ファッション流通 世界の最激戦区 ロンドン オックスフォードストリートを歩いて感じたこと
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8月の終わりにロンドンに行って来ました。
目的のひとつは世界のファッション都市の中で最も激戦区と言われるロンドンが2年前と比べてどう変わっているか、その競合状況を見たかったこと、
そして、日本のファッション消費の未来図のヒントになるであろうクリック&コレクト(オンラインで注文して店舗で商品を受け取る)の現場を体験することでした。
後者はあらためてブログで取り上げますが、今回はグローバルチェーンの競合状況について感想をお話ししたいと思います。
ロンドンの中心を東西に走るオックスフォードストリートは観光客を含めロンドン市内でも最も人通りの多い通りのひとつです。日本では銀座中央通りや表参道のような感じでしょうか。
日本から撤退した英TOPSHOPの旗艦店が中心(オックスフォードサーカス)にあり、
百貨店から低価格のチェーンストアまで各社が大型店を出店しています。
ZARA、H&M、ユニクロのようなグローバルSPAはこの通りだけで複数店舗を出店しているほど客数が多く各社がしのぎを削る商業地。
この通りとリージェントストリートあたりを歩けば、直近の勢いのあるチェーンや競合関係が感じられる場所として、数年に1度は視察することにしています。
通りを歩く人が持つショップバッグのトップ3は圧倒的に
プライマーク、
H&M、
セルフリッジ(百貨店)
でしょうか。 3社に続くのはTOPSHOP、ZARAといったあたりです。
今回特に感じたのはプライマークの進化です。
プライマークは日本ではあまり知られていませんが・・・
毎年このブログで発表している世界アパレル専門店売上ランキングでは、英国で老舗のNEXTを数年前に抜いて1位、世界でも7位にランクする、アイルランド出身で英国で急拡大を続ける低価格のアパレルチェーンです。
関連エントリー-世界アパレル専門店売上ランキング2016 トップ10
トレンドファッションと実用衣料の両方を売場面積1000坪を超える超大型店でH&Mの2/3くらいの価格で販売しているのが特徴です。
£10がプライスポイントですから、日本ではしまむらくらいの価格イメージでしょうか。
客層は地元のティーンズからアラブ系や東欧系を中心とした移民系の方々が目出ちます。
2016年はドル高による商品コストの上昇、欧州の天候不順、英国のEU離脱などで低迷した消費を受けて若干収益率は下がりましたが、引き続き二桁増の売上成長率を維持しています。
プライマークはこのオックスフォードストリートの東端と西端に超大型店を2店舗構え、いわゆる商圏の入口と出口をおさえるチェーンストア―の王道的な陣取りを行っていますが、
今回、オックスフォートストリート東店を見てその進化ぶりにびっくりしました。
まるで、TOPSHOPやH&Mの新タイプの店舗をベンチマークしたようなきれいな内装は、プライマークのオックスフォードストリートの西側の店舗を初めて見た5年前、前回視察した2年前と比べて一皮も二皮も剥けた感じがしました。
内装だけでなく、商品調達も、低価格品はベトナム製、トレンド品はトルコ製が増えて生産ポートフォリオもかつて南西アジアが多かった時期と比べると安さ一辺倒ではなく、使い分けが上手くなり、クオリティ的にも上がった印象を受けます。
今回のロンドン視察では、いくつかの定点観測地点でプライマークとH&Mの圧倒的な強さを感じたわけですが、
一番印象的だったのは、そういった強者はその強さに甘んじず、改装投資を行って店舗を更に魅力的にして、進化し、ますます競合を引き離して行くのだなと感じたことです。
当地ではプライマークやH&MやZARAがそれにあたりますが、
それに比べると、ユニクロのオックスフォード東、同中心、リージェントストリートの3店舗にも寄ってみましたが、・・・アダルトで小柄な客層を中心に以前よりは客数が増えた感じはしますが、店舗が何か10年前とあまり変わらない?印象は否めませんでした。
日本においても、流通マーケットは市況が厳しく、既存店の売上の落ち込みをカバーしようとECに力を入れる風潮がありますが・・・
既存店に関しても、しっかりと投資計画を立てて定期的に改装などによりリフレッシュをして行かないと・・・
ますますジリ貧になってしまうのではないかと、あらためて改装計画の必要性を思い知らされた次第です。
執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
【おススメ本】
2008年のH&Mの日本上陸以降、グローバル競合の波に飲み込まれた日本のファッション流通市場。グローバルな視点で考える上でも参考にしていただければ幸いです。
「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)
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