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October 30, 2016

アダストリアのICタグの物流実証実験とRFID活用の課題

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 10月27日の繊研新聞にローリーズファーム、グローバルワーク、ニコアンドなどを展開するアダストリア(旧ポイント社)のICタグを活用した物流の実証実験に関する記事が掲載されていました。

 今回、同社のブリスポイント事業で行われる実験は中国の縫製工場から出荷される商品にICタグを付け、検品場を通過したところから運送、船積み、通関、国内物流倉庫を経て店頭に到着するまでのステイタスを可視化することが目的のようで、

 いずれは関連して、工場の納品伝票作成や通関手続きの簡素化などにもつなげる考えがあるようです。

 業界では、セレクトショップなどを中心にICタグの実験・導入が進んでいますが、今でもタグのコストと読み取りの精度の課題があり、本格的な導入を検討する企業は限られている模様です。

 コストに関しては、値札にICチップを埋め込むことを想定しているために、使い切りの値札に現在10~20円すると言われているICチップのコストがかけられるかという問題があります。

 国内で流通するアパレル商品の平均売価は2000円台前半と言われていますから、販売価格からすると1%程度、仕入コストからすると2.5%のコストを負担できるかという課題です。

 比較的高額(平均の3~4倍の単価)な商品を扱うセレクトショップであればその比率は下がりますので、導入のハードルは低いと言えましょう。

 また、読み取り精度については、近くに読み取りを妨げる金属があったりする場合やICタグが物理的な刺激を受けると破損する可能性があることから・・・

 現在は多少改善されているかも知れませんが、1.7%くらいの確率で読み取り漏れの可能性があると聴きます。

 今回のアダストリアの実験のように物流関連であれば、箱詰めされた(保護された)状態ですから問題は少ないかも知れませんが・・・

 店頭に出て商品どうしや什器などにぶつかったり、バックヤードの管理状況が悪かったり、お客様が試着をする際に物理的な刺激を受ける頻度が高くなると・・・

 ICチップが破損する可能性があるというものです。

 また、通常のバーコードの値札だって、量を扱うセルフ販売店での店頭では頻繁にタグ落ち問題がありますので、そもそもタグが落ちてしまったら読み取れません。

 従って、店頭での入出荷や棚卸業務への活用に関しても、スキャナーを持って魔法をかけるようなポーズで済む話ではなく、

 箱の中に何点入っているか、什器の中に何点陳列されているかを数えた上で読み漏れがないかどうかを確認する、点数棚卸を併用する必要は出て来ます。

 これらの日本の事例に対して、外資の導入事例をご紹介しましょう。

 拙著「ユニクロ対ZARA」を執筆する際にスペインの本社で話を伺いましたが、インディテックスグループでもICタグ(RFID)を活用した物流、商品管理、店舗作業軽減の取り組みが進んでいます。

 同社では、値札ではなく、もともとスペインの物流倉庫出荷時に全商品につけて全世界に送り出していたセキュリティタグ(防犯タグ)の中にRFIDチップを埋め込むことでまずはチップのもろさを解消しています。

 また、コスト面でも、そもそもICチップのよいところは書き換え可能なところですから、値札に埋め込むような一回使い切りの活用ではなく、セキュリティタグを回収することで再利用が可能になります。

 つまり、もとのコストがどうであれ、何回も使うことができれば、1回あたりのコストは再利用すればするほど安くできますよね。

 同社の物流のコンセプトの中に「ラウンドトリップ」や「リサイクル」という考え方があります。

 つまり、「往路」のみで行ったっきり、使い切りにするのではなく、本来空気を運んでいるかもしれない「復路」を使って回収することで物流スペースをフル活用したり、廃棄されることを前提にしないで再利用したりすることで

 トータルコストを削減しようという努力をしている話です。

 この考え方に基づけば、ICチップのコストをいかに安くするか?ではなく、多少コストは高くても、何度も再利用できるものにするという発想に変わって来ますよね。
 
 明らかに一枚上手です。

 店舗作業についても、

 レジではお会計時にセキュリティタグを外すと同時にお買い上げ商品の情報がPOSレジに読み込まれますのでバーコードスキャンの必要はありません。

 また、同社では顧客が試着商品のうち買わなかった商品を店舗スタッフがチェックする作業がありますが、こちらもRFIDの読み取りを行えばすぐに終わるでしょう。

 そして、店頭のサイズ欠品や商品の店内ロケーション管理にもRFIDは活用されていることでしょう。

 一方、ZARAのオンラインショップを利用するとわかりますが、
 
 注文商品が出荷された時や店舗受け取り指定にした際に商品が店舗に到着した時、いずれもメールが来ますが、こちらもこのRFIDと連動して自動化されていると思われます。 

 というように当然のことながら、物流にも活用されていますね。

 ひとつの技術を取り入れる時も目先のコストではなく、店頭を起点にあらゆる業務の効率化を考えるインディテックスグループの発想からは多くのことを学ぶことができます。

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October 27, 2016

成熟市場イギリスで高収益を上げるNEXT(ネクスト)のオムニチャネルリテイリング戦略

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 毎年このブログで最もアクセスを頂いているエントリーのひとつに世界アパレル専門店売上ランキングがありますが、2015年度のランキングで最も注目すべき企業は8位にランクするイギリスのNEXT(ネクスト)でしょう。

