H&Mの集中出店の威力、グローバルチェーンの価格調整力
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10月1日の繊研新聞に先ごろ発表されたH&Mの第3四半期決算(2014年12月~2015年8月までの9か月決算)の記事が掲載されておりましたので、気になって同社のIRプレスリリースに目を通しました。
売上ベースで22%増収、営業利益ベースで12%の増益で、9か月経過時点で売上高は1兆8780億円(SEK=14.21円で換算)規模。
このペースで行けば年商2兆5000億円規模になりそうで、もしや、いよいよインディテックスを抜くのではと思ってインディテックスグループの財務レポートもチェックしたところ・・・
インディテックスグループは上半期(2015年2月~2015年7月)で売上が前年比17%増(既存店は7%増)、営業利益は25%増で同様に快走中ですので、まだまだH&Mはインディテックスグループには追い付きそうもありません。
注:当ブログのH&Mの売上高は他のチェーンと合わせるために常にVAT抜きで表示しています。
それにしてもH&Mの売上上位国の中で、集中出店を宣言している アメリカと中国でのの成長率はものすごいですね。
第2位 アメリカ の53%増(現地通貨ベースでは22%増)
381店舗 売上は年商規模で 3500億円 相当
第5位 中国 の 51%増 ( 同 21%増)
299店舗 同 年商規模 1500億円 相当
参考まで 17位の日本は14%増 ( 同 7%増)
53店舗 同 年商規模 510億円相当
欧州先進国攻略の後、H&Mの矛先は現在 世界1位と2位のマーケット アメリカと中国に向いているため、日本での勢いはそれほどでもありませんが、
アメリカと中国を攻めつくした後に向かって来るのは世界3位のマーケット、日本に間違いないでしょう。
その時、現在のアメリカや中国並みの20%超のペースでアクセルを踏まれたら日本のアパレルマーケットは毎年150~200億円以上のペースで喰われ続けることになるでしょうね。
現在、H&Mが日本攻略の手を緩めているからといって安心せずに・・・数年後にどう棲み分けをするかしっかり考えるべきでしょう。
同じ外資脅威論ながら、視点がちょっと変わりますが・・・
以下は今年8月後半にグローバルファッションチェーン激戦区ロンドンでファッションチェーンの価格調査をした時のウィメンズシャツ・ブラウスプライスポイントの一覧です。
ブランド プライスポイント £=190円 VAT付加価値税20%込み
TOPSHOP(英) £36.00→ ¥6,840
NEXT(英) £26.00→ ¥4,940
M&S(英) £25.00↑ ¥4,750
ZARA Woman £29.99↓ ¥5,698
ZARA Basic £25.99↓ ¥4,938
Trf(ZARA) £19.99↓ ¥3,798
UNIQLO £19.90↓ ¥3,781
NEWLOOK(英) £17.99→ ¥3,418
F21 £15.00↓ ¥2,850
H&M £14.99↓ ¥2,848
Primark £10.00→ ¥1,900
矢印は2年前の同時期との比較で上がったか下がったか変わらないかを示したものです。
興味深いのは・・・
ローカルチェーンは価格を維持または値上げ
グローバルチェーンは逆に下げていたことです。
原価高騰や為替によってローカルチェーンはローカルの損益を中心に考え、防戦一方。
そこにつけ込むグローバチェーンはグローバルで損得を考え、
価格を調整してマーケットシェアを拡大するための価格調整力を発揮するという構図です。
そんな現象は日本では起こらないと誰が言えるでしょうか?
最近、ユニクロの店頭価格とH&Mの価格があまり変わらないこと・・・
アウターに至ってはユニクロとZARAの価格が近づいて来ていることにお気づきでしょうか?
マーケットの再編はまだまだ起こりそうです。
【おススメ本】
世界のファッション流通マーケットもこの2ブランドを比較すれば よりわかりやすくなる!
いよいよ台湾で中国語翻訳版も発売されました。 今後 韓国、中国本土と続きます。
「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)
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