全米最大の百貨店グループ、メーシーズ (Macy's) がいよいよオフプライスストア業態に参入
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5月11日の繊研新聞に、アメリカ最大の百貨店グループ、メーシーズ(Macy’s)が同社初となるオフプライス・ストア業態 「メーシーズ・バックステージ」を開発し、今秋ニューヨーク州に4店舗をオープンすることに関する記事が掲載されていました。
「オフプライス・ストア」って聞きなれない方も多いでしょう。
アメリカではおなじみの業態ですが、わかりやすく言えば1店舗あたり500坪、1000坪クラスの
大型のファッションブランドディスカウンターチェーンです。 アウトレットともまた違います。
アメリカではアパレルメーカーやファッションブランドと百貨店、量販店、あるいは専門店チェーン間の取引は
完全買い取りが常識ですが・・・
小売チェーンは シーズン中に在庫が売り切れないと判断するや否や、自店でディスカウントを始めるのはもちろん、あわせて在庫換金目的で「クローズアウトマーケット」と呼ばれる不良在庫処分業者(俗に言うバッタ屋)に当シーズンの在庫を放出することがあります。
それらのブランド衣料をキャッシュで買い取って 常時20-80%OFFで販売するのがオフプライス・ストアチェーンです。 ブランド(卸)側も同じようにシーズン中に在庫をクローズアウトマーケットに放出することもよくあります。
その結果 業界最大手のTJX とROSSという2社の売上だけでも(ともに上場企業)
全米で3兆円近い売上規模の「オフプライス・ストア」という販路を形成している始末。
T.J. Maxx ウェブサイト
Marshalls ウェブサイト
ROSS ウェブサイト
私も 普段着に使える 品質の担保されたブランド衣料や靴やホームファッションが安く買えるということで、アメリカ在住時代は結構お世話になりましたし、アメリカ出張の際、下着が足りなくなった時はご安心、オフプライスストアで調達することも少なくありません。
だってPOLOやCKの3PパックTや2Pブリーフが20ドル未満で売られているのですからね。
2年前のリサーチレポートですが、ご興味のある方はどうぞ
関連エントリー-アメリカマーケットリサーチ報告(その5) アメリカのコモディティ衣料需要を支えるオフプライスストア
「サービスが伝説になる時」でおなじみの百貨店ノードストロームですら ノードストロームラックというオフプライス・ストア業態を全米に展開しています。
一般的にオフプライスストアは郊外のスーパーマーケットと併設というパターンが多いですが、
マンハッタンの繁華街のド真ん中(ユニオンスクエア)に このノードストロームラックがあり、すぐ近くにTJXグループの大型店があったのにはびっくりしました。
それだけオフプライスストアでのショッピングというものがアメリカ人の生活には浸透しているんですよね。
いくつかの百貨店グループが既にこのディスカウンター業態に参入しており、百貨店最大手のメーシーズもいよいよ参入、ということのようです。
そんな規模で成り立っているということは、百貨店や専門店の仕入失策によるデッドストックだけではなく・・・
著名なナショナルブランドがこのオフプライスストアチェーン向けに 確信犯的に在庫を多めに作ったり、専売品を作ったりして商品を供給しているということも否めないのではないでしょうか。
私は、このオフプライス・ストアの存在が GAPやオールドネイビーなどのアパレルチェーンよりも
ユニクロのアメリカ市場での最大の拡大障壁だと思っています。
なんせ、アンダーウエア、ホームウエア、ワンマイルウエアにするには十分すぎるナショナルブランドの衣料がユニクロ並みの値段で販売されているのですから。
そんなビジネスフォーマットは果たして将来 日本にもできるのでしょうかね?
21世紀の欧米マーケットにおいて ZARAやH&Mなどのグローバルファストファッションが各国でアパレルマーケットを席巻した後に いったいどんなことが起こっているかというと・・・
最も大きな流れは・・・ヨーロッパにおけるプライマークの台頭、アメリカにおけるオフプライスストアの更なる拡大 などが象徴する アパレルを更に安く売るディスカウントチェーンの台頭ですからね。
将来日本でもそんなマーケットが形成されるとしたら、ドン・キホーテやブックオフグループのようなところがその担い手になるのでしょうか。
【おススメ本】
「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)
過去、現在だけでなく、ユニクロのそしてZARAの将来のグローバル展開についても考察しています。
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