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January 27, 2016

単なるベーシック回帰ではない、ベーシック+デザイン=ミニマリズムの大衆化の時代

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 1月26日の日経新聞 「GLOBAL EYE」に工業デザイナーの深沢直人氏の記事が掲載されておりとても興味深く読ませていただきました。

 同氏はアメリカのパソコンのマウスをデザインして知名度を高めたデザインコンサルティング会社に勤め、その中でも米アップルからご指名で仕事を受け、帰国後は無印良品の壁掛け式CDプレーヤーを手がけるなど「ミニマリズム」の提唱者、経営に助言できるデザイナーとしても名高いお方。

 iPhoneの普及以来、「ミニマリズム」が支配的になったというアメリカから、同氏に声がかかることが多くなった背景に、アメリカの消費に過度なデザインから「ほどほど」「これでいい」というシフトが見られることと重ねあわせて解説していた記事の内容に、昨今の世界の消費トレンド、デザイントレンドに共通するピンと来るものを感じました。

 これまで世界の先進国のファッション消費トレンドが品揃え→低価格化→専門化→品質→デザインと10年周期で回っていることを毎年IFI大学講座(明治大学、青山学院大学、東京経済大学など)でファッション流通のグローバルマクロトレンドとして講演して来ましたが・・・

 H&Mが日本に上陸した2008年、そして翌年の2009年のファストファッションブーム(デザインの低価格化)から7-8年が経過し、そろそろ日本でも次の消費トレンドがやって来て良さそうなものと 

 ここ数年次のトレンドを肌で感じるために欧米を視察した内容を生徒さんに共有していたものでしたが・・・ 

 昨年夏の北欧リサーチで感じたことと今回の記事が一致し、とても納得したものでした。

 アメリカ西海岸のノームコアのトレンドを見ると「ベーシック回帰」(退化)か?と思ってしまいがちですが・・・北欧で出会った未来はスウェーデンを中心とした洗練された大衆ミニマルデザインの潮流でした。

 身近な例で言うと、H&MのCOSです。

 COS URL

 日本ではまだ青山に一店舗 (横浜に2号店ができるようですね)。

 しかし、昨夏のロンドン、ストックホルム、ヘルシンキ、コペンハーゲンの視察旅行先で印象的だったのは・・・

 どの都市の同店を覗いても、おしゃれなヨーロッパの大人の女性たちが爆買いしている姿を目の当たりにし、単なるベーシックではない、デザインをそぎ落とし過ぎない、こなれた値段のデザインされたスタイリッシュなベーシックの潮流がCOSにはあり、

 アパレルに限らず、北欧の都心部の多くの消費財にその潮流が見られたことでした。

 日本にはまだあまり紹介されていない スウェーデンの無印良品とも言えるGranitもそのひとつです。

 Granit URL

 無印良品は不要なものを取り去ったシンプルデザインと評されますが、バブル世代後期(笑)の?私としては・・・ 

 コンセプトには大いに共感できても・・・実際のプロダクトに落とした時(特にアパレルは) むしろそぎ落とし過ぎ、それは「ミニマルデザイン」というものではなく、「清貧」的にすら感じてしまうことがあるのが正直なところです。

 それに対して、COSやGranit にはベーシック、シンプルながらも近代的なフォルムを加えた、進化版ベーシックであり、スタイリッシュな新しさ=これからのミニマルデザインを感じます。

 おそらくユニクロが欧米で広がらない理由は 競合関係や価格やサイズの問題だけではなく、もしかしたら、こういった新しい潮流である「ミニマリズム」ではなく、旧来型の「ベーシック」を提案しているため、新しさが伝わらないからなのではないかとも思えて来ます。 もちろん成熟していない新興国では今のままでよいと思いますが・・・

 その点が海外消費者が感じる ユニクロとMUJIの評価の違いなんでしょうね。

 ただの「ベーシック」だけではつまらない、「デザイン」されていても高価ではない、スタイリッシュで手ごろなベーシックが大衆化して行く、そんな違いのわかる「ほどほどの」デザインの時代が間もなく日本でも始まるはずです。

 無印良品が一皮むけるのか?無印と競演しながら台頭する新しい彗星が現れるのか?

 そのあたりを注目しておきましょう。 

 追伸: ご興味があれば、是非 北欧をデザイン、消費の視点で旅してみて下さい。

 昨夏 北欧に発つ前に読んだ本にあった
 
 「北欧では フィンランドがデザインし、スウェーデンがつくり、コペンハーゲンが売り、ノルウェイが買う」 

 という各国の役割分担のフレーズに妙に共感しながら旅をし・・・スウェーデンの大衆ミニマルデザインとプロダクトに未来の日本の姿を感じたものでした。


 【おススメ本】

 低価格ベーシック衣料の品質の常識を変えたユニクロととトレンドファッションの価格の常識を変えたZARA。

 二つのブランドの生い立ちとビジネスモデルを知ることによって未来のファッション消費を考える本です。

 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

 

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