ZARAのインディテックスグループのサステイナビリティ経営
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前回のブログ記事
のデータ整理にあたり、各社の年次報告やファイナンシャルレポートに目を通していて、
最も感心したことのひとつが
世界ランク1位のインディテックスグループの現会長兼CEOパブロ・イスラ氏が決算発表時にまとめられた同社の2016年度のトピックのハイライトのところでした。
企業の社会的責任(CSR)が問われる昨今、世界のいろいろな企業がその社会貢献度合いをアピールしているわけですが、
インディテックスグループも弁護士出身のパブロ・イスラ氏が2005年に創業者であるアマンシオ・オルテガ氏や彼を長年支えたホセ・マリア・カスティリャ―ノ(当時副社長)氏にかわって経営トップになって以来掲げているのが
サステイナブルな(持続可能な成長のための)経営です。
「ユニクロ対ZARA」の執筆にあたり、1990年代後半からの直近までの同社の年次報告書に目を通しましたが・・・
2005年に同氏が就任して以来、それまで業績や財務状況中心だった約200ページ程度の年次報告書(アニュアルレポート)が
400ページを超えるサステイナビリティレポートに変わり、(半分の200ページがCSR=企業の社会的責任に関するページ)
グローバルな年率20%の急成長から10%程度の持続可能な成長に舵を切り始めたことに気づいたものでした。
2005年と早くからサステイナビリティに取り組み始めたのは、グローバルに展開するファッション流通企業の中では、かなりの先駆けであり、
そんなところにも同社の時代の先を行く経営ポリシーが感じられたものでした。
今回の決算ハイライトの中では、特にアピールされたのが、母国であるスペイン国内経済に対する貢献です。
気になったトピックをいくつかご紹介すると・・・
-1年間にスペイン国内で2480人の新たな雇用を創出したこと(これは毎年発表していること)
-この1年に7500社に上るスペイン国内企業がインディテックス社に請求書を発行したこと。
その総額は人件費フルタイムベースで50,000人の雇用に相当する
(つまり、同社の社員以外にスペイン国内だけで50,000人の雇用を支えている。)
-スペイン政府が年間に徴収する法人税の2%をインディテックスグループが支払ったこと
全体の約6割の商品をスペインおよび近隣国で生産して、世界93カ国に販売する
地元から世界へ展開するグローバル企業の同社が、
自社の繁栄、売上利益だけでなく、
国内産業も潤し、雇用面でも、税収面でも母国にも貢献しているというアピールです。
また、環境に配慮したグローバルなサステイナビリティへの取り組みに関しては
-電子レシートによるペーパレス化への取り組み
顧客が自社開発したスマホアプリinWalletをインストールして、クレジットカードを登録しておくと、
レジでの決済が短時間で済み、更にアプリ内に電子レシートの記録が残るので、
紙のレシートを発行する必要がない=ペーパレスの促進です。
- ダンボールの再利用と再生
倉庫から店舗へ商品を送る際に使う段ボール箱を5回リユースする。
その後は通販用のパッキンに再生加工して利用する。
- 不要な服の回収、リサイクル
着なくなった服の店頭回収はもちろん家庭回収にも取り組む (団体と組んでスペインからスタート)
などなど
同社の取り組みを聞いていると・・・多くの専門店やチェーン店がいかに周回遅れなのかを感じざるを得ません。
ビジネスモデルや収益性だけでなく、地元に貢献しながらグローバルな環境にも配慮する同社の姿勢や取り組みからもいろいろ学ぶところはありそうです。
執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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ZARAとユニクロのこれまでの歩みを整理しながら・・・未来も考えてみました。
「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)
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