ZOZOのスタートトゥデイが大幅増収増益で株式時価総額1兆円を突破 現状の課題と次の手は?
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8月2日の日経新聞や繊研新聞にZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイ社の2017年4-6月の今期第1四半期決算に関する記事が掲載されていました。
同四半期は
商品取扱高 595億円 40.9%増
営業利益 79億円 59.3%増
連結純利益 55億円 54.5%増
と絶好調の業績を受けて 8月1日付の同社株価時価総額が1兆円を突破したとのことです。
日経の記事によれば、この時価総額は上場小売業ではセブン&アイ、ファストリ、楽天、ニトリ、イオンに次ぐ6位とのこと、
同社の業績と勢いを株式市場が
流通業界における時代のリーディングカンパニー
と評価した結果であり、今後、流通の歴史に記されるであろうニュースになるでしょうね。
好業績の要因は同社の発表にもありますが、
- 低価格ブランドの導入とその伸び
- クーポンによる販売促進
- ツケ払い制度による低年齢層の会員獲得と買い上げ促進
などがあるようです。
あと、「買い替え割」という下取りも既存ユーザーの購買頻度を上げる上で、それなりに購入促進になっているのではないかとお察しします。
最近のZOZOのサイトを見ると・・・
ホントに楽天などで活躍して来た、販売管理費が比較的低く、
単価1900円、2900円中心で単品大量販売をするような低価格ブランドが幅を利かせて来ましたよね。
そして、クーポンの発行の頻度も ものすごい。
業界では、かつてはルミネ10%オフキャンペーンが市場で最も爆発的な売上が上がる起爆剤でしたが、今ではそれも落ち着いて来て、
それに代わって、消費者も業界関係者も、関心が「ZOZOのクーポン」に移っているようですね。
ブランドがクーポン対象になると、その期間中は売上が5倍以上に伸びると言いますから・・・
同社の狙い通り
低年齢層の客層増と
クーポンによる単価の高い商品の買い上げアップの効果
があったと思いますが・・・
一方で、セレクト系など既存ブランドの伸びは落ちて・・・
売上を伸ばすにはクーポンに依存する体質が生まれ、利益は薄くなる・・・
モール内も低価格商品で荒れるなど、正直、売上起爆剤をだいぶやり尽くした感も否めません。
お客様とZOZOにとってはよいかも知れませんが、出店ブランドとの3者のウィン・ウィン・ウィンが成立しているのか?どうか?
ZOZO依存が進むとスポイルされるブランドも少なからず出てくるのではないか?とちょっと疑問や心配も感じ始めている次第です。
話は変わりますが、今期中に立ち上げが予定されているZOZOの自社ブランドに業界が注目していますね。
買収案件や募集人材から業界関係者がいろいろな憶測をしていますが・・・
私は、前澤社長のことですから、もちろん革新的なものを狙うと思いますが、
最新技術の話題先行で、すぐに儲かるかどうかわからない奇抜なものではなく、
顧客ソリューションにつながり、ZOZO自身もすぐに売上利益につながる、
斬新でも「遊びなし」のものが前提になると見ています。
そういう意味では聞こえはベタかも知れませんが、
低価格ベーシック商品をその最有力候補として挙げたいですね。
簡単に言えば、ZOZOに出店していないユニクロの代替え商品
同社が展開するファッションコーディネートアプリ「WEAR」を見ればわかるように、
ユーザーが最もコーディネートに取り入れている=ZOZOで販売しているブランドと相性のよい商品群であり (そこを 指をくわえて見ている経営者はいないでしょう)
まずブランド品1品を選んだユーザーが運賃無料にするのに手ごろな買い足し商品にもなる価格帯であり
ベーシックであればまとめ買いも期待できますからね。
それを物流の混乱が続いているユニクロよりも速く届ける。
関連エントリー- ベーシック(定番)アイテムの役割
以前、ファッションを強化するAmazonがアメアパを買収するなんで噂があった時に非常に納得したのを覚えていますが、ファッション最大モールとしてそんなソリューションはありかなと思います。
もっとも、ユニクロと同じことをしても芸がないので・・・
例えば、オンデマンドで、極力 製品在庫リスクなし、欠品なし、できるだけ機械化して国内生産で行う、また、アイテムによっては丈詰めなどでパーソナライズするなど
これらはもちろん、全くの想像に過ぎませんが、そんな流通イノベーション、ソリューションであれば・・・
これまでのZOZOの商品やサービスを補完できる、極めて合理的で王道のアプローチではないかと思います。
また、イギリスでは地産地消をキーワードにしたこんな状況も起こっていますのでご参考まで。
関連エントリー- 英国発 地産地消のウルトラ・ファストファッションの波は日本にもやって来るのか?
いろいろ想像は尽きませんが、
流通業界の革新児であるスタートトゥデイ社らしい商品が実際にリリースされるのを楽しみに待ちましょう。
いずれにしても、同社の独走はしばらく続きそうで、目が離せませんね。
一方で、出店している既存ブランドはZOZOと上手に付き合いながらも・・・
ZOZO依存体質から抜け出し、自社ECでいかに実店舗との相乗効果を出すか?
を本気で考えなければならない局面でもあるのではないでしょうか?
執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
【おススメ本】
トレンドとベーシックの商品管理のそれぞれのお手本はZARAとユニクロ。両社の理念とビジネスモデルをわかりやすく解説しました。
「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)
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