レナウンが取り組むファストファッション志向の新業態~アパレル出身企業がSPAに取り組む時のハードル
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4月21日の日経新聞、24日の繊研新聞、日経MJなどに大手老舗アパレル レナウンが2018年春から立ち上げるショッピングセンター(SC)向け低価格新業態に関する記事が掲載されていました。
レナウンの2017年2月期連結決算は年商676億円(前年比5%減)、営業利益6億円の赤字。
百貨店販路が63%を占める同社が一通りのブランドの統廃合を終え、今後の伸び代として、
売上シェアがまだ10.3%のSC販路と同2.1%のEC販路向けに、
20、30代の若い世代を対象とするユニクロやZARA並みの低価格業態を開発し、
早期に50億円規模の売上を目指すとのことです。
記事を読んだ感想としては・・・
同社がこれまで手掛けていなかった新しいことにチャレンジしようとする意図はよくわかりますが(親会社の中国山東如意の意向もあるのでしょう)・・・
今回の新業態は なかなかハードルが高いことは業界の多くの方々も感じるところではないでしょうか。
私的には
三陽商会のバーバーリーが抜けた穴を アクアスキュータム=卸ベース66億円(前年比101%)およびそのディフュージョンブランドを開発して狙いに行くとか・・・
約70店舗まで拡大した SC立地のファミリー向け直営業態、アーノルドパーマタイムレス 直営店53億円(前年比99.3%)に磨きをかけて販売効率を高める方が
経営資源の活用につながる気がしますが・・・
でも、せっかくリテイルビジネスに本腰を入れて取り組もうというのであれば
過去に近い試みをして上手くいかなかった企業さんたちの失敗の轍を踏まないように頑張って頂きたいと願うばかりです。
今回のニュースを読んで・・・
これまで業務上いろいろなタイプのアパレルや靴の専門店チェーンさんやSPA企業さんのご支援をして来て、
特にメーカー出身企業の直営店やSPAが陥りがちな小売ビジネスに対する認識違いに関して
思うところがあるので、以下にまとめてみたいと思います。
まず、
いいものを作れば(高くても)売れる!と思わないことでしょうか
お客様が求める 「価格の制約」の中で価値ある(コスパの高い)ものづくりをしなければ売れないこと、
また、逆に価格が安いんだからこんなもんと投げやりに安っぽいものを作らないこと。
こだわり過ぎず、手を抜かず・・・
顧客にとって必要な部分を残してその他はそぎ落とす「トレードオフ」の発想が必要なのが小売ビジネスです。
次に
シーズン(半期)計画に基づく売り減らし販売では店頭の鮮度を保てないこと。
シーズン立ち上がりまでに計画通りつくったら終わりではなく、小売業はシーズンインしてからが勝負。
商品企画も店頭と一丸となって週次仮説検証サイクルを回すべし(安易なQRではありません)
商品企画している方々がなかなかその頭(サイクル)にならないんですよね。
小売をやるなら昔ながらの「展示会」を中心とした発想を追い出した方がいいかも。
また
出店への投資を甘く見ないことです。
アパレル卸は在庫過多で潰れますが、小売業は出店ミスで潰れるものです。
単店赤字かどうかだけでなく家賃は安くでも低効率店舗の量産も本部オペレーション、店頭在庫コントロールの足を引っ張るものです。
そして最後に・・・ここがキモかも知れません
MD(マーチャンダイザー)を頂点とした組織ではなく、お客様最前線にいる店長および店舗スタッフが活躍できる組織づくりを。
店舗はつくったもの(与えられたもの)を売るだけが仕事ではなく、
店頭は情報の宝の山と考え、リスペクトしつつ、いかに店頭の声を次の商品企画に活かそうと聴き上手になれるかどうか?
事業部全体が本部の方を見て仕事をするのではなく、お客様の方を見て仕事をすることができて初めて小売ビジネスのスタートラインに立てると思っています。
少々辛口なコメントばかりしましたが・・・
百貨店出身アパレルメーカーさんのいいところもあります。
それは、いいものを触って来た経験もあり、質感、特に素材感に対する感覚はチェーンストアマーケットしか知らない方々よりも優れたものを持っていると思っています。
ですので、低価格チェーンストアマーケット出身の方々とは妥協線の異なったトレードオフが実践できれば・・・
同じ低価格でも面(ツラ)のよいコスパの高い商品やブランドづくりが出来る可能性があると思います。
その昔、商社時代にお世話になったこともあり、ご健闘をお祈りしております。
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【グローバルSPAを理解するおススメ本】
世界一のインディテックス(ZARA)の背中を追う、ユニクロのファーストリテイリング。
それぞれトレンドファッションとベーシックカジュアルのチェーンストアモデルの最高のお手本です。それぞれの信念、強み、将来性を多角的に解説しました。
「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)
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