H&Mのグローバル戦略、次の照準マーケットはいよいよ日本市場?
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H&Mの2016年11月期レポートに目を通しました。
売上高(VAT含まず)は2兆3841億円で6%の増収も、営業利益 2954億円の12%の減益 と増収減益でした。
(この時点で今年度もZARAのインディテックスグループの世界一が確定です)
特に、前年57%だった粗利益が 55.2%と下降したため、14.9%だった営業利益率が12.4%に下落。
減益の要因としては、アジアからのドル建て商品調達が大半を占めるH&Mにとってドル高による商品原価増に加えて、世界的な天候不順で値下げが増えたこと、そして、欧米の社会情勢や消費者のオンラインへのシフトが挙げられていました。
今回の決算は、グローバル資本主義(人件費の安い国でつくり、経済大国に深耕する)を最も地で行っていたH&Mにとって受難の時、グローバルレベルでパラダイムシフトが始まっていることを印象づける決算だったのではないでしょうか?
そのため、同社は10-15%の出店増を成長ターゲットにしていた成長戦略をリアル店舗+オンライン売上で10-15%成長する方針に切り替え、既存店の見直しとオムニチャネル&デジタル投資に力を入れることを宣言しています。
さて、気になるのは日本市場への影響ですので、国別のパフォーマンスを見てみましょう
まず、売上トップ10の国(売上構成比65%を占める)の伸び率は芳しくありません。
これまで米国、中国を集中出店国にしていた同社ですが、特に中国は店舗を2割増やして444店舗にしている割には、売上は7%程度しか伸びておらず、決して効率が良いとは言えません。
一方、売上構成比上位20か国(これで売上構成比85%)に視野を広げると、15位の日本、18位のロシア、20位のトルコなどの伸び率がいいですね。
その中でも日本は1店舗あたりの売上高が単純計算ながら、9億円以上と世界平均の1.4倍とトップクラスです。
この度、H&Mの日本法人の社長さんに同社の中での「超」の付く若手生え抜きエリートスウェーデン人の方が抜擢されました。
国別パフォーマンスを分析すると、本社経営陣であれば、次に力を入れるべき国は、日本、ロシア、トルコ、カナダ、メキシコ、オーストラリアであることはわかっているでしょう。
H&Mは売場面積が広いので、坪あたりの販売効率を見ると日本では効率が悪い店舗に見られがちですが・・・
1店舗あたりの売上高が大きいので、それほど売れていないようでも、ローコストオペレーションで採算が合わせやすいのと、店舗拡大の市場に対するインパクトも小さくありません。
日本66店舗で売上規模が600億円を超えて来たH&Mがそろそろ100店舗超体制に向けてアクセルを踏み始めるタイミングかと思います。
年商1800億円を超えて快走するGUとH&Mの低価格競争、レッドオーシャンに巻き込まれないように、
2008年H&M日本上陸時以上に彼らに振り回されることなく、自社のブランドの立ち位置を明確にして、気を引き締めて取り組まなければならない時です。
関連エントリー-ファストファッションの次に来る流通革新
【おススメ本】
今年も世界一がほぼ確定したインディテックスのZARA。ユニクロとの比較によりその理由に迫りました。
「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)
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