興味深く読ませていただきました。

 高級スーパー 成城石井社長時代 良質なワインやチーズを充実させて 百貨店デパ地下から客を取り込んで成功した手腕をもつ大久保社長率いるデニーズ。

 記事によればファミレスでは1000円以上のメニューは売れないという固定概念を覆し、

 1000円の朝食メニューの開発、ランチタイムのステーキの充実、国産野菜切り替えによるサラダ単価のアップなど・・・

 高価格帯のメニューを充実させて売上を伸ばしたとのことです。

 今回のインタビュー記事には 原材料&人件費高騰、円安、消費増税の3重苦のインフレ時にあえぐ流通業界の現状打開のヒントが詰まっていますね。

 「着るものも生活水準も少し前より良いものを欲するのが人間の本質だろう。そこに需要はある。変化が必要だ。」

 セブンアンドアイの鈴木会長の意図をもっとも適格に実践に落とす達人であり真の商売人である大久保社長は

 「身近なファミレスが高級レストランに近い質のメニューを2~3割安く提供できれば、さらに伸びる」 と理想の姿を描き

 「競合の視点を変えれば、高めのメニューも手ごろな価格に映る」

 と言い切ります。

 一方、記事では単価アップの話が中心で触れられておりませんが・・・

 そんな高めメニューの開発の一方で、235円のお替り自由のドリップ珈琲などは 

 仕事の場所を選ばないプロワーカーや営業マン、受験をひかえた学生さんたちにとっては

 スタバよりもコスパが高く? 注ぎ足しに来てくれますんで 居心地も悪くなく・・・

 そんな客層に対する優しさも忘れないところも素敵なので

 私も集中して書き物をしたい時などはよく利用させて頂いている次第です(笑)

 単価を上げるだけでなく、そんな

 ハイ&ロー(良いものをこなれた価格で欲する人や時の客単価と変わらぬ庶民性による客数)

 が共存しているところが本当の強みではないでしょうか?

 昨今、新聞紙上では値上げで成功した流通企業を手放しで讃えますが

 なぜ値上げで成功したのか?ただ値段を上げればそれで済むのか?についてもっと掘り下げなくてはなりません。

 ユニクロにしても、ニトリにしても、今回のデニーズのように 従来通り良質の良品廉価を維持しながらも
少し高めの価格帯を品揃えする際には 「競合の視点を変えて」 
上層マーケットから降りてきた客層をしっかりつかんだからこそ売上を伸ばしたのですからね。

 目の肥えたお客さんはよーく見てますからね。

 今回のタイトルにも使わせて頂いた 大久保社長の

 「競合の視点を変えれば、高めのメニューも手ごろな価格に映る」

 是非 皆さんの業界に置き換えて考えてみて下さい。

 【おススメ本】
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

 ユニクロは市場最低価格の品質の極大化に努め、ZARAは百貨店の感度をこなれた価格で提供して成功した

 

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May 15, 2015

円安による国内生産回帰を人材育成のチャンスに

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 5月13日の日経新聞に円安の好機に日本製のアパレル商品をアメリカに売り込もうと意気込む三陽商会、エドウィン、鎌倉シャツ、などの事例が紹介されていました。

