米オールドネイビーが日本から完全撤退
GAPグループのオールドネイビーが1月22日をもって全店閉鎖となり、日本から完全撤退しました。
2012年にお台場に1号店をオープンして以来、3年半で53店舗を出店し、年商250億円規模にはなっていたと思われます。
今回の撤退は 米GAP社のリストラの一環で、いくつかある同社のセグメントの中で
日本が大半を占める「Old Navy Asia(オールドネイビーアジア)」が特に採算が悪い事業として経営陣に映ったからでしょう。
一方の「Old Navy North America (オールドネイビー北米)」は同社の中の稼ぎ頭です。
日本1号店の開業の時にもこのブログで指摘しましたが、
米オールドネイビー(OLD NAVY)のリーズナブル価格に好感、ただし多店舗出店に課題も
GAPとは違って内外価格差ほぼなしの正直プロパー価格設定(プライスポイント=最多価格帯1990円)での日本展開は、
おぉ、これは郊外立地でユニクロやライトオンやアベイルやマックハウスなどにとって脅威になるぞと思いましたが、
そもそも内外価格差なしだと 日本の場合 家賃負担が大きくなるため
アメリカ並みの販売効率(売場面積あたりの売上高)では販売管理費の負担が大きくなりすぎ、営業利益が残しづらいこと
が課題にあったと思います。
そのような、「上手く回れば・・・」のチャレンジングなスタートに
出店立地を精査しきれず、計画を下回る販売効率の店舗を多店化してしまったこと
どこの売場を見ても、シーズン立ち上がりはそこそこ魅力的な売場だったものの、後半の売場の荒れ方(残品状況や値下げ度合)がひどかったこと
これは外資チェーンと一言で言っても、アメカジ売り減らし型のMDサイクルの問題かも知れません。
そして、時折、GAPの日本流よろしく商品原価に関係なく、全品一律大幅値下げなんてこともやってましたからね。
日本オリジナルを一定割合混ぜて補完していたGAPやバナリパとは違い、雑なMDオペレーションだったことも否めません。
折しも為替のドル高基調ゆえ
アジアからのドル建て商品調達コストが高くつき(これは日本企業も同じ)、
それに加えて、水揚げ(ドル建ての売上や利益)がアメリカ本社から見て目減りして見えたであろうことも撤退判断の背中を押したことでしょう。
会社側から見れば、採算の余裕が少ないビジネスモデルに、あまりにも悪環境の中で、自滅、撤収したというのが客観的な感想です。
一方、ネット上の生活者の評価を見ると、GAPよりOLD NAVYを残して欲しかったというようなファンのコメントも多く、(特に子供服を重宝して購入していた方々) 惜しまれながら撤退して行ったというところでしょうか。
また、撤退してほっとしたアパレルチェーンの経営幹部の方々も少なからずいらっしゃることでしょう。
時折、ブログで指摘していますが、国土が広く、家賃が安いアメリカで拡大したチェーン店は
欧州や日本に来ると苦戦する傾向にあると思います。
ところが、日本のGAPだけは例外で、アメリカ本国とは違う売り方、
すなわち、当初、値段を高く設定してがっつり粗利を稼ぎ、50%OFFしてもそこそこ粗利益が残るという売り方にうまみを覚え、
日本の高い家賃を吸収して生き残って来たと思います。
日本の生活者もそのあたり慣れっこになってしまってますけどね。
すると、このGAP方式こそが、アメリカのチェーンが日本で生き残る限られた手段のひとつなのかも知れないとも思えて来ます。
しかし、ローカルで売り方を変えないといけないオペレーションをしている以上、世界中どこに行っても世界統一MD&オペレーションのZARAやH&Mには敵わないでしょうね。
オールドネイビーは惜しまれながら日本から撤退しましたが・・・
アメリカの通販サイトから円建てで購入できるようです。
オールドネイビーがお好きだった方は引き続き通販でお買い求めいただければと思います。
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