 世界アパレル専門店売上ランキング2015 トップ10

 英NEXT(ネクスト)は1864年創業のベーシックカジュアルの老舗アパレルチェーンで、

 米GAPと並び、ユニクロのSPA(製造小売業)お手本のひとつになったことでも知られています。

 売上規模ではプライマークに抜かれ、TOP10の中では成長率も左程高くない成熟ブランド、日本でもゼビオがフランチャイズ展開をしていますが、コンサバでちょいとイケていないブランド(失礼!)に見られがちなため、これまで業界関係者もあまり注目して来なかったのが正直なところです。

 しかし、NEXT(ネクスト)は2016年1月期決算で年商7152億円、20.5%の営業利益率をたたき出す世界の中でもトップクラスの高収益率の企業です。

 以下は事業ごとの売上構成比と営業利益に関する数値です。

事業        売上構成比 前年比 営業利益シェア 営業利益率
英国直営店事業  57.2%   +1.1%  47.2%      16.9%
通販事業      40.0%   +7.7%   47.6%      24.4%
他海外FCなど   2.8%     -15.5%   5.2%        37.9%
合計         100%    +3.0%   100%      20.5%

 通販事業の売上構成比40.0%は小売チェーンの中でも極めて高いですが、営業利益構成比47.6%には驚かされますね。 

 同社の通販事業(NEXT DIRECTORY)は英国を中心に世界70か国に展開し、過去20週以内に1回以上オーダーしているアクティブユーザーが457万人いるNEXTが手掛けるカタログおよびECビジネスの総称です。

 同事業は

            事業内シェア 営業利益率
1)英国通販事業   77.4%    27.5%
2)LABEL事業    10.8%    12.2%
3)海外通販事業   11.8%    15.7%

の3つから構成されます。

 ネクストの通販事業の構成比の高さと収益性の理由をまとめると・・・

 まずは、1988年にカタログ通販を始め、1999年にはインターネット通販を開始するなど、業界の中でも早くから取り組んだ先行者利得があるでしょう。

 次に、ZOZO TOWNの「ツケつけ払い」ではありませんが、通販購入者は代金を分割払いができるクレジット決済(掛け売り)口座を設けていることも挙げられます。これにより、顧客の購買のハードルは下がりますね。

 また、自ら築いた顧客網、通販および物流インフラを活用して・・・

 本来競合するはずのナショナルブランドやインターナショナルブランドをセレクトし、ネクストの通販アカウントを持っている顧客に販売代行するLABEL(レーベル)というファッション商品のECモールのような機能を果たす事業があります。

 これも既存顧客のまとめ買いや囲い込みに一役買っているようです。

 さらに同社の通販事業の資料に目を通していて、着目すべきことは、

 EC購入客の店舗での受け取り比率55%という高さでしょう。これは5年前の13%から飛躍的に上がった数字のようで、その理由はいくつかあります。

 イギリスでは日本のヤマト運輸ほどきめ細かい対応を取る業者が出てきていないため、ECで注文した商品を不在により自宅で受け取りできない確率が高いことが挙げられます。

 これに対して、NEXTは国内540の店舗網(アクセスポイント)と独自の物流網をフル活用し、注文した翌日の昼には送料無料で顧客の指定した店舗で商品を受け取れるというサービスを実施した結果です。
 
 同社の資料を見ていて、ECモールを活用して通販売上を上げることに躍起になっている日本企業にとって、意外と「店舗での商品受け取り」というのは盲点だったのではないか?と思いました。

 店舗での商品受け取りは顧客にとって、

 運賃を払う必要がなく、自分の都合にあわせて受け取ることができ、あらかじめ決済を済ませていれば、お会計をする手間もいりません。

 もし、商品を確認したり、試着をしたければ、店舗のフィッティングルームを使えますし、場合によってはその場で交換返品もできるでしょうし、また、店舗で気に入った商品が見つかれば買い足しも可能です。

 一方、小売り側も

 既存の物流網に載せることができれば追加の運賃コストはかからないし、顧客が来店してくれれば、ついで買いも期待できます。

 接客販売するお店であれば、そんな絶好のご提案のチャンスはないでしょう。

 ある商品を受け取りに来られるお客様がいらっしゃるとなれば、それに合うこんな商品もご提案してみよう、あんな商品はどうだろうか?とお待ちしている間も店舗スタッフさんのモチベーションが高まるのではないでしょうか?

