円安による国内生産回帰を人材育成のチャンスに
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5月13日の日経新聞に円安の好機に日本製のアパレル商品をアメリカに売り込もうと意気込む三陽商会、エドウィン、鎌倉シャツ、などの事例が紹介されていました。
もともと国産にこだわり日本製を売りにしていたこれらの企業やブランドさんたちには引き続き頑張って頂きたいですね。
記事の後半でも触れられておりますが日本国内で流通しているアパレル商品の割合=輸入浸透率は
97%と言われ圧倒大多数を輸入に頼る日本の国内アパレル市場。
しかしながら 昨今の原材料と生産国での人件費アップ、円安のダブルパンチにより中国などアジアで生産する商品の輸入原価が上がり流通業界は大打撃。
なんせ3年前と比べて為替変動分だけでも原価は1.5倍くらいになっているわけですからホントに頭が痛いです。
そんな環境の中で昨年から業界で注目されているのが国内生産回帰。
どちらかというと国産の品質の良さへの注目というより・・・
円安によって人件費アップが顕著な中国からの輸入品と国産品輸入品コストの差が縮まったことによるコスト要因
そして
海外生産よりも短納期で生産ができるフレキシビリティを理由に
これまで海外生産を主軸にしていた企業さんの国内生産回帰が話題になっているわけです。
注目は浴びても、これまでのアパレル生産の海外シフトでただでさえ減ってしまった工場現場。
日経の記事は 特に技術力のある工場には注文が殺到し、取り合いになっているという大手アパレル関係者のコメントで結んでいます。
国内生産と言えば、私が商社アパレル部門や出向先のアパレルで働いていた80年代から90年代にかけて最初の4-5年は国内生産で鍛えられたことを思い出します。
アパレル企業のMDやバイヤーさんからオーダーシートを頂き、デザイナーさんから受け取った仕様書を補完しながら、パタンナーさんから預かった型紙を持って北関東や東北や四国の工場に打ち合わせに行ったものでした。
振り返ればあのころの工場現場で工場長さんや技術担当の方から教えて頂いたり、お説教をいただいたりしたことが・・・
時には「こんな仕様書、型紙では縫えない」、と突き返され、
慌ててその場で確認を取ながら善後策をとり、頭を下げてようやく受けてもらったなんてこともしょっちゅうありましたね(笑)
そんな緊張の後、一緒に頂く食事も美味しかった(笑)
その後 業界が海外生産中心になっても それ以前に国内生産の現場で学んだ基本や現場への理解が活きたことは言うまでもありません。
国内生産の工場での打ち合わせは自分にとっての「学びの場」であり「道場」であったと思います。
話は飛びますが、
数年前に大手アパレルさんのある事業部さんに商品研究研修に伺った時のこと。
さすがに大手アパレルメーカーさんなので、そのSPAブランドはしっかりとデザイナーさん、パタンナーさんを自前で何人も抱え内製化してモノづくりをされていたのですが、
講師をお願いしていたベテランパタンナー含めた事前打ち合わせで ちょっと驚かされたのは・・・
ほとんどのデザイナーさん、パタンナーさんは工場現場に行ったことがないという話になった時です。
考えてみれば、私が国内生産に携わっていたころは デザイナーさんもパタンナーさんも国内工場に出張して
現場の設備や技術を見ながら、無茶なデザイン?もこういうやり方だったら出来るよという工場側の逆提案に納得しながら、現実的な打ち合わせをするなんて風景はしょっちゅうあったのでしょうが、
生産のほとんどが海外にシフトしてしまった昨今、商品部長やマーチャンダイザーなどマネージャークラスでないと気軽に工場に出張できないというのが現実かも知れません。
いやいや商社にまかせっきりで・・・そんな方々もシーズンに一回出向いてゆくかどうか?
そんな環境の中で、デザインやパターンと言った服作りの大事な部分を担う彼女ら彼らはPCに向かってイラストレーターやCADで仕事をする毎日。
本当にそれでいいの?勿体なくてなりません。
今回の国内生産回帰 きっかけはコスト問題や短納期生産であっても構いませんが
打ち合わせはコストやスピード(納期)に終始するのではなく
経営者さんには是非 将来業界を背負って立つ若手人材が頻繁に現場に入って学べる機会にして頂きたいと思ってやみません。
現場と技術をリスペクトしながら、お客さんのために良い商品を作りたいと、真面目に学ぶ姿勢で接すれば
高齢化して後継者不足に悩む工場現場の方々も喜んで教えて下さるはずです。
今回の円安 国内生産回帰は もしかしたら・・・そのラストチャンスかも知れません。
【おススメ本】
「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)
ZARAのオーナーオルテガさんは現場に優しい製造業出身のカリスマ。
本書を通じて小売出身SPAと製造業出身SPAの違いをご理解いただければ幸いです。
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