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January 11, 2017

ZARA(ザラ)のテクノロジー活用はあくまでも店舗への集客第一・店舗作業軽減が目的

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 1月8日のWWD JAPAN.COM に昨年11月23日に約半年ぶりに改装オープンしたZARA新宿東口店とZARAが世界的に導入を完了したテクノロジーに関する記事が掲載されていました。

  「ザラ」のココがすごい!新宿店に見る最新技術 × おもてなしのベストプラクティス

 この記事の内容はすでにWWD JAPAN12月5日号の紙面で読ませていただいたものでしたが・・・

 あらためてZARAの強みを噛みしめながら取り上げさせていただきます。

 詳細は上記リンク先の全文をお読みいただければわかりますが、

 記事で気になるところをピックアップすると

 RFID(商品へのICチップの取り付け)や関連ITの店舗導入によって

・全商品の位置の特定が容易になり、販売動向や在庫の把握が高速化され、従来の作業が軽減し・・・
 接客や店舗と本部のコミュニケーションに時間が費やせるようになったこと
 (同社のルーティンである店頭サイズ欠品対応作業や試着済み商品戻しはこれにより格段にスムーズになったことでしょう)

・顧客は試着室からサイズ変更依頼のタッチパネルでスタッフにサイズ違いを持って来てらうリクエストができるようになったこと 
 (RFIDによって、サイズを探すスタッフの効率も上がっていることでしょう)

・店舗間オンラインの在庫ステイタスが把握できるようになり、在庫効率が上がるとともに、顧客がいつでもどこでも(店舗でもECでも)購入でき、都合のよいところ(最寄店舗でも自宅でも)で商品を受け取れるようになったこと

 それにより、日本だけの数字ではないかも知れませんが、(宅配無料にも関わらず)EC注文商品の店舗受け取り比率が66%にまで高まって来たということです。
 
 また、

・スペインでは(レジ待ち時間削減のための)アプリによるモバイル決済サービス(登録クレジットカード決済)が始まっており、いずれは日本でも実現されるだろうこと

 あたりでしょうか。

 いずれにしても、店舗に来店する顧客が中心に置かれ、

 それを手助けするスタッフの作業が軽減されているところに従来からの信念が貫かれていて

 あらためて共感というか敬服します。

 ZARAのビジネスモデルと収益性のキモは 

・週二回新商品を必要な分だけ店頭に並べること

・その商品に対する顧客の反応をよりどころに本部は毎週店舗から情報を吸い上げ、追加生産や新商品の開発に活用していること

・商品開発のヒントを得た本部は商品を3-4週でつくり、世界の顧客(店頭)にフィードバックすること

・結果、シーズンが進むほど顧客が欲しがる商品で店頭は満たされ、値下げや売れ残りが極めて少なく抑えられること

 にあります。 (詳しくは拙著「ユニクロ対ZARA」でわかりやすく解説しています。店舗オペレーションは「人気店はバーゲンセールに頼らない」をあわせてお読みください。)

 今回の同社のテクノロジー改革も 

〇ECを展開しても・・・それはあくまでもブランディング(アクセスの良さ、利便性含む)と店舗へお客様を誘導・集客することが第一目的であること

〇それにより、より多くの来店されたお客様が新商品に対してたくさんの反応を残していってくれること

 そして、

〇RFIDによって店舗作業が軽減されることによって、

 店舗スタッフがスムーズそして頻繁に、量的にも質的にもより充実した情報(顧客の反応)をスペイン本部にフィードバックできるように行われており、

 上記の同社の強みに磨きをかける上で大いに貢献しているというわけです。


 私も12月のセールが始まる前に改装されたZARA新宿東口店を覗きに行って来ました。

 3層 2300坪 約700坪は改装前に比べて1.5倍と圧巻。

 売場面積・売上ともに日本一、そして、同店の売上高は世界でもTOP10の常連だとのことです。

 改装前よりも壁面フェイスアウト(服が正面を向いている)が多くなり、什器あたりの品番数が絞られ、

 一方でSKUあたりの店頭在庫数が増えていますので、

 以前のスリーブアウト(袖が外を向いている)陳列中心の打ち出しよりも

 スタイリングがわかりやすく、売り逃しが少ない店頭在庫展開になっていますので、売上好調も頷けます。

 現在はセール中の売場展開なので、全く違う商品陳列方法ですが、

 ご興味ある方は3週後くらいに新しくなった旗艦店を是非覗きに行ってみてください。いろいろな気づきがありますよ。

 WWDの記事の最後に、ZARA他3ブランドに続く今後のインディテックスグル―プの別ブランドの日本展開の可能性についての質問に対して、広報本部長のヘスス・エチェバリアさん(執筆の際はお世話になりました)は

 出店要請(空き物件)があるとかないとかではなく、ブランドとしてベストなタイミングで出たいというコメントで締めくくられていましたが、マッシモデュッティには是非、早く来て欲しいですね。

 Mossimo Dutti ウェブサイト

 関連エントリー-アダストリアのICタグの物流実証実験とRFID活用の課題

 【おススメ本】

 オムニチャネルリテイリングも一枚上手のZARA。そこに通ずるファッションビジネスの信念を書籍を通じて感じとっていただければと思います。 
  
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

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