 あと余談ですが、通販で使われるダンボールの廃棄問題や無駄にトラック便や運転手さんを走らせたりする環境問題、労働問題も少なくなるでしょうから環境的、社会的にもよいのではないでしょうか?
 
 もちろん、商品をどのように受け取りたいかは、お客様のお望み次第ですが・・・

 以上のように店舗受け取りには顧客、店舗双方にたくさんのメリットがありますね。

 そこに徹底的に投資をして来たNEXTの事例は・・・直営店とECのインフラを顧客のためにフル活用した、業界の中でも極めて正統派のオムニチャネルリテイリングのお手本のひとつだと思います。

 昨今、ゾゾタウンやアマゾンなどECモールを経由しての通販売上の向上に努力してきたアパレルブランドは少なくありません。

 その結果、各社の売上に占めるEC売上比率は高まり、業界平均も5%を超え10%へと向かっています。

 しかし、以前ご紹介したエントリーのように

 ECモールに任せきりにして、店舗業務との調和を取らないことによる課題も徐々に顕在化し始めているようです。

 15年度のファッション商品のEC売上比率は7.8%に。10%目前に次なる課題は?

 やはり、直営店を持つファッション専門店であれば、倉庫で宅配業者さんにダンボールを渡して、あとはよろしく!ではなく・・・

 商品を自らの手でお客様に届けるところまでしっかりとフォローしたいですよね。

 2008年に始まった流通革新である「ファストファッション」からまもなく10年、

 次の10年のテーマとなる流通革新がはっきり見えてきました。

 それは「オムニチャネルリテイリング」に他なりません。

 これまでのECモール依存から今後は自社ECの強化へ、そして、

 商品の店舗での受け取りを促進し、直営店とECインフラが一丸となった本格的なオムニチャネルリテイリングに取り組む時です。

  ECモール~宅配便に任せていたお客様との接点を店舗をキーステーションにして取り戻そう!

 【おススメ本】

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October 20, 2016

ファーストリテイリング2016年8月期決算と今後の課題

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 10月13日に発表されたユニクロを展開するファーストリテイリング(ファストリ)の16年8月期決算発表の報道やリリースIR資料に目を通しました。

 売上高は1兆7864億円と前年比6%の増収、本業の儲けである営業利益は1272億円と同22%減の増収減益、営業利益率は7.1%(前年9.8%)に終わりました。

 同社はここ何年間、売上高に関しては年率20%超の高成長を続けて来ましたが・・・

 昨年度は一桁増(6%)に減速、また、今期2017年8月期も3.6%増の1兆8500億円の予測とのことなので、同社はひとつの踊り場を迎えたようです。

 これは大黒柱である国内ユニクロ事業の伸び悩みと成長エンジンであるはずの海外ユニクロ事業の減速が要因です。

 また、7.1%という営業利益率を見ると・・・いよいよファストリも普通の企業レベルの収益性に戻ってしまったのか、という印象を否めません。

 この現状を踏まえて、同社は2020年にグループ年商5兆円を達成する目標を取り下げ、3兆円に下方修正をし、17年8月期は各事業のやり方を見直すための1年になる模様です。

 とは言っても、その後、2020年までに3兆円の目標を達成するためには、それに続く18年~20年の3年間は18%の年平均成長率を維持しなければなりませんので、これもまた簡単なことではなさそうです。

 今回の決算発表でファストリの売上規模が米GAPを抜いて世界3位になったという報道がありますが、

 これは米GAPが今期第3四半期までが前年比3%減の減収基調であることと、1ドル=103円という円高の為替をベースにしたもので・・・

 もし、今後ドル高が進めば、GAPを売上で抜くのは2018年度まで待たなければならなくなりそうです。

 今回の決算発表は通期のネガティブな結果に対して、下期の回復基調(増収増益)を強調した決算発表でしたが・・・

 通期を通しても評価すべき点が何点かあります。

 ひとつは海外ユニクロ事業の中のグレーターチャイナ地域(中国、香港、台湾)の収益性です。

 売上高は3328億円(前年比9.3%)で営業利益は365億円と11%の営業利益率を上げています。

 海外ユニクロ事業合計が6554億円の売上、374億円の営業利益ですので、グレーターチャイナ地域の売上シェアは50%ながら、営業利益のほとんどを稼いでいるわけで、差し引くといかにそれ以外の地域が規模だけが拡大しているだけで儲けていないかがわかります。

 もうひとつは、GU(ジーユー)の成長率と収益率です。年商は1878億円(32.7%増)に対して、222億円の営業利益で営業利益率は11.8%にまで高まって来ました。これは立派なものです。

 メディアでは国内ユニクロ事業の伸び悩みだけが語られることが多い中で 国内のユニクロとGUの売上を足すと、

 7998億円+1878億円=9876億円

 日本のアパレル小売市場規模は約9兆3500億円(繊研新聞推計)と言われていますので、そうすると、ファストリの2ブランドだけで10.6%の市場占有率にもなるわけです。

 おそらく、これ、ユニクロだけだったら成し遂げることができなかった国内シェア率の高さではないでしょうか?

