都心ファッションビルで進む衣料品売場の縮小
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4月3日の繊研新聞の一面に都心部のファッションビル、パルコ、ルミネ、ジョイナス、オーパなどで進む、衣料売場を縮小して雑貨、コスメ、食物販、飲食の業態を充実させる動きに関する記事が掲載されていました。
一部 「レジ客数は増えたが、平均単価が下がり、館全体の売上は期待ほどは伸びていない」というところもあるようですが、
記事を読む限り、来店客数が増えて、衣料フロアーにも好影響が出ていると評価しているところが多いように感じました。
これらの動きは記者の方が書かれているような、衣料品が不振だから、その代わりに非衣料品のフロアを増やしたり、衣料から非衣料にテナントを入れ替えるのではなく、
より購買頻度が高く、単価も安い(気軽に買える)雑貨やコスメや食のファッション性が高まり、生活者の関心がそういったカテゴリーに広がっていることに対応した結果と言えましょう。
成熟市場においては、衣料品や靴、バッグなどの服飾雑貨が満たされ、
ファストファッション化が進んで選択肢が豊富になれば、
次にヘアスタイル、スキンケア、インナーウエア、アクセサリー、そしてヘルシー志向とともにフィットネス系スポーツやオーガニックな食品に関心が広がるのは必然でしょう。
これは数年来 欧米ファッションマーケットを見て来て感じていたことですし、
日本でも先進企業はそういった方向性で事業展開を進めていましたし、
先月視察した中国の上海都心部でも同じ現象が起こっていました。
上海では、
・商業施設で飲食フロアーが最上階だけでなく、2層くらい増え、地下はもちろん1階にも広がり
・韓流ブームの影響もあって、ヘアケアやスキンケア商品を扱う業態が増え、
・縮小した衣料フロアの各店はテナント数が減って大型化、低価格化が進んでいるという具合です。
この変化(数年前との比較)を現地の方々に話したところ、
衣料品はTモール(タオバオのファッションECモール)など、ネットで買う機会が圧倒的に増えた、
商業施設に期待しているのは、家族や友人たちと楽しく過ごす場所と時間、そういった意味で飲食フロアーが広がるのは当然、衣料品の購入はそのついでのようなものだ、
とも言っていました。
これには納得です。
先の繊研新聞の記事では「衣料品の再生なしには施設全体の活性化にはつながらない」というコメントがありましたが、果たしてそうでしょうか?
私は「後戻り」することはないと思いますが・・・
むしろ、生活者のライフスタイルと興味の変化に関心を持ち、
衣料品を手がけるファッションストアとて、雑貨、コスメ、ヘアケア、スキンケアなどとの共存や提案のしかたを考えるべき時代なのでしょう。
次世代の勝ち組はそんなことに取り組んだ企業の中から生まれるはずです。
3年後のファッションビルの構成が生活者の関心に合わせてどのように変わっているかが楽しみです。
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