 もともと国産にこだわり日本製を売りにしていたこれらの企業やブランドさんたちには引き続き頑張って頂きたいですね。

 記事の後半でも触れられておりますが日本国内で流通しているアパレル商品の割合=輸入浸透率は

 97%と言われ圧倒大多数を輸入に頼る日本の国内アパレル市場。

 しかしながら 昨今の原材料と生産国での人件費アップ、円安のダブルパンチにより中国などアジアで生産する商品の輸入原価が上がり流通業界は大打撃。

 なんせ3年前と比べて為替変動分だけでも原価は1.5倍くらいになっているわけですからホントに頭が痛いです。

 そんな環境の中で昨年から業界で注目されているのが国内生産回帰。

 どちらかというと国産の品質の良さへの注目というより・・・

 円安によって人件費アップが顕著な中国からの輸入品と国産品輸入品コストの差が縮まったことによるコスト要因

 そして

 海外生産よりも短納期で生産ができるフレキシビリティを理由に

 これまで海外生産を主軸にしていた企業さんの国内生産回帰が話題になっているわけです。

 注目は浴びても、これまでのアパレル生産の海外シフトでただでさえ減ってしまった工場現場。

 日経の記事は 特に技術力のある工場には注文が殺到し、取り合いになっているという大手アパレル関係者のコメントで結んでいます。

 国内生産と言えば、私が商社アパレル部門や出向先のアパレルで働いていた80年代から90年代にかけて最初の4-5年は国内生産で鍛えられたことを思い出します。

 アパレル企業のMDやバイヤーさんからオーダーシートを頂き、デザイナーさんから受け取った仕様書を補完しながら、パタンナーさんから預かった型紙を持って北関東や東北や四国の工場に打ち合わせに行ったものでした。

 振り返ればあのころの工場現場で工場長さんや技術担当の方から教えて頂いたり、お説教をいただいたりしたことが・・・ 

 時には「こんな仕様書、型紙では縫えない」、と突き返され、

 慌ててその場で確認を取ながら善後策をとり、頭を下げてようやく受けてもらったなんてこともしょっちゅうありましたね(笑)

 そんな緊張の後、一緒に頂く食事も美味しかった(笑) 

 その後 業界が海外生産中心になっても それ以前に国内生産の現場で学んだ基本や現場への理解が活きたことは言うまでもありません。

 国内生産の工場での打ち合わせは自分にとっての「学びの場」であり「道場」であったと思います。

 話は飛びますが、

 数年前に大手アパレルさんのある事業部さんに商品研究研修に伺った時のこと。

 さすがに大手アパレルメーカーさんなので、そのSPAブランドはしっかりとデザイナーさん、パタンナーさんを自前で何人も抱え内製化してモノづくりをされていたのですが、

 講師をお願いしていたベテランパタンナー含めた事前打ち合わせで ちょっと驚かされたのは・・・

 ほとんどのデザイナーさん、パタンナーさんは工場現場に行ったことがないという話になった時です。

 考えてみれば、私が国内生産に携わっていたころは デザイナーさんもパタンナーさんも国内工場に出張して

 現場の設備や技術を見ながら、無茶なデザイン?もこういうやり方だったら出来るよという工場側の逆提案に納得しながら、現実的な打ち合わせをするなんて風景はしょっちゅうあったのでしょうが、

 生産のほとんどが海外にシフトしてしまった昨今、商品部長やマーチャンダイザーなどマネージャークラスでないと気軽に工場に出張できないというのが現実かも知れません。

 いやいや商社にまかせっきりで・・・そんな方々もシーズンに一回出向いてゆくかどうか?

 そんな環境の中で、デザインやパターンと言った服作りの大事な部分を担う彼女ら彼らはPCに向かってイラストレーターやCADで仕事をする毎日。

 本当にそれでいいの?勿体なくてなりません。

 今回の国内生産回帰 きっかけはコスト問題や短納期生産であっても構いませんが

 打ち合わせはコストやスピード(納期)に終始するのではなく

 経営者さんには是非 将来業界を背負って立つ若手人材が頻繁に現場に入って学べる機会にして頂きたいと思ってやみません。

 現場と技術をリスペクトしながら、お客さんのために良い商品を作りたいと、真面目に学ぶ姿勢で接すれば

 高齢化して後継者不足に悩む工場現場の方々も喜んで教えて下さるはずです。

 今回の円安 国内生産回帰は もしかしたら・・・そのラストチャンスかも知れません。


 【おススメ本】
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

 ZARAのオーナーオルテガさんは現場に優しい製造業出身のカリスマ。

 本書を通じて小売出身SPAと製造業出身SPAの違いをご理解いただければ幸いです。
 
 

