ヤマダ電機がホームファッション市場に参入、流通大手が業界の際を超えてくる
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7月1日の日経新聞に家電量販店最大手のヤマダ電機が30日に開業した家具雑貨店「インテリアリフォームヤマダ」(前橋市)に関する記事が掲載されていました。
記事の見出しは 「ヤマダ、ニトリに挑戦状」とあるように、
大手寡占市場で競争が激しく今後の大きな成長が見込めない家電量販市場(7兆円規模)トップのヤマダ電機が
中小事業者が中心で、最大手のニトリ(年商5129億円;売上シェア15%前後?)が30期連続増収増益でひとり勝ちを続けるホームファッション市場(3兆5000億円)に参入したという話です。
ちょっと簡易的にネットで調べてみましたが、国内ホームファッション市場のニトリに次ぐ売上上位企業は、
1300億円規模のコクヨ(ファニチャー部門のみ)
1000億円規模の無印良品(インテリアカテゴリーのみ)
767億円のIKEA あたりのようで、
以下は 年商500億円~100億円規模に大塚家具や島忠(ホームセンター事業除く)などが数社あり、多くが100億円未満といったところでしょうかね。
ホームファッション市場は家電市場のおおよそ半分の規模ですが・・・
ヤマダ電機は同社の企業力を動員して中小を駆逐すれば、ホームファッション市場でもニトリに迫るシェアが取れる余地があると踏んだのでしょうか?
ヤマダ電機の山田会長は
「(今後 同業態を)2~3年で100店舗に広げる」と語り、
一方、ニトリの似鳥会長は
「切磋琢磨し、互いに客に喜んでもらう商品を出していきたい。大いに結構だ」とコメントを寄せています。
ちなみに以下が両社の最新業績です。
年商 粗利率 営業利益率
ヤマダ 2017年3月期 1兆5630億円 29.1% 3.7%
ニトリ 2017年2月期 5129億円 54.2% 16.7%
ヤマダの年商はニトリの3倍ですが、営業利益はニトリがヤマダの1.5倍、
ナショナルブランドの価格競争で粗利率の低い家電業界にいる山田会長にとって、
ホームファッション業界の商品開発をしているニトリの粗利率はとても魅力的に見えることでしょう。
(ちなみに家具業界 大塚家具の粗利率は53%、島忠 家具部門の粗利率は43%)
もっとも、ニトリはチェーンストアとして、古くから独自に苦労を重ねて商品の自社開発をして来ました。
(ペガサスクラブのチェーンストアのPB開発理論を自ら行い、自ら磨きあげた「仕様書発注」の本格PB商品開発=SPA型です)
そして、世界のホームファッションの楽しさを学んで築き上げた「コーディネート」の発想で・・・
従来は回転率の低かった家具、インテリアの購買頻度を上手く上げて来ました。
一方、商品開発というより、バイイングパワーやM&Aで拡大して来たヤマダ電機にはそう易々とこの利益率は享受できないでしょうけどね。
今回の記事を読んで感じたのは、
今後、飽和市場を主戦場とする大手流通業者が異業種に参入してくることが多くなるだろうなということ。
特に、粗利率が高く、それほど寡占が進んでいない業界は隣の芝生は青く見え、狙われることでしょう。
ですから、ホームファッションだけでなく、アパレル業界にも・・・
資本力を持ち、ローコストオペレーションを得意とするディスカウント型の大手流通企業が参入して来てもおかしくはありません。
ニトリの実用衣料進出は噂されていますし、大手ドラッグストアの中にも、大手ディスカウントストアの中にもアパレル部門強化の動きをする企業があります。
逆にアパレル業界だって、なぜか多くの経営者が大好きな?飲食をやるよりも・・・
コスメ市場に参戦することの方が利益を確保できるように思います。
これから流通業界は異種格闘技戦の時代。
自らの業界しか知らない世間知らずにならないように・・・
顧客視点でリテールマーケットの視野を広げ、異業種のビジネス構造を研究して、その時に備えるべきでしょう。
執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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