ジーンズカジュアルショップからの脱却
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5月26日の繊研新聞に靴のチヨダグループのジーンズカジュアルチェーン、マックハウスの白土社長のインタビュー記事が掲載されており、
「ジーンズカジュアルは幻想」という見出しに目が止まり興味深く読ませていただきました。
以下 気になったフレーズを少し引用、紹介させて頂きます。
以下引用
「我々は長年にわたり、『ジーンズカジュアル業界』などという言葉を使ってきましたが、そんな定義はもはや幻想で、ずっと昔に終焉(しゅうえん)を迎えていたんです。」
(中略)
「今後は『暮らしに役立つ』をキーワードに、ジーンズカジュアルから実需衣料中心のビジネスモデルに転換します。ジーニングやアメカジ一辺倒のMDからの脱却を図るとともに、強化してきた『ビジカジスタイル』など新たな提案への挑戦を繰り返すことで、客数増による売り上げ拡大を図ります。」
以上引用
元記事は繊研新聞の繊研plus マックハウス白土氏“ジーンズカジュアル業界”は幻想
にも掲載されています。
正直、この話はもうすでに10年くらい前に誰かが語っていてもおかしくない話のように聞こえます。
ユニクロの柳井会長は20年前にそう思い行動していたかも知れません。
しかし、ライトオンと並びいわゆるジーンズカジュアルチェーン大手の一角、「当事者」であるマックハウスの社長さんがそう自覚されて、メディアで発言したことに意味があると思いました。
白土社長の経歴を拝見すると東京靴流通センターやSHOE PLAZAでおなじみのマックハウスの親会社、チヨダ出身で、4年前にマックハウスの社長に就任されたようです。
おそらく社長就任後、数年、「ジーンズカジュアル業界」に付き合って来られたと思いますが、同氏は長年その業界にいる方ではないので「客観視」が出来き、ようやくそう公言ができるようになったというところでしょうね。
ジーンズカジュアルチェーンとは
リーバイスやエドウィンなどのナショナルブランドジーンズを壁面にドンと在庫を構えて、同時にライセンスブランドのトップスを中心にアメカジテイストのアパレルや雑貨を品揃えする専門店。
かつては5900円や7900円くらいのエドウィンやリーバイスのジーンズが稼ぎ頭で、あわせて2900円や3900円のライセンスブランドのトップスをお客様に買ってもらい売上を立てるビジネスモデルでした。
ところが、2000年代のユニクロは自社開発により3900円でナショナルブランド7900円並みのクオリティのジーンズを実現し、その後、H&M、ZARAなども3900円~4900円のジーンズを販売し、おしゃれな3900円のジーンズが一般化。
GUは990円でジーンズの価格破壊を行い、それまでの「ジーンズはナショナルブランドしか売れない」という「ジーンズカジュアル業界」の神話を崩しました。
おそらく、この時点が実際のターニングポイントだったんでしょうね。
その前後のリーバイスの高価格路線の失敗や、本業はうまく行っていたものの金融投資失敗によって伊藤忠に買収されたエドウィン社のガタつきもその後の「業界」の弱体化に拍車をかけたことでしょう。
最近 ベストセラーになっている「誰がアパレルを殺すのか」を読み終えました。
前半では主に百貨店および百貨店アパレルがダメになった話が中心ですが、
その要因として、委託販売(売れ残った在庫はメーカーが何とかしてくれる)や海外著名ブランドのライセンスブランドへの過度な依存が挙げられていますが・・・
この話は実は百貨店業界だけでなく、実はジーンズカジュアル業界にも一部当てはまる話です。
つまり、エドウィンのジーンズの委託販売に近い入れ替え制や大衆受けするナショナルブランドのライセンス商品の知名度に過度に依存した結果、ユニクロやグローバルSPAが牽引した2000年代以降のアパレル業界のSPA化やグローバル競合の変化の波に乗り遅れてしまったんだろうなと。
ところで、マックハウスの親会社の白土社長の出身であるチヨダ、特に「東京靴流通センター」業態はもともと古くから自社開発商品の靴の多い業態です。
郊外ロードサイド立地で販売効率は決して高くはありませんが、徹底したローコストオペレーションで堅く利益を残すビジネスモデルです(そういう意味では同じ靴チェーン大手でもABCマートとは真逆のビジネスモデル)
「そちらの世界」から来られた白土社長からすると、ジーンズカジュアル業界の商慣習は「ぬるま湯」に感じられたかも知れません。
さて、もし、何事も遅すぎることはない、とするならば・・・
マックハウスが「(旧)ジーンズカジュアルショップ」から脱却してどのように変わるのか?
その昔、「ジーンズカジュアル業界」に身を置いていたひとりとして注目していたいと思います。
執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
【おススメ本】
ユニクロはどのようにしてジーンズカジュアルショップから脱却したのか?その変遷についても紐解いています。
「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)
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