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May 12, 2015

全米最大の百貨店グループ、メーシーズ (Macy's) がいよいよオフプライスストア業態に参入

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 5月11日の繊研新聞に、アメリカ最大の百貨店グループ、メーシーズ(Macy’s)が同社初となるオフプライス・ストア業態 「メーシーズ・バックステージ」を開発し、今秋ニューヨーク州に4店舗をオープンすることに関する記事が掲載されていました。

 「オフプライス・ストア」って聞きなれない方も多いでしょう。

 アメリカではおなじみの業態ですが、わかりやすく言えば1店舗あたり500坪、1000坪クラスの

 大型のファッションブランドディスカウンターチェーンです。 アウトレットともまた違います。

 アメリカではアパレルメーカーやファッションブランドと百貨店、量販店、あるいは専門店チェーン間の取引は

 完全買い取りが常識ですが・・・

 小売チェーンは シーズン中に在庫が売り切れないと判断するや否や、自店でディスカウントを始めるのはもちろん、あわせて在庫換金目的で「クローズアウトマーケット」と呼ばれる不良在庫処分業者(俗に言うバッタ屋)に当シーズンの在庫を放出することがあります。

 それらのブランド衣料をキャッシュで買い取って 常時20-80%OFFで販売するのがオフプライス・ストアチェーンです。 ブランド(卸)側も同じようにシーズン中に在庫をクローズアウトマーケットに放出することもよくあります。

 その結果 業界最大手のTJX とROSSという2社の売上だけでも(ともに上場企業)

 全米で3兆円近い売上規模の「オフプライス・ストア」という販路を形成している始末。

 T.J. Maxx ウェブサイト
 Marshalls ウェブサイト
 ROSS ウェブサイト

 私も 普段着に使える 品質の担保されたブランド衣料や靴やホームファッションが安く買えるということで、アメリカ在住時代は結構お世話になりましたし、アメリカ出張の際、下着が足りなくなった時はご安心、オフプライスストアで調達することも少なくありません。

 だってPOLOやCKの3PパックTや2Pブリーフが20ドル未満で売られているのですからね。

 2年前のリサーチレポートですが、ご興味のある方はどうぞ

 関連エントリー-アメリカマーケットリサーチ報告(その5) アメリカのコモディティ衣料需要を支えるオフプライスストア

 「サービスが伝説になる時」でおなじみの百貨店ノードストロームですら ノードストロームラックというオフプライス・ストア業態を全米に展開しています。

 Nordstrom Rack ウェブサイト

 一般的にオフプライスストアは郊外のスーパーマーケットと併設というパターンが多いですが、

 マンハッタンの繁華街のド真ん中(ユニオンスクエア)に このノードストロームラックがあり、すぐ近くにTJXグループの大型店があったのにはびっくりしました。

 それだけオフプライスストアでのショッピングというものがアメリカ人の生活には浸透しているんですよね。

 いくつかの百貨店グループが既にこのディスカウンター業態に参入しており、百貨店最大手のメーシーズもいよいよ参入、ということのようです。

 そんな規模で成り立っているということは、百貨店や専門店の仕入失策によるデッドストックだけではなく・・・

 著名なナショナルブランドがこのオフプライスストアチェーン向けに 確信犯的に在庫を多めに作ったり、専売品を作ったりして商品を供給しているということも否めないのではないでしょうか。

 私は、このオフプライス・ストアの存在が GAPやオールドネイビーなどのアパレルチェーンよりも

 ユニクロのアメリカ市場での最大の拡大障壁だと思っています。

 なんせ、アンダーウエア、ホームウエア、ワンマイルウエアにするには十分すぎるナショナルブランドの衣料がユニクロ並みの値段で販売されているのですから。

 そんなビジネスフォーマットは果たして将来 日本にもできるのでしょうかね?

