ファストファッションの次に来る流通革新
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年末に発売されたファッション販売2月号の特集「ファッション業界2017年の焦点」の中で「ファストファッション」をテーマに寄稿させていただきました。
国内外の大手SPAやチェーンストアの価格動向と市場に対するインパクトについて述べた記事の本文とは別に「TOPIC」というコラムで「ファストファッションの次に来る流通革新」について触れさせていただきました。
2008年にH&Mが日本に上陸した時から始まった日本のファストファッションブーム。
その10年前の1998年にはユニクロのフリースブームから始まるSPA(アパレル製造小売業)による良質廉価の流通革新がありました。
このようにファッション流通市場では10年サイクルで新しい流通革新が起こり、生活者のファッション消費を変えて来たのです。
そのファストファッションブームからまもなく10年が経ちます。
日本より早くファストファッションの洗礼を受けた欧米で何が起こっているのか?
日本のファッション流通市場の未来のインスピレーションを得るべく、私は毎年欧米のファッション都市をリサーチして日本のファストファッションブームの次に来る流通革新の芽を探して来ましたが・・・ここに来て確信を得ています。
ひとつはイギリスでプライマークが、アメリカでTJMaxxのようなオフプライスストアが、そして、日本ではしまむらやGUが巻き起こしているディスカウンターによる都心部での「更なる低価格化」です。
もうひとつは、すでにお馴染みのキーワードになった「オムニチャネルリテイリング」です。
これまでの流通革新である
「豊富な品揃え」⇒「低価格化」⇒「品質向上」⇒「トレンド(デザイン)の低価格化」
と言った商品やマーチャンダイジングに関する革新よりも・・・
むしろ顧客にどう商品を手渡すかという商品の提供方法に関する革新に他なりません。
前者の更なる低価格化は、そもそもレッドオーシャンに飛び込むようなものなので、大資本には敵わないでしょう。
それゆえに、ファッション流通業界各社は後者の「オムニチャネルリテイリング」にフォーカスすべきです。
2011年にアメリカでオムニチャネルリテイリングというキーワードが話題になって、
2013年の正月のこのブログでその年の流通業界のキーワードとして日本でもおこりつつあるこのムーブメントのご紹介をさせていただきました。
「オムニチャネルリテイリング」は今年の流通業界注目の重要キーワード
その後、スマホやアプリの進化とともに(WEAR、メルカリ含め)、消費者の購買行動の変化が起こり、
直営既存店よりも、いかにEC売上を伸ばすかが業界関心事となり、多くの企業が主にZOZOやAMAZONを中心としたECモールの力を借りてEC売上の拡大に力を入れて来ました。
以前のエントリー
15年度のファッション商品のEC売上比率は7.8%に。10%目前に次なる課題は?
でも触れましたが、
昨今のECを取り巻く関心事の中心はEC売上拡大から「ラストワンマイル」、
つまりお客様にECで買っていただいたら、宅配便で送りっぱなしで終わりではなく・・・
お客様の手に確実にお届けするまでしっかり責任を持つこと、そして
その手渡す接点をチャンスとしてしっかりと活かすための攻防に入りつつあります。
これまでのように倉庫でダンボールをヤマト運輸や佐川急便に任せればそれでよいのでしょうか?
コンビニで受け取ってもらえばそれでよいのでしょうか?
ヤマト運輸が2020年までに宅配受け取り用のロッカーを全国に5000箇所作ると言っていますが、日本中にロッカーが完備すればそれでよいのでしょうか?・・・
直営店を持つリテイラーそして商売人としては、何か他人任せのような気がしませんか?
ファストファッションブームから10年が目前となった、これからの10年はオムニチャネルリテイリングの精度を高めることが流通革新のテーマになることは間違いないでしょう。
直営店からECサイトへの送客がテーマだった過去から現在、
これからの未来はECで購入したお客様をできるだけ直営店に立ち寄ってもらえるよう努めて行きたいです。
これって、目に見えないところで起こっている競争なので、うかうかしていると気が付いたら乗り遅れていたということになりかねません。
この取り組みに乗り遅れると・・・ファストファッションブームの時よりも痛手になることは間違いなさそうです。
今年もブログをお読みいただきありがとうございました。
業務多忙につきブログの更新の頻度が落ちた一年でしたが、
来年も生活者を取り巻くファッション消費の変化とそれに応えるファッション流通企業の愚直な改善努力の好事例をできる限り読者のみなさんと共有して行きたいと思います。
それでは皆さんよいお年を!
【おススメ本】
オムニチャネルリテイリングも一枚上手のZARA 書籍を通じてファッションビジネスに対する信念を学んでいただければと思います。
出版から2年経った今でも、おかげさまでアマゾン小売ジャンルランキング1位になることもしばしばあり、感謝しております。
「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)
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