 しかも、同社の広告宣伝費の使い方はアパレル業界に限らず消費財マーケットの中でもトップクラスですので、

 ユニクロやGUの価格設定や売り方や在庫の処分のしかたが毎シーズンアパレル消費市場全体に大きなインパクトをもたらすことは間違いありません。

 ちなみに同社の中で構成比と収益力のあるセグメントだけを抜きだして売上高と営業利益を合算すると次の通りになります。

                   売上高   営業利益 (率)
国内ユニクロ(UQ)事業   7998億円 1024億円(12.8%)
UQグレーターチャイナ地域 3328億円 365億円(11%)
GU                1878億円 222億円(11.8%)

3事業計          1兆3204億円 1611億円 (12.2%)

グループシェア         73.4%   126.7%

 この三つの事業に特化している方が、世界の株主もお喜びになるのではないかと思われる数字ですね。

 さて、これからの同社の見通しと課題ですが、

 GUに関しては、今までのようなユニクロとの棲み分けを行っていれば、しばらくはこの伸びを継続できると思われます。

 もし喰い合うとしたら、ユニクロが売上の伸び悩みに業を煮やして売価変更を含めてGUとバッティングする価格帯を増やした時に起こりうるくらいでしょうか?

 海外ユニクロ事業に関しては、経営資源をグレーターチャイナ地域に徹底的に集中して突き進むべきでしょうね。

 ユニクロは中国ではすでに業界NO1で独走状態。

 業務上、中国に研修講師で招かれて、いろいろなチェーン店の幹部の方々をお相手に話をしたり、当地のアパレル流通業界を見聞きする限り・・・しばらくユニクロを脅かすチェーン店が現れる可能性は薄いと思われます。

 一方、100億円規模の大赤字で海外ユニクロ事業の収益を喰ってしまっているアメリカ事業はいい加減リストラすべきではないかと思えてなりません。

 そして、屋台骨となるユニクロ国内事業ですが・・・実は、私は悲観的には見ていません。

 以前も世界アパレル専門店売上高ランキングのエントリーでもご紹介しましたが・・・ファストリさんは自身よりも格下?と思っているかも知れませんが、第8位の英NEXT(ネクスト)の取り組みは大いに参考になります。

 世界アパレル専門店売上ランキング2015 トップ10

 英NEXT(ネクスト)はイギリスにおけるGAPやユニクロのようなベーシックカジュアルの代名詞的なSPAであり、ファストリの柳井会長もユニクロを立ち上げるにあたりベンチマークした老舗ブランドのひとつとして知られています。

 同社の高い営業利益率=20%のその理由のひとつは
 
 成熟市場イギリスにおいて、早くから通販(カタログ、EC)に力を入れ、通販売上高比率が40%を超えているところにあります。

 国内に540店舗ある直営店はここ数年、店舗数を増やすことなく、スクラップアンドビルトで、大型化を図り、総売場面積は着実に増やして微増収を続けています(既存店ベースでは微減傾向)。

 独自の店舗網と物流網をフル活用して、ECサイトでの商品注文の翌日には顧客が指定店舗で商品を受け取れるサービスを提供し、通販事業の営業利益高は直営店よりも格段に高いという現実。

 世界を見渡しても、マルチチャネルではなく、オムニチャネルリテイリングを本格的に実践している事例として、チェーンストア企業各社がお手本にすべきなのは・・・

 アメリカの先端IT技術を駆使する新興業態などではなく・・・イギリスの老舗NEXTではないかと思っています。

 ということで、NEXTの事例を見れば、ファストリが掲げるEC売上比率30%の目標も夢ではありませんし、営業利益構造の回復も見えてくる、そして、何より、ユニクロを購入する生活者の利便性も高まる・・・おそらく現在有明プロジェクトで試行錯誤している物流改革はその準備だと思われます。

 国内ユニクロ事業には成熟マーケットでの出店飽和の中でもまだまだやることがたくさんありますね。海外の先輩たちが背中を見せてくれています。

 【おススメ本】

 すべてはお客様の期待を店頭で叶えるためにある。それが本書を書き終えた時に感じた、ユニクロとZARAからの最大の学びでした。
 
 出版から2年経った今でも、おかげさまでアマゾン小売ジャンルランキング1位になることもしばしばあり、感謝しております。
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

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