 21世紀の欧米マーケットにおいて ZARAやH&Mなどのグローバルファストファッションが各国でアパレルマーケットを席巻した後に いったいどんなことが起こっているかというと・・・

 最も大きな流れは・・・ヨーロッパにおけるプライマークの台頭、アメリカにおけるオフプライスストアの更なる拡大 などが象徴する アパレルを更に安く売るディスカウントチェーンの台頭ですからね。

 将来日本でもそんなマーケットが形成されるとしたら、ドン・キホーテやブックオフグループのようなところがその担い手になるのでしょうか。

 【おススメ本】
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

 過去、現在だけでなく、ユニクロのそしてZARAの将来のグローバル展開についても考察しています。
 
 

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May 07, 2015

ジーユー・ユニクロはレジ待ち時間の短縮に、ZARAは欲しい商品を店頭で顧客の手に届けるためにICタグを活用する

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 5月5日の日経新聞一面にユニクロを展開するファーストリテイリングがジーユーを手始めにICタグ活用による「無人(セルフ)レジ」を順次導入し、その後はユニクロにも広げて行くことに関する記事が掲載されていました。

 記事によれば、ジーユー4店舗で実験を始めていたセルフレジの効果を踏まえ

 今夏をメドにジーユー国内全300店舗への導入を検討しているようで・・・

 ユニクロでも来年春稼働予定の大型物流センター設置を契機に導入が始まる模様です。

 同社がICタグ、セルフレジを導入することによって目指すのは・・・

 顧客のレジ待ち時間の短縮 です。

 実験店では通常2分かかる精算から支払が1分で済んだとのこと。

 3月中旬からジーユー横浜ビブレ店で実験が始まったことは耳にしていましたが・・・

 この夏をメドに全店導入とは、ずいぶんと速い決断にびっくりですね。

 一方、前日5月4日の日経MJにはZARAジャパンのICタグ導入の記事が掲載されていました。

 4月上旬くらいから繊研新聞、WWDジャパンなど各紙やネットメディアが次々に取り上げたZARAのICタグ導入のニュースは

 関連エントリー-ZARAが日本でもRFID(ICタグ)を導入へ

 でも取り上げましたが、一連のニュースを読んだ上で自分なりに整理をすると

 ZARAはリアルタイムに近い(おそらく数時間に一回の更新?)商品在庫のロケーション管理を行うためにICタグを導入し、

 顧客が欲しい商品を遅滞なくバックヤードから店頭に補充する、

 あるいは自店になくても、他店なのか、ウェブストアにあるのかを顧客にいち早く案内できるようにする。

 また、ウェブストアでもどの店になら欲しい商品の欲しいサイズの在庫があるのか?を顧客自身が検索でき、店舗への来店を促進するため

 に活用すると読み取れました。

 拙著「ユニクロ対ZARA」の中でも両ブランドのオペレーションがそれぞれの経営信念と店頭での顧客購買行動、顧客満足のために・・・ひとつひとつのオペレーションが首尾一貫していることを対比して述べましたが・・・

 両者のICタグの導入に関しても正にその一貫性が貫かれています。

 ユニクロのお店で顧客が求めているのは部品倉庫でのクイックキャッシュアウトによるコンビニエンス性であり(すぐに目的の商品がある場所がわかり、すぐに支払をすませて店を出ることができる)

 ZARAは顧客の店舗への来店頻度への集中投資と・・・クローゼットのような、コーディネートが施された店内で顧客がときめく商品と出会う場、瞬間を演出する

 冒頭の日経の記事にはタグが一枚10円を切ってコストが安くなったからとか、ユニクロのような大手が取り上げ始めたから業界各社の導入に弾みがつきそうだ、とか言いますが・・・

 その目的は会社によってそれぞれです。

 そして 真の経営信念の延長線上にあるICタグの導入こそが・・・更なる顧客満足と成功につながるのだと思っています。

 ファストリ、ZARA 両社の導入が上手くゆくことを 楽しみにしています。

 【おススメ本】
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

 それぞれの経営者の情熱と信念が込められた店舗オペレーション、その舞台裏をまとめました